カオス・ボーイ ― バグった世界で朝食を ―
高嶋ソック
第1話 この世界は狂っている
※口にとってもおいしい水を含んでお読みください。
俺は真面目に生きてきた。
真面目に学校へ行き、病気もケガもせず。
毎日毎日来る日も来る日も真面目に生きてきた。
そして俺は感情を表に出さなくなった。
いつしか愛想笑顔も消え、完全な無表情になった。
いつしか俺は表向き無感情になった。
まさかこれが俺の唯一の救いとなるとは思わなかった。
そう、この世界は狂ってやがるんだ。
平和な日本の某所
榊家はいつも通りの朝を迎える。
「吉兼!朝・朝よ!学校に遅れる遅れるわ――――――よ!」
「......。(わかった。起きるから壁から頭を貫通してくるのをやめてくれ。)」
こうして吉兼は毎朝起こしに来る母や妹の状態異常を見て朝を迎える。一体何が起きているのかよくわからない。吉兼が中学校を卒業し、高校へと進学して1か月が経ったところで、いきなりこの世界が変わった。
そう、すべてバグったのだ。
まるで3Dゲームのバグだ。吉兼はゲームはやったことがない。親が禁止していたからだ。その代わりガリ勉は嫌だったのでトレーニングは欠かさず行っていた。おかげでバグったこの世界のあらゆる不可解で危険な状況からも逃げおおせることができる。だが不思議なことに、彼が触れたものはバグが治ったかのように普通に戻るのだ。彼は階段を降りる。リビングで家族が座っている。
ごくごく普通の4人家族の朝の風景。
奥の席で頭を体にめり込ませているのが小学6年生の妹の
「お゛....オ゛ォォハ....おに...チョ」
「あら、吉兼 兼 おちょんど―――太陽!」
「まぁ―― ちょっと近所のアフガン!」
「おはよう。(テメェら毎朝いい加減にしろ。)」
こうして吉兼の学校生活が始まる。
高校への道のり。それは過酷を極める。
毎朝道路を泳ぐ牛乳配達員
いやに長いリーゼントのサラリーマンが小刻みに
首を回転させ斜め上空へと飛んで行く知らない高校生がヘリウムガスの声で叫び声を上げながら大爆発
道を歩かずに上下に浮遊しながら進む女子高生の集団
ウィリーしながら360度回転して進む自転車の集団
常時クラッシュしながら回転して進んいく車たち
電柱と融合した犬
遠くの山の合間から近所のおばさんの巨大な顔が出てきては上空へと飛んでいく
吉兼は毎朝この状況の中で高校へと向かう。
そう、この世界はバグッているのだ。
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