第35話 奥田ショック
成岩部長が野間係長に言う。
「これから捜査状況についての会議を始めるのですよね。」「もちろんです。」
「部外者がいてもいいのですか。」
成岩部長は奥田部長の横にいる若い女性を見る。野間係長は奥田部長に言う。
「奥田部長、そちらの方を紹介してくれないかしら。」「はい、温泉旅館の娘です。」
「それでは何者なのかわかりないでしょ。」「失礼しました。私のファンです。」
「名前を聞いているのです。名前も知らないのではないかと不安になるわ。」「なるほど、名前を聞いていませんでした。」
「あなたはどこの誰だかわからないのに一緒にいたの。」「温泉旅館の娘で十分かと思っていました。」
「・・・・・」
野間係長が言葉をを失う。半田部長と成岩部長が頭を抱える。富貴巡査は聞かないことにした。奥田部長は女性に言う。
「遅くなりましたが、私は奥田と申します。お名前を教えていただけないでしょうか。」「
半田部長は、認めたくない、あの奥田部長がもてている。しかも女は結婚する気満々だ。こんなのものは現実ではない・・・
成岩部長は、驚愕する。あの奥田部長に惚れる女がいる。あれと気が合うのだ。まともな女ではないに違いない。
富貴巡査は逃げ出したかった。あの奥田部長に惚れるなんて人の皮をかぶった化け物に違いない。富貴巡査は後ずさりを始める。
「富貴巡査、お待ちなさい。」「野間係長、私、怖いのです。」
「みんな、恐怖と戦っているのよ。耐えなさい。」「は、はい。」
富貴巡査の目から涙が流れる。野間係長は宣言する。
「このまま会議を始めます。半田部長、報告をしてください。」「はい、ネットの情報では、トンネルの中に女の霊が出るとあります。他にすすり泣く女の声を聞いたあります。」
「動画はどうでしたか。」「トンネルですので霊が集まりやすいのかかなり映っていましたが、強力な霊はいませんでした。」
「そう、とりあえず、除霊は必要ね。」
野間係長はかなり汗をかいている。もちろん奥田部長のせいである。
「成岩部長、聞き込みの結果報告をお願いします。」「トンネルに関する死者は確認できません。住民は心霊スポットになっていることを知っていますが心霊体験はないようです。」
「最後に奥田部長。」「はい、役場や資料館に行きましたがトンネルに関する死者も心霊現象もありませんでした。そこで、図書館に行ってひじりと出会いました。」
「あなたの話は関係ありません。」「これからサイコキネシスの話をするところでしたのに。」
「調査の話だけしなさい。」「新聞を調べたところ、いくつか旧磯浦トンネルの心霊の記事を見つけました。」
「新聞に載るほどほどの騒ぎだったのですね。」「一番古い物は1975年のもので。ひじりと考察してテレビが普及して情報量が多くなり騒がれるようになったと考えます。」
「そうですか。トンネルはうわさが広まって心霊スポット化したと言ことですね。今後の方針を決めます。」
野間係長はラリー開始までに打てる手をすべて打つつもりでいる。しかし、会議を続けることは難しかった。
奥田ショックのせいで係員は限界に来ている。半田部長と成岩部長は目が泳いでいる。富貴巡査は、涙を流し続けている。トラウマになるかもしれない。
野間係長自身、緊張と恐怖で浴衣が汗でぐっしょり濡れている。早く風呂に入って着替えたい。野間係長は会議の続行を断念する。
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