おいら、金がねぇでよ。

一筆書き推敲無し太郎

第1話

おいら金がねぇでよ。恵んでくれやせんか、金を。今ならおいら働く元気があるからよ。金のために頑張るからよ。働き口がないわけじゃなかろう。作物の田畑とか、人手が足りないんでっしゃろ。おいらはやる気だけあるぞ。ないのは金じゃ。労働力としては年相応じゃ。

おお、雇ってくれるか。それなら話が早い。おいらはどこで働くとよろしいか主さん。

住み込みで豆腐屋として雇いたいって?そんな厚遇でええんでしゃろか。おいらが欲しいのは金だけでっしぇ。でも雇ってくれて金までくれるのならやりまっせ。

豆腐の知識は美味いことくらいしかわからんけども、おっ、力仕事だけして経営についてはやらなくていいと?それなら専売特許ですわ、主さん。おいらに任せてくだせぇ。

ひと月につき、金がもらえるということでっしゃな、よし!


おいらは金のために必死に働いた。へへ、金がもうすぐ貰えるうえに住み込みなんて、なんと主さんは富豪なのか。おいらもあんな富豪になりてぇや。


一月後 どういうことでっしゃ!主さん!金じゃなくてこれはお金じゃないか!!

おいらは金がもらえると思って頑張ってきた!なのにお金をくれるとはどういう了見じゃ!

契約不履行として主さんを奉行所まで連れて行って裁いてもらいましょ!

こっちには日記や記録やら証拠がたーくさんあるんでっしぇ!

今更逃げられないでっしぇ。主さんは金さえくれたらいいところを誑かした。

お金と金は異なることを雇い主が知らないとはぬけぬけと言えないでっしゃろ。

おいらはこの辺じゃ有名な金塊集めが好きな変わりモンなんじゃ。

おいらに愛想つかした雇い主は数知れず!

おいらに金塊をくれなかった雇い主はみな奉行所で公平に裁かれた!

覚悟するのじゃ主さん。

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