第49話 新しい生命の誕生2(明未の視点)

2029/9/4(火)PM2:00


 記者会見当日。記者さんから色んな質問が飛び交う、主にパパにだ。パパが瑠実お姉ちゃんと婚約するに至った経緯を語った後、ある記者がこう言い出す。


「桂さん、瑠実さんは当時女子高生で、それを知ってて行為に及んだのでしょうか?」

「先ずここで言う『行為』に及ぶ前から、瑠実が18歳と言う事は知ってました。流石に17歳以下でしたらやりませんでした」


 その後、わたしと蘭お姉ちゃんがレ●プされ、犯人達の報道に便乗してデビューするプランをママから提案され、その為に瑠実お姉ちゃんと別れてママと結婚し、わたし達を養子にして今に至る流れをパパの口から一通り語られると、ある記者がわたしに何を想ってか?、こう質問し出す。


「明未さん、デジタトゥがこれ程大活躍出来る事を見越した上で、敢えてわざと被告に行為に及ぶように仕向けたんじゃないですか本当は?」


 記者の心無い質問に思わず「そんな訳…。」と不意に言い、そしてこう続ける。


「そんな訳無いじゃないですか!。幾ら大ブレイク出来るとしても、好きでもない人とそんな事出来ません!」

「ボクもっす!」 

 

 こうして、わたしの涙ながらの訴えで、記者会見は締め括られた。


2029/9/15(土)


 記者会見から1週間以上も経てば、流石にもう記者も居なくなってた。わたし達3人は社長室に呼び出され、社長が先週の週刊誌の、パパと瑠実お姉ちゃんが昔撮った写真が掲載された袋とじのページを見せて来た。パパが啞然としながらも、レコーディングに取り掛かる事にした。


 その間もわたし達は久々に学校に行った。先生や皆、気を使ってあまり詮索しないでくれた。ここは本当に良い学校だ、もし普通の学校だったら、間違いなく虐められてるだろう…。


 学校が終わって、わたしと蘭お姉ちゃんは急いで会社に向かい、冬目さんと寮を出た瞬間、記者から質問責めされるも全て『質問は事務所を通して下さい』と冬目さんがあしらいながら学校と会社に行く日々が数日続いた。そうこうしながらも何とか新曲とアルバムが完成した。シングルのタイトルは『わたし達、裏切らないよ!』で、アルバムのタイトルは『DigitalだⅡ(デジタルだトゥー)』に決定した…。


2029/10/5(金)


 今日はMスタ秋の3時間スペシャル収録の為、テレビ夕日に行く事になり、そこでBerryenの皆と再会した。わたし達とBerryenの皆、計8人だけになり、ママが計画の全貌をBerryenの皆に打ち明けると、皆面食らっていた。そこに更にママが茶番勝負をするようにけしかけ、それを本番中に発表して番組もネットも大盛り上がりでその日を終えた…。


2029/10/9(火)


 明日はわたし達の新曲とアルバムの発売日、と同時にBerryenのデビューの日だ。わたし達は学校で皆からこう言われた。


「蘭、明未。あたし帰りに、フライング発売されてるデジタトゥのCD買って応援するから!」

「俺もだ、BerryenのCDなんか買うもんか!」

「皆有り難う、でも気を遣わなくて良いよ?。わたし達なら大丈夫だから」

「ボクもっす、好きな方のCD買って良いっす!」


 こんな感じで皆、温かかった。夕方学校が終わって、いつも通り寮に帰ると妊娠9ヶ月半のママが出迎えてくれた。


「お帰り2人共。今夕飯の準備するからね~♪」

「無理しないでママ!、それ位わたし達でやるよ~!」

「ボクもっす!。ママはソファーにでも座ってるっす!」

「大丈夫だよ。あーしが好きでそうしてるだけだから~、うっ!」


 ママが突然、お腹を押さえながら蹲り出した。


「嘘、予定日は来週末の筈なのに…。何で今?」

「ママ、もしかして生まれそうなの?」

「パパ、急いで病院に行こうっす!」

「解った、急いで車出すから。皆で病院に行くぞ!」


 こうしてわたし達は大急ぎで病院へと向かった。到着後すぐさま、蘭お姉ちゃんが。


「パパ、Berryenの皆には言うっすか?」

「伝えてあげよう、ママもきっとそう望んでるだろうし…。」

「わたし、蒼絵お姉ちゃんに連絡するね!」


 こうしてわたしは、Berryenの皆に連絡した。約1時間後、メンバー全員駆け付けてくれた。わたし達7人がママと子供の無事を必死に祈る中、いつしか日付けが変わり、そして…。


2029/10/10(水)AM0:05


「鶴牧さん、お生まれになりました!。元気な女の子です、どうぞ中にお入り下さい」


 看護婦さんのその言葉に、わたし達は大急ぎで分娩室に入って行った。元気に泣いてる女の子を抱いてるパパが。


「ママ、本当によく頑張ったよ…。」

「皆も、色々有り難う…。3人共、あーしとパパの赤ちゃんを見る?」


 と言いながらママが産まれたばかりの女の子を見せてくれた。(本当に可愛い!)と心底想う中、ママが。


「くくく、実は名前を考えて来たのだ。『シェリア』とかどうだ?」

「あーしらの子供にリングランサーⅡのキャラの名前を勝手に付けないでよ~!。実はもう名前考えてあるんだよね。『桂亜けいあ』って名前にしようと思うんだ」

「『桂亜』ってどういう意味ですの、あびるお姉様?」

「まさか、桂の(けい、訓読み)と、あびるの(あ)の字を合わせた、とか言うなよ?」

「ピンポーン、流石蒼っち、鋭いねー!。それにいざとなったらカタカナでも行ける名前にしたいから」

「俺は悪くないと思うけどな、宜しくな桂亜」

「まあ、本人達が良くて、キラキラネームとかでなければ良いと思うけどウチは…。」

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