初手から、情景描写の中にさえ圧迫感を
感じる心理的ホラーであるが、
これはヒトコワではなく本当に怖いものが
息を潜めて紛れ込んでいる。
その構成の巧みさに唸るのは…多分、
読み終わったあとではないだろうか。
傲慢で独善的な恋人との息が詰まる様な
日々を耐える女性。誰もがきっと彼女に
同情するだろう。
勿論、それはいい。彼女は労られて然る
女性であって、これといった非がある
訳ではないのだ。
只、何故 執着 してしまったのか。
早々に逃げるか切り捨てるかすべき男に
情をかけてしまったのが、運の尽き。
多くは語るまい。
是非ともその目で事の顛末を知って
欲しいと思う。
本当に怖いものは、何なのか。