第22話ーその拳、世界を穿つー
魔神バルゼア=ネメシスとの死闘は、いよいよ最終局面へと突入していた。
一度は傷を負い倒れた西園寺零――だが、カナタの“覚醒の奇跡”により癒されたその肉体は、今や黄金に輝く闘気をまとい、まるで別人のような風格を放っていた。
西園寺「……不思議だぜ。力が、湧いてきやがる……!」
(ぼさりと垂れた髪が、ふわりと風に舞う。その色は銀。まるで神話から抜け出したような神々しさを湛えて)
カナタ「か、髪が……銀色に……!?」
ミュン「これは“変身バンク”すら超えてるミュン!?もはや別作品レベルの覚醒ミュン……!」
西園寺「……今なら、誰にも負ける気がしねぇ……!」
(その足元から、金色の闘気――否、“仙術闘気”が奔流のごとく噴き上がる。空気が震え、地が唸り、空間そのものが軋む)
西園寺「──仙術闘気・開放!!!」
(天を揺らすような咆哮と共に、地面が裂け、瓦礫が空へと浮かび上がる。光が渦を巻き、彼の周囲を“神域”へと変えていく)
魔神「この……忌々しい……異世界の残滓がああああッ!!!」
(魔神は全身から魔力を収束させ、極大の破壊魔法を紡ぎ上げる。それは山をも焼き尽くす“深淵の咆哮”)
カナタ「だめ……これ、もう……防げない……!」
(絶望の瞬間――だが、その前に金色の壁が立ちはだかる)
西園寺「……おい、カナタに……なにしてくれてんだテメェ……ああ!!?」
(怒りを込めたその声と共に、仙術闘気が暴風の如く荒れ狂う。空が泣き、地が吠えた)
ミュン「なにこれ……もう戦闘力のスケールぶっ壊れてるミュン!これはもう、“闘神”の領域ミュン……!」
アンジェ「こ、こんなの……もはや一人でラスボス級ですわよ……」
(西園寺は、魔神の猛攻の中を、一歩、また一歩と踏みしめ進む。その姿は、まるで嵐の中に立つ不動の闘神)
魔神「バカなッ!我が力が……通じぬだと!?この我が……貴様は……いったい……」
西園寺「誰だって?──“西園寺 零”だよッ!!」
(その拳が放たれた瞬間、空間が悲鳴を上げた。魔神の胸部に、輝く拳が突き刺さる。力の奔流が世界を貫き、暗黒の核を穿つ)
魔神「ぎゃあああああああああ!!バカな……我が……この私がァァァァァァ!!」
(バルゼア=ネメシス、断末魔を響かせながら、闇の塵となって霧散。空は光を取り戻し、大地に静寂が戻った)
(静まり返った戦場。わずかに風が吹き抜ける)
カナタ「……西園寺くん!西園寺くん!!」
(駆け寄るカナタの前で、ゆっくりと彼が手を差し伸べる)
西園寺「………泣くな。もう終わった。……帰ろうぜ、俺たちの世界へ」
(その声は、今までになく穏やかで、優しかった)
カナタ「……うん……!」
(涙を流しながら微笑むカナタ。二人の手が、しっかりと重なった)
ミュン「……まさか魔法少女ものが、ここまで来るとは思わなかったミュン……。カテゴリー詐欺、もはや確定ミュン……!」
アンジェ「でも……ふふ、なんだか……とっても綺麗でしたわね」
美香「全力で言うけど……惚れるわ、西園寺」
――こうして、魔神との戦いは終わりを迎えた。
だが、これは終わりではなく“始まり”。
世界を覆っていた絶望の雲は晴れ、
新たな物語が、静かに幕を開けようとしていた。
次回予告:
「帰還編」突入!元の世界に戻ったカナタたちを待っていたのは――!?
ミュン「日常パートで癒されたいミュン……シリアス続きは胃に悪いミュン……!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます