超短編

遠山ゆりえ

　ある穏やかな日、植物園を親子が歩いていました。　

　「ほらごらん、あれは『ブラシの木』って言うんだよ。」

　「パパすごいね、ホントに赤いブラシが咲いてるみたいだよ！」

　又しばらく歩いていると妹が指を差して質問しました。

　「ねえママ、あの白い花が咲いてるのは何て言う木なの？」

　「ああ、あれは『ハンカチの木』じゃない？パパ、そうよね？」

　「そうだね、ハンカチの木だよ。ママもよく知ってるなぁ」

　兄と妹は小走りに先を行き、パパとママに叫びました。

　「ねぇ、僕達あの木の名前わかったよ！あれは『くつの木』でしょ？」

　くつの木？くすの木のことでしょうか？

　パパとママがその木の前で立ち止まりました。その木の下枝には、赤ちゃんから落ちてしまったベビーシューズが、拾われて引っ掛けてありました……。

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