第37話 旧磯浦トンネルの除霊
野間係長と成岩部長、富貴巡査は、旧磯浦トンネルの前に来ている。野間係長は富貴巡査に言う。
「危ない霊はいるかしら。」「いません。浮遊霊が吹き溜まっているようですが、危険はないです。」
「メタボ部長、用意はいい?」「私は成岩です。」
成岩部長は腹をプルンと揺らして抗議する。しかし、野間係長は無視する。成岩部長は「血糖値が上がる」と文句を言いながらトンネルに入って行く。
憑依体質の成岩部長に霊が近づき、脂肪に変換されて吸収されていく。霊が脂肪に変換されるにつれて体が膨れ上がって行く。
後ろを歩く富貴巡査が感心して言う。
「成岩部長は、すごいですね。霊をどんどん吸着していますよ。」「褒めているつもりかね。私は脂肪が増えて血糖値が心配だよ。」
トンネルを出るころには、成岩部長の体は二回りは大きくなって膨れ上がっている。着ているカッターシャツがはちきれそうになって悲鳴を上げている。
トンネルを出ると野間係長は護摩壇を作り、護摩焚きを始め、お経を唱える。すると脂肪が次々と成仏して成岩部長はやせて行き、元のメタボ体形に戻る。
「やっと元に戻れた。これは体に悪いですよ。」「メタボ部長、まだ終わっていないわよ。富貴巡査、山にも霊の気配があるけど、どうかしら。」
「はい、トンネルと同じで浮遊霊が多いです。」「メタボ部長出番よ。」「あー、はい。はい。」
成岩部長は嫌々指示に従う。野間係長たちは、それから半日かけてトンネルの周囲の山の除霊を行う。
これで旧磯浦トンネルとその周囲から霊は一掃される。
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