第6話 闇夜

 もう、夜か。暗い空に雲がいくつかと儚い光を漂わせる月が浮かぶさまは、妙に美しかった。


 雨がぱらぱらと降ってきた。仕方がないので、折りたたみ傘をガサガサと広げた。


 夜の商店街には、昼とはまた違った風情があった。


 しかし、僕はそんなことに関心はない。僕の価値観によると、目の前にあるものに対する判断基準は、義務かそれ以外かの二択だからだ。


 ドアを開けると、母さんが珍しく出迎えてくれた。


「ちょっと遅かったね、お疲れ様」


 そして、ファミレスの和食セットのごとくお盆にのせて夕食を持ってきた。


 そこからはもう、疲労感のあまり記憶があまりない。ひたすら食べて、風呂入って、ベッドにダイブしたら、母さんがコップの水を持ってきた。


「ありがと」


 なんとかそう言って、一気に飲み、コップを母さんに押し付けた。


 が、母さんはスマホを見ていたから、コップそのへんに置きなさいという動作をした。その時に、スマホ画面がちらりと見えた。

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