恐怖の包帯じいさん

アマリエ

第1話恐怖の包帯じいさん

 某外科医院に足繫く通うおじいさんは顔全体が包帯で覆われている。 化学工場配管から漏れ出た高温蒸気にモロに顔を晒されて重度の火傷を負ったらしい。 当然のごとく、その特異な姿に周りからは好奇な目で見られた。 おじいさんは天涯孤独で持ち歩いている人形だけが唯一無二の友人だった。 おじいさんは人形といつも腹話術のように語り合っているので、周りは怖れ退いた。

 そんなおじいさんにも親切に接してくれる医院受付の若い女性がいた。 おじいさんはそんな女性に好意を寄せた。 受付で花束やお菓子をプレゼントしていたが、 しまいには閉院後の待ち伏せまで行うようになった。 「お姉さん、一緒に住もう、ワシのオムツを替えてくれ。」と大胆な告白をするも、 女性は悲鳴を上げて逃げていきました。

 おじいさんは落ち込んで人形に相談しました。 人形は「僕と同じ人形にしてしまえばいいよ。」とアドバイスします。

 おじいさんは女性の帰宅途中を待ち伏せして、女性を襲い、茂みの中に引きずり込んで、乱暴したあげく包帯で首を絞めてしまいました。 おじいさんは女性の体を綺麗に処理してはく製にしました。 おじいさんの部屋の一室に新しい女性の人形が増えたのです。 毎日、おじいさんは2体の人形と語り合いながら、慰め合ったそうです。

 しかし、夜中になるとおじいさんの家の近隣からは、「助けて!」「助けて!」という若い女性のうら悲しい声が聞かれるようになりました。 それから、おじいさんの悪事が露呈するのは、また別のはなし。


 変わった人に見染められてしまい、悲しい結末になるのもよく聞く話です。 気を付けましょう。


おしまい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恐怖の包帯じいさん アマリエ @kiyohaha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画