第16話ホワイトデー

今日は二月十四日、ホワイトデーだ。

何をあげれば喜ばれるか考えて過ごしていた。

「おい、橘」

「何、佐久間?」

仕事の休憩時間に佐久間から呼ばれて会社のフリースペースの椅子に座った。

「今日は何の日か分かるか?」

「ホワイトデーでしょ?」

「そうだ、俺は何を上げればいい?」

「それは佐伯にって事?」

「なんで俺が佐伯さんと付き合ってるって知ってんの?」

「この前バレンタインの時になんとなく」

「そうか、それなら今度三人で飲みに行かないか?」

「良いけど」

「そうか、でだ、本題なにを上げれば良いと思う?」

「それは自分で決めろよ」

「橘はもう決めてるのか?」

「まあ、お菓子の詰め合わせとか」

「そんなんでいいのか?」

「まあ意味が色々あるらしくて、良い意味があるお菓子を詰め合わせで上げれば良いかなって」

「そんなので良いのか?」

「うーん、まあ俺はそうするけど」

「じゃあその案俺も使って良い?」

「良いけど」

「お二人とも何を話してるの?」

背後から佐伯が話しかけに来た。

「なに?」

「いや、楽しそうになに話してるのかなって」

「色々だよ、俺はこの辺で」

そうして佐久間は消えていった。

「なんだあいつ」

「さあ?」

「所でホワイトデーだけど」

「聞いてたんかい」

「まあね、所で橘君よ」

「なに?」

「お返しにお菓子の詰め合わせを選ぶと?」

「そこまで聞いてたのか」

「うん、詰め合わせなんて無難にいかないよね」

「駄目なの?」

「そんなんじゃ、愛は伝わらないよ」

「じゃあ、手作りとか?」

「お菓子作れるの?」

「いや、全く」

「それじゃあ駄目ね」

「じゃあどうすれば?」

「普段お金使わないんだからこう言う時に使わないでどうするのよ」

「なるほど、じゃあそうしよう」

「そうね、それから今度三人で飲みに行くなら折角なら貴方の彼女さんも一緒に行かない?」

「良いの?」

「うん、むしろ会いたいし」

「分かった、話しとく」

「了解、じゃあ午後の仕事も頑張ろう」

「はい」


そうして家に帰る前にラデュレ、渋谷店に向かいコフレ・アンコントゥルナーブルと言うマカロンを買って家に帰った。

この前の風邪の一件があってそれで、柚葉さんに合鍵を渡してあるので俺に部屋に居てもらうことにして、そうして家に着いた。

「ただいまです」

「お帰り」

柚葉さんは既に部屋着にビールを片手に持っていた。

「もう、飲んでるんですか?」

「良いでしょ、仕事終わったんだから」

「そうですか」

「うん、所でその手に持っているのは何かな?」

「これは、バレンタインのお返しです」

「なになに」

「なにを上げれば良いのか分からないので、とりあえず良い所のマカロンにしました」

「ほうほう、ラデュレじゃん。奮発したね」

「まあこう言う日とかじゃないとお金使わないので」

「そっか、じゃあ一緒に食べようか」

「俺も食べて良いんですか?」

「うん、早く早く」

柚葉さんはお菓子を買ってもらった、子供の様にはしゃいでいた。


それから夜ご飯を一緒に作って食べて、マカロンをデザートにして俺もシャワーを浴びて部屋着でビールを出した。

「輝ってあんまりご飯食べながらビール飲まないよね」

「ご飯の時はいつも水ですから」

「そうなんだ」

「はい、全部終わってからのご褒美として飲むのが至福なので」

「そっか」

「はい、所で今度俺の同期と飲み会があるんですけど一緒に行きます?」

「なんで私が?」

「同期同士が付き合ってて前にそいつに、柚葉さんの話をしてたのでそれで会いたって言ってて」

「何人くらい?」

「柚葉さん含めて四人ですね」

「そっか、それなら良いよ」

「大人数苦手ですか?」

「うん、同窓会なら良いんだけどね、会社の皆で集まって飲むのは極力行かない良いなら行かない派だね」

「そうなんですね、じゃあ日にち決まったら言いますね」

「うん、よろしく」

「はい」

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