お守りのお話 その2

密(ひそか)

お守りのお話 その2

 約7年前のことである。

 私の父親が病院に入院した。その時に私は神社へ行ってお守りを買ってきた。病院で父親に渡したが、退院前にお守りがなくなっていることに気がついた。その頃、病院内で置き引きが流行っていると言われた。


 約4年後のことである。

 父親の病院退院後に係として家に出入りする女性が増えた。その女性が、何故か、病院内でなくした某神社のお守りと同じ型のお守りを私に渡してきた。それは、私に押し付けるような形であった。

 私が買ってきた某神社のお守りは、片道約1.5時間以上はかかる場所にある。俗にいう東国三社の1つ、香取神宮のものであった。

 お守りの見た目は、まだ新しいように思えた。なので、わざわざ買ってきてくれたのかと思っていた。


 この時まで、父親が入院時にお守りを買ったのは一度だけであった。病院を退院する時に使っていたベッドの周りをくまなく探した。でも、お守りはおろか、何も出てこなかった。

 ただ、あの係の女性がお守りのことを、

 「入院したから買ってきたんでしょ」    

 と言っていた。

 あの女性が、私にお守りを渡した時は、家の者は誰も入院していない。

 あの頃、私の頭はあまり働いてはいなかったが、その時期にお守りを渡してきたことは覚えている。


 あとから、お守りが置き引き犯を見つけてくれたことが分かってきた。

 これは私のお守りに関する、お話である。

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お守りのお話 その2 密(ひそか) @hisoka_m

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