第6話 ヒカル天空に行く?行かない?
僕はご飯を食べて、風呂に入り、
いつも通りで部屋に戻った。
風呂がりの水もいつも通りに持っている。
今日はガンリの分まで2本。
「ガンリ、大丈夫だったか?」
「えっー、平気。
ヒカルのPC使ってるよ。」
「ガンリ、パスワード教えてないのに
どうやって入ったんだ。」
「感。感よ。」
「ばーか。そんなわけないだろう。」
「正直言うと、天空から覗き見してたの。
だから覚えてるの。」
「趣味悪いな。」
「そうでもないわよ。
ヒカルのこの部屋、北向きだけど
窓が広くて大きいでしょう。
天空からよく見えるのよね。
丸見え。」
「なんだそりゃ。」
「だからさっきも言ったでしょう。
地上の人間のことはよく見えてわかるって。
だからPCでヒカルがエロ画面見てたのも知ってるわよ。」
「なんだそれ。
ガンリ、お前は僕のストーカーか?
もしかして僕のこと好きだったりして。」
「そうね。好きだけど
ストーカーじゃないわよ。
それにお子様には興味はないわよ。
ヒカル、私をいったい何歳だと思っているの?
地球と同じくらい生きてわよ。」
「えっー!そんなに長く。それはすごい。
地球といっしょか。
それじゃ、もう神様じゃん。」
「私にとっては、あの日ヒカルが小4のあの日、空を見上げて私と目が合ったあの日から、
ほんのわずかな時間だ。」
「僕にとっては、けっこう長い時間だよ。
4年が経ってる。
中学2年だよ。背も高くなってると思うぞ。」
「そうかな?天空の高いところからだと
あんまり違いが分からない。」
「そんな適当にことで。」
「地上の人間たちが他人のことを気づかないように天空もそんなものよ。
みんな自分のことしかわからない。
見よとしない。」
「まあ、そうだな。どの世界もいっしょだな。」
「ヒカル、私は地上のヒカルをずっと見てきた。
大きくなるにつれてだんだん空を見なくて。
なかなか目が合わなくなって。
正直、寂しく思っていた。
人間は時間が経つとそんなものかと。」
僕は少し怒って
「ガンリ、そんなことはないだろう。
もちろん空を見る時間は減ったが、
信号待ちの時には必ず空を見上げてるぞ。
地上を見ていないのは、ガンリの方じゃないのか?天空でのんびり昼寝でもしてるんじゃないのか?」
「そんなことはないわ。
でもヒカル、私と天空来ない?
時間制限なしよ。さびしくないわよ。
ずーっと私がいるよ。」
「ガンリ。断る。今、僕はさびしくない。
ありがとう。大丈夫だ。
あの時の小さい僕じゃないよ。」
「そう。今、さびしくないのかあ。」
ガンリがくるりと回って窓へ。
「天空へ帰る。ヒカル、いっしょに来ない?」
「いいや。」
「そう。」
ガンリは雲に乗って天空へ戻った。
小さい時に誰もが見た天空の姫ガンリ。
ーーーーどうやら僕には
必要ないかーーーーーーー
地上の僕にはーーー終わり
天空の姫ガンリと目が合う 京極道真 @mmmmm11111
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