世、妖(あやかし)おらず ー仏柳の火影ー
銀満ノ錦平
ご挨拶
まず、初めに皆様にご挨拶申し上げます。
今日この度は、『
正直、まさかこの私がこの様な怪異蒐集家の皆様方がお集まり頂いてる会に参加させて頂く事、誠に感謝しておりまして今このご挨拶も何処かたどたどしさを見せてしまっていることに恥ずかしさを噛み締めておりますが、それよりも他の皆様方の怪異譚を聴けるということが何よりも嬉しく思い、その興奮具合ももしかしたら出ているのかもしれません。
先ず初めに経緯を説明致しますと、偶々鉢合わせした先生方の一人に酒の勢いで零した体験談をお話した所、甚く興味をお持ちになられまして、その他の先生方も是非その体験談を話して頂きたいと仰られました。
しかし、お声を掛けて頂いたにも関わらず如何せん私はその様な語り場で語った事など無い為、始めは人前で話すことに抵抗感もありまして、申し訳ないと拒否をしていましたが、数々の有名先生方も呼んで頂けるという事と、体験談を書いた原稿をシナリオライターの方が目を通してより読みやすさと聞かせやすさを強調させて改良するので気にせず参加していただいてほしい…と懇願されたので私もそこまで言われるのでしたら…と漸く決心を固め、承諾をいたしました。
そして、私は頭を振り絞って原稿に体験談を書き記す事といたしました…が、やはり私は素人の為、それはもうどう書けばいいか…この場所をどう文章に表せばいいか…とても苦悩いたしました。
そして何とか書き終えて作家さんや演出家の皆様方の目を通して貰い、何とかこのままでの大丈夫との了解を得た時には、私も安堵してその晩は一人で、恥ずかしながら祝杯のお酒を二日酔いになるまで飲んだ記憶が今でも鮮明で、この場でこうやって挨拶ができるということが未だに夢の様に思っております。
…さて、ご挨拶もここまでと致しまして私が体験した出来事をお話したいと思います。
満月に地が淡く淫らな光で照らされ、緩く心地よい優しみ溢れる風で柳が
幽霊の正体見たり枯れ尾花…正にこの諺を今、身に感じて
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