者
息が苦しくなった時に私の胸を掴むなにかに優しくなんて出来なくて、その正体すらも気づかないようにしていた。
寝言が本心にならないよう気をつけられないし寝言を言わないようになどできなくて、ただなるがままに、ただ自分自身では気がつけないように「あるかもしれない」で終わらせる。
それがいかに残酷で残忍かだけは知っている。大丈夫、知っている。でも大丈夫ではない。寝れなくなってしまう。だけど夢は誰かに言わなければ見たこともその内忘れてくれる。
そうやって、こうやって、負荷をかけていくことを蔑ろにして、どうにか息を戻す。
ごめんなさい。
体が資本だから寝ないとね。
病は気から、なんて戯言にはかまってあげられないの。
ごめんね、ごめんなさい。
その手を優しく掴み返すことすらできなくて、無理やり呼吸をする。
でも。できれば、このまま、そのまま手を繋いでいっしょに眠りたい。
ごめんね、ごめん。優しくできなくて。
あくびを一つして涙で瞳を覆う。
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