どちら様でしょうか。

一筆書き推敲無し太郎

第1話

どちら様でしょうか。最近はオートロックの家やインターフォンが充実しているが、うちは未だにノックと覗き窓があるだけだ。不便だけど基本的に分かってる用事以外はでないんだ。今日は乳製品を販売してる人が来てた。防犯カメラもないからわざわざドアスコープみてるんだ。うん、関係なさそうって制服でわかる訪問者はいいよね。最も厄介なのがバインダー抱えてる人。大家さんがルーズな人でね、アパートの管理の話を共有してくれないんだ。だから水道とかガスの定期点検みたいな人だったらと思うとドアを開けるしかないんだ。あとからなんで出なかったんだろうって、不在票から情報入力する虚無な時間を迎えたくないからね。いつも家にいるんじゃないけど、居る時は出た方が得かなぁって。訪問者がバインダーも持ってない時は警戒度MAXだよね。ハロウィンなら出るんだけど、なんもない日の白昼からおばさんが居るのはなんか、ある。裏がある。だから居留守するんだ。そうするとそのおばさんは隣の家にピンポンしにいくんだ。でね、またなんも持ってない人がきてさ、居留守がバレたか?と思ったんだけど今度はおにいさんなんだよね。これさ、消費者心理的にはドアを開けたくなる人を的確に合うように人選してるのかな。でもこっちは身構えてるからほいほいと出ては行かないのさ。そしたらね、ピンポンを諦めないおにいさんだっんだよね。これはアパートの関係者か?と思ったんだけど、ドアを開けたらさっきのおばさんになんで開けなかったの?って言われるような気がして、なんか、なんか出られなかった。結果は不在票。やってしまった、ごめんよおにいさん。仕事だもんね、諦めると来訪しないといけないもんね。ってことはあのおばさんは無関係者ってことか、それは、まぁセーフだな。そんなドア越しが基本なんだけど、この前は明らかに知ってる人がドア前に居たんだ。でも顔見知り、話したことはない人、なんでここに居るんだろう?って思った。ぼくんちはその人も同じの学校からだいぶ、離れてる。ぼくんちが最遠だろうな。だからこそ、この女の人は怪しいよ、おかしいじゃん。ぼくんちに来る必要ないよ、ぼくはピンポンもしないでただ立ってるその人をドアスコープ越しに見続けた。片手になにかを携えて、片手はピンポンを押そうと躊躇ってるみたい。まじまじと顔を見たのは初めてだけど、かわいいなって思ったね。なんの用か、なにを持ってるのかわかんないけども、ピンポンが鳴らないのにこっちからドアを開けるのは違うかなって思って待ってたんだ。結局ピンポンは鳴らずにその日を終えてまた学校行くためにドアを開けたら包みが置いてあったんだよね、多分昨日の片手に携えてたやつ。開けるのもいいけど時間ないから家に置いておいたんだ。ぼくんち遠いもんでね。歩いてる途中に思い出したんだ、昨日、バレンタインデーじゃねって。まっさか〜顔だけ知ってる話したことない人からチョコなんて貰えるわけないよ、人違いじゃない?でも昨日ドアを開けたら直接聞けたんだな、開けるべきだったかな?

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