第12話「恋の性転換バトル勃発!?~奪い返せカナタの心~

【放課後・屋上】


 夕陽に染まる空を見上げながら、カナタは両手を胸の前で握りしめる。


 制服のリボンが、緊張で少しだけ揺れた。


カナタ「今日こそ……西園寺くんに気持ちを伝えるんだ……私……!」


 その姿を、校舎の陰から見つめるもう一人の少女――美香。


 その表情は静かに、だが確実に何かを燃やしていた。


美香「……決めたわ……」


ミュン「!?何を決めたミュン!?その目は何かやらかす目ミュン!!」


 ミュンが心の警報ベルをフルボリュームで鳴らすが、美香の暴走は止まらない。


美香「諦めてたまるもんですかッ……!


 性別?カナタが女になった?知るかそんなもん!!」


ミュン「いや、重要ミュン!!そこ超重要ポイントミュン!!!」


美香「たとえ“切って”しまったのだとしても……!


 最悪、私が“生やす”わっ!!」


ミュン「ハイ!?!?!?


 なに抜かしてるミュン!?話をややこしくすんなミュン!!


 物理的にも精神的にも全部やべぇミュン!!!」


【どこかの謎施設・脳内妄想】


美香・(アレなドクター)


「研究は成功したわ……この“愛のテクノロジー”さえあれば……!」


 白衣を着た博士スタイルの美香が、試験管を掲げて高笑い。


助手・(謎美香分身)


「博士、これが男のアレ的なヤツです!」


 両手で抱える謎のアレ。やけに輝いている。


美香「ふふふ……ありがとう、助手の私!!


 これでカナタを、私が…ぐへへ」


助手「笑い方がアウトすぎます、美香博士!!」


【現実】


 妄想から帰還した美香は、すでに戦闘モード。


ミュン「勝手に超展開するなミュン!!


 ていうかそれって誰得展開ミュン!?


 作者も読者も混乱するミュン!!」


 頭を抱えて半泣きのミュン。読者代表の叫びだ。


美香「もう後戻りしない……私、カナタを奪い返す!!」


 夕陽を背に、美香は拳を握る。


 ――恋の三角関係、いよいよ激化の予感。

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