星降る夜に

まっちゃん

第1話 星降る夜に


 少し流星が多い夜だった。あたしは会社の屋上で京子とダベっていた。

「あ、流れ星!」

「やっぱ多くなってるよね。」

「日頃見えてる奴は0.1ミリ未満で、と。」

「今度来る奴は直径数10キロ以上で、と。」

「「世界が終わるんだとさ。」」

京子はぐぐぐっと伸びをした。

「なんでアタシんたちの時に来るんかね〜。」

「恐竜を絶滅に追いやった奴が6000万年前に落っこちたと。そんなデカい奴は数千万年に一度くらいの奴なんだけども〜。」

「アタリかハズレかは知らんけど、引いちゃった、と。」

「映画なら爆破してハッピーエンド。」

「現実はどうにもならんかった、と。」

「本当は生きたいんだけどな〜。」

あはは、と二人ともカラ笑いをした。


「もう仕事終わったし、何かする?」

「コンビニでもいかん?」

「それな。」

あたしと京子は誰もいなくなったオフィスを出た。


    *


ピンポーン


「カップ麺と、ビールも入れとく?」

「いいね。」

「あ、店員さん。」


ぷら〜ん


上からロープがぶら下がり、足が浮いている。

「あ〜あ。別に絶望せんでもな〜。」

「それな。」


ぷら〜ん


「タバコ取って。」

「りょ。」

「お金置いとく?」

「まぁ、一応。」

「意味あるんかな〜。」

「一応。」


ぷら〜ん


あたしと京子はコンビニを出た。

少し街をブラブラする。

「やっぱ誰もおらんよね。」

「逃げるっつってもな〜。どこに行っても同じだと思うんだよね。」


    *


「なぁ。」

「どした?」

「最後に何かやりたいことある?」

ん〜そうだな、と、京子はまたぐぐぐと伸びをした。

「あ、今からあたしのマンション来ない?」

「酒の追加?」

「それもあるけど、まぁまぁ。」


   *


「じゃ〜ん。」

「何と思ったら、どうしてセーラー服コスプレなの?」

「セーラー服にタバコに酒。この背徳感。予想したけど、たまらんわ。」

「理解できんな〜」

あたしはゲラゲラ笑った。

「ほらほらぁ。ほんのりピンクに酔った女子ですよ〜。欲情したり?」

「せんわい。」

またゲラゲラ笑った。

京子は寝ながら伸びをした。

「あ、流れ星!」

「部屋の中から見えるの? マジ?」

「うん、めっちゃ明るい!」


部屋の中に白い光が差し込む。


---

(2025.08.31 了)

三題噺「セーラー服」「タバコ」「終わり」

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