飴、あげようか

一筆書き推敲無し太郎

第1話

知らない人から物を貰っちゃダメ

こんな流言は小学生に蔓延している

大阪では配られるのが当然らしい

でも小3の私たち、都会に住む私たちを守るためらしい

そんな私たちは放課後、公園で遊ぶのが楽しいのだ。いつもとおなじメンツ、何も変わらない空、空気。吸い心地の良い空気を共に吸う快い天気

そんな昼下がりに私たちは男の子3人、女の子2人だ。ボール遊び、遊具、喋る、喋る。そんな他愛もない日々。

そんな平常が続いていると一筋の眼差し

それは公園の近所に住むご老人だ

どうも不平不満を述べに来たわけじゃなさそうだ

当然、うるさくしていたり、ルール。破っているわけではないが、大人は自分ルールを語りがちだ

だがそのご老体は普段から私たちの集まりを孫のように感じているのだと。そんな面持ちから家中からかき集めた飴を大袋であげると寄越してきた

受け取らないと帰りそうもない

でも受け取ったら面倒だ

これは軽犯罪ではない?

賞味期限も身分もわからない飴玉

スーパーで普通に金銭交換したらなんの心配もない飴玉を不幸に思う。だって知らない人の所有物を恩着せがましく老婆心から物を渡してきたのだ。

悪意を感じ取れるかとかそういう次元ではない

これは食べてはならない

それは共通認識だった

教育が行き届いている証拠だ

小3にも関わらず飴玉を我先に食べようとする者はいなかった。さて、この飴玉をどうしようかと議論が始まる。私たちはいつも公園に来る、そしてその公園の近くにいる老人は私たちの顔と来る時間帯も知っている。

つまり飴玉を食べたか聞くことが可能ということだ

問答無用で廃棄処分にしたと伝える訳にはいかない。

なぜなら八方美人的に受け取ったからだ

トラブルは御免だからだ

口裏を合わせるように全員が均等に受け取ったということにしようと提案するとそれは受諾された

爺さんがこんな物を渡さねば私たちはいつも通りに過ごしたのに。廃棄処分は私が担当した。親に説明するとよく判断したと褒められる。小学校や警察へは通報しない。

不審者とは言い難いからだ

確かに怪しい危うい老人から受け取ったと流言すれば地元が引き締まるだろう。しかしあの爺さんは自分のことだと思ってしまうかもしれない。私たちの引き攣った八方美人の受け取り方からそれを滲ませていたかもしれない。それでもただの老婆心かもしれない。孫と重ねていた平穏な爺さんかもしれない。

断定するのは良くない

だって食べていないのだから

人体に影響がある飴玉だったらと思うとゾッとするが。あの爺さんに限って有り得ないのだろうと私たちは信じる。

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