大輔の母の井戸端会議

一筆書き推敲無し太郎

第1話

井戸端会議。それは憩いの場として世間に認識されている。

しかし実態は自身の自慢、メンツの話、夫自慢、子自慢に包まれていると。

大輔くんは小学5年生。大輔の母は高齢出産で授かったのは一般よりも相当遅れている。

そんな大輔の母の話。

井戸端会議は今日も今日とて行われる。今日はいかにもなギャルママとギャルママに囲まれている。この包囲網は大輔くんがお世話になっているから母の行いとしては本来ならば願ってもない場所。なんだろうけどギャルママの集いは居心地が悪い。

ギャルママは開口一番におひさ~と、何歳だ。立場を弁えた口調は若ママさんに求めるのは酷かといつも思うが、ギャルママは言いたいんだろう。ギャルママ2は同調しているので、私もなんとなく合わせ、井戸端会議開始。

今日はギャルママ2の家庭問題。大輔がこの人たちと仲良くなければかかわってなかったんだろうなって思って聞き流していたらギャルママ2は急に泣き出した。私ははっと聞いてなかったことに気づいて、泣いている理由がわからずになだめた。大輔の幼い頃のように。

ギャルママ1はまぢ大変だよね、とかわかる~とか、いつも言ってるし、そんなような言葉を言ったらいいのかと内心思っていた矢先にギャルママ1がそんなような事を言っている。

私はなんと言おうか、聞いてなかったから具体的な同調ができない。

「と、とにかく泣かないでください。ほら、タオル。」タオルを渡すために後ろを振り返った。

その刹那、「大輔くんママのせいじゃないですか」ギャルママ1はギャルママ2にそういった。

えっ、大輔がなにかしたの?大輔は毎日学校でなにがあったかを教えてくれる。

ギャルママの息子さんの話はでていない。

「だ、大輔がなにかしたんでしょうか…」聞かないといけないと思った。

「大輔くんがうちの子といつも仲良くしてくれるからお礼したいって話してたのに大輔くんのママさん、毎回聞いてくれないんだもの…」

そうなの?いつもそんなこと言ってたの?本当に?大輔の母は困惑に襲われた。

ギャルママと会話すると碌なことがないと夫婦間でも共有していたからバイアスが余計にあったのかもしれない。

ギャルママだから、碌でもないと決めつけていたのは大輔の母だった。

碌でもないのは話を聞くための基準を勝手に設けている大輔の母だった。

大輔はあまり交友関係が多いわけではないので大輔の母は社会的な付き合いばかり考え、ママ友に恵まれなかった。井戸端会議は自身の自慢、メンツの話、夫自慢、子自慢に包まれているとネットで見たから。ギャルママは碌でもないから。私は大輔の母ではあるけど、ママ友として仲良くする気は毛頭ないと決めていた。でも大輔と仲良くしてくれる息子さんたちには感謝してる。だから井戸端会議には顔を出していた。

大輔の母は非礼を謝りたかったが、それより先んじて大輔とギャルママたちの息子さんといつもこんな学校生活をしていると大輔から伝え聞いた話をしだした。

その後に感謝しているとも伝えた。大輔の母として行うべき行動を示した。

「大輔くんのママって不器用なん?真面目すぎ~」ギャルママ1はギャルママ2と頷き合いながらそう言った。

私は不器用…話聞いてなかったのと井戸端会議にいいイメージもってなかったことと、ギャルママと関わりたくなかったことをひっくるめたら、自然体ではないのかと大輔の母は感心した。

ギャルは深いこと考えてないって思ってた。でもギャルの洞察は大輔の母の内心を凌駕していた。不都合な真実は大輔のために塞ぎ込んで非礼の謝罪は自身の内部で押し殺した。

大輔と仲良くしてくれている事実だけあれば、ギャルママとはあと2年くらいの付き合いだから、と大輔の母は自身に言い聞かせていた。


井戸端会議。それは憩いの場として世間に認識されている。

しかし実態は自身の自慢、メンツの話、夫自慢、子自慢に包まれている。

大輔の母は実態に則っていることに気が付かない。

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