読書感想文　タコピーの原罪を読んで、見て

　話題のアニメ「タコピーの原罪」見ましたよ。

衝撃に原作も読みました。

　名作だと思います。

でもモヤモヤを吐き出さずにはいられないので記します。

吐き出しなので、自分でも取り止めない内容、順番になっていると思います。

　まず最初に言える事は心身に、特に心に傷があり治療中だったり治療経験がある人は見てはいけないと言う事です。

　フィクションであるクトゥルフ神話に「魔導書を読んで正気が下がる」という描写がありますが、少なくともリアルで1回正気度チェックを振る書物、物語です。

　貴殿の状態によっては知らない方が良かったとなります。

本当に！

☆☆☆

　物語は「ドラえもん」をベースに「タイムリープ」と「人間の業」とを入れて煮込み、最後に「希望」を振りかけた様な内容です……。

　具体的にはハッピー星から来たタコピーが「しずかちゃん」を笑顔にする為に秘密（ハッピー）道具を使い奮戦する所からスタートするのですが、上手く行きません。

　しずかちゃんの絶望が深く、ハッピー星人であるタコピーには悪意の概念がない為、決定的に話が噛み合わないのです。

　例えば、しずかちゃんは学校で一方的に壮絶なイジメを受けてますが、タコピーはそれを「ケンカ」と理解し「話せば分かる」「仲直り出来る」と話ます。

しずかちゃんが「あれが、……ケンカ」と呟いてもタコピーは理解出来ません。

少なくとも、一方的に暴力を振るわれる事をケンカとは呼ばないのですが、見て見ぬフリをする大人や周囲に絶望しているしずかちゃんは「そうなんじゃない」と受け入れます。

そしてタコピーは仲直りに奮戦し始める始末なのです。

　ただこれは現実でも見た事があります。イジメ自殺の第三者委員会が「教師はケンカと理解し状況を把握していなかった」と報告している事例が存在するからです。(タコピーはハッピー道具で人に化けられますが、どうやら教師はハッピー星人だった様です……)

　時系列は前後しますが、しずかちゃんはイジメの果て唯一の心の縁（よすが）愛犬チャッピーを殺されてしまいタコピーのハッピー道具を使い自殺します……。(自殺でなく、自死と言えには反対です。逆に鬱病の自殺は病死と言うべきと思ってます)

　さらにいえばタイムリープ1周目の目的からすれば、しずかちゃんを自殺させた事がタコピーの目的通りなのが、考え尽くされた物語だと分かりゾッとします。

　記憶を消されていたタコピーの最初の目的はイジメの主犯まりなちゃんを助ける為にしずかちゃんを殺す事だったのですから。

　ちなみにタコピーが仮に介入していなければ、(しずかちゃんが原因で)まりなちゃんは毒親の母を殺し、自殺していたはずです。

☆

　他に上げればタコピーの無能(いや本当に無能)に反して、しずかちゃんの狂人ぶりが恐ろしい。(チャッピーの死で正気度0になったのだろう)

　チャッピーの死を認めない

　まりなちゃんをタコピーが殺した時、素晴らしい笑顔で感謝する

　まりなちゃんの死が発覚した時、自らの女の部分を使い東君に自首を勧める。

　「◯◯は、もう助けてくれないんだね」と言うたびに行動力が上がり、父親の子、腹違いの妹達をハッピー道具を駆使して拉致監禁する。

etc．

　ただ、「どうすれば良かったんだよ！」とタコピーを踏みつけ心情を激白するシーンは心が震えました。

　漫画もそうですが、アニメは声優さんの迫真の演技もあって正にクライマックスです。

☆☆☆

　一般にこの物語はハッピーエンドではなくベターエンドと言われてますが、しずかちゃんもまりなちゃんも東君もそこそこ救われタコピーだけが去ったエンドは良い結末だった気がします。チャッピーも無事だし(笑)

　最後にタコピーの原罪の原罪について様々な解釈があるので自説を述べます。

　キリスト教の原罪は神の言いつけを破った事より、知った事ではないかと思います。

悪意無きハッピー星人が悪意を知った事が罪なのだと。

だからタコピーは楽園ならぬハッピー星を追放されたのだと思います。

(キリスト教は人間には原罪があるとか言いますが、キリスト教徒にはの誤りかと思っています。こちとら、お前らの神に作られた人間じゃない)

吐き出し終了。

上記の条件に当てはまらない人にはお勧めの作品です。正気度チェックは必要ですが(笑)