※ 第18話 ヘブンズツリー
「はい並んでー」
クロノがサラの組織……ヘブンズツリーの募集員を突き止め、金に困ってる女……薄手のワンピースを着た赤髪のメリタ・フローゲルを装って接近。
狙い通り声を掛けられて車に乗り、ヘブンズツリーのアジトに向かった。
私の他にも集められた女が居る様で、皆儲け話への期待感と、明らかに堅気じゃない空気への不安感で落ち着かない様子だ。
「はーい、じゃあみんな脱いでー」
「……え?」
軽薄そうな青メッシュの女の一言に、集められた女の一人が呆けた声を上げる。
それに呼応する様に、他の女達もざわつき始めた。
「服を脱いでって何?」
「待ってよ、偉い人に抱かれればお金貰えるんでしょ? ここで脱ぐ必要無いじゃない!」
「そもそもこんな所に連れ込まれるなんて聞いてない! もう帰るか……」
銃声が響いて女達が一斉に静まり返った。
マフィアのドンパチが当たり前のこの街で、ワーキャーと騒いで相手の気に触れたら真っ先に撃たれると理解しているからだ。
「もう一度だけ言うよ? 脱げ。お前達はもう人間じゃない。奴隷だ。」
「っ……」
女達は渋々と、諦めた顔で服に手を掛ける。……目立つならここか。
「ふざけんな! 美味い話があるって言ったのはそっちだろ⁉︎」
「聞こえなかった? こっちは一人ぐらい減っても別に問題無いんだけど?」
「殺したきゃ殺せ! テメーら悪党共に屈するぐらいなら死んだ方がマシだ!!」
「……ふぅん?」
青メッシュは目に妖しい光を湛え、ニヤリと意地悪く笑う。
「誰か、手伝ってあげて」
「はい!」
「くっ、触んな! 離せ……っ!」
青メッシュは部下に命じて私の服を脱がせに掛かる。
狙い通りだ。
奴等は諦めて従う女は腐る程見てきて“飽きている”。
だから今の私みたいな跳ねっ返りは寧ろ楽しめる玩具として重宝するだろうと踏んだけど……正解だったらしい。
反抗した私を殺すでもなく、そのまま奴隷に加えようとしてるんだから。
「おら、暴れんな!」
「やめ、やめろよ……!」
だから本気で対抗する。
どうせ非力なこの身体。複数人に抑え込まれたらどうにもならない。
なら本気で暴れた方がリアリティも出るだろう。
実際、床に押さえ付けられ、両手をそれぞれ掴まれたらそれだけで動きを封じられ……薄手のワンピースはあっさりと引き千切られ、下着も剥ぎ取られた。
そのまま後ろ手に手錠を掛けられ、生意気で無力な奴隷の完成だ。
「よーし、じゃあ次は身体検査するから。全員壁に手ぇ着いて足広げてー」
「わ、私変な物は持ち込んでませんっ」
「それを確かめる為の奴だから。二人も反抗的な奴は要らないからねー?」
「ひぅ……っ」
誰かしらがせめてもの抵抗を試みるも、やっぱり銃をチラつかされたら従わざるを得ない。
一列に並んで尻を向けている様は正に奴隷という他無い光景だ。
青メッシュは薄手のゴム手袋を嵌めて、並ばせた女達の穴を検査していく。
羞恥、屈辱、後悔……側から見てもそんな感情が女達に渦巻いているのが分かった。
「最後は生意気な子猫ちゃんね。押さえといて」
「はい」
「ぐ……っ⁉︎」
正座の状態から頭を押されて床に押し付けられた。
後ろ手拘束したまま土下座する様な姿勢。
青メッシュは私の背後に回り、無遠慮に穴という穴に指を突っ込み、異物が隠されていないか確認する。
「っふ……ぅ、ぁ……っ!」
「うんうん、何も無し。何か考えがあっての反抗だと思ったけどただの馬鹿だったか」
「テメェ……!」
「はいはーい、じゃあ次はいよいよお楽しみタイム! サラさんとこに行こっか」
行こっか、などと言いつつ銃を向けて明らかに脅している。
女達は両手で精一杯身体を隠し……拘束されている私はそれすら出来ずに歩きながら施設の奥へと歩かされる。
「ここだよ。サラさーん、連れてきたよー」
「お疲れ様」
部屋の中央。豪華なソファふんぞり返り、女達を侍らせている背が高く、肩から腕にかけて獅子のタトゥーを彫り込んだ美女……コイツがサラ・ヴェインか。
「あれ、その子どうしたの?」
「ちょっと跳ねっ返りで。銃を向けても暴れ散らかすんで大変でしたよぉ」
「へぇ……」
サラの視線が私に向けられる。
冷たく、情の感じられない人間を見下す目。
……まぁそうだろうな。マフィアに限らず人の上に立つ奴は大体そうだ。
「はい、それじゃあ新入りのみんな。これからの奴隷生活で覚えてもらう事がありまーす」
「……」
サラは一見和かな笑顔で。けれど瞳の奥の見下す視線を隠そうともせず、裸の奴隷達を見回す。
「1、サラ様に反抗しない。
2、サラ様の命令には絶対に従う。
3、サラ様の命令に従っていれば何も考えなくていい。
4、サラ様の命令に従っていれば気持ち良くなれる。
5、サラ様の命令に従っていればご飯も食べられる。
6、サラ様の命令に従っていれば寝床もある。
7、サラ様の命令に従っていれば死なない。
8、サラ様の命令に従っていれば何も怖くない。
9、サラ様の命令に従っていれば全てが快楽になる。
10、サラ様の命令に従っていれば辛い事も何もかも忘れられる。
簡単よね? はい、復唱」
「……っ」
いきなりこんな事を言われても即順応出来る人間はそう居ない。
奴隷達も例に漏れず、口を開閉させるだけだ。
「銃を」
「はっ!」
サラが手を出して、部下が自然な動作で銃を手渡し……躊躇無く発砲した。
不運にも見せしめに選ばれた者は心臓を貫かれ、他の女達は息を呑む。
「言えないなら別にいいのよ? 素直な子は幾らでも居るから」
「やっ、やります! 復唱しますっ」
「わ、わたしもっ!」
「うんうん、素直で良い子は好きよ。ほら貴女達も」
「ひっ、はい! 言います! 言わせて下さい!
サラ様に……反抗しません……!」
「はい、次」
サラに促され、復唱は続く。
復唱させられてる女達も。周囲に控える部下達も。そしてサラ自身も、当然といった様子で。
きっとこれが日常なんだろう。
「貴女は?」
「言うもんか!」
「そう……じゃあ次のステップに行きましょうか。
あぁ、他の子はこの子をズルいだとか真似しようとか思わない様に。……死ぬより辛い目に逢いたくないならね。さ、繋ぎなさい」
「はい!」
命じられた部下達は奴隷達を十数台はあるだろうベッドまで連れて行き、そこに設置されている枷に奴隷の手足を繋いでいく。
両手両足をXの字に広げた、無防備な姿勢を強制される奴隷達。
私もまた一度手錠を外されたものの、数人がかりで押さえ込まれて他の奴隷と同じ様にXの字型に貼り付けられる。
「ふふ……♪」
「ま、待て……なんだ、それは……っ」
「とっても気持ち良くなれるお薬。結構値が張るけど……新入りには特別サービスで打ってあげてるの」
「や、やめろ……っ!」
ガチャガチャと鎖を鳴らして身体を揺する。
勿論そんな抵抗など無意味。
サラの意外と細くて綺麗な手に頭を押さえ込まれ、銃の様な形状の注射器を首に当てられる。
「一応お別れしておきなさい。人間だった自分にね」
パシュ、と軽い音が鳴って。
首筋から冷たい薬液が私の身体に流れ込んで来た。
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