偏頭痛の冷凍保存

雨宮湖都

偏頭痛の冷凍保存

ふと香るものは忘却の痛みのみ残して灰の砂漠へ零る

剥がれゆく思ひの垢を掴みても終電のワンシーンとなるのみ

海底に波の攫ひし足場ごとセイレーンがゐて古傷をあく

幼き日は母がかたるもの 並行宇宙にする救助信号

夏海はまばゆく君の微笑みは捏造せらるる憧憬となる

飼い慣らさるペットとなるな、過去の我 永遠とはの三日月にて我を刺せ

たまゆらに燃ゆる陽炎は世の裂け目にて火に入る蛾のやうに見入れり

稲妻はなめらかなる日々をひび割りつ もう君は牙を隠さなくていい

脳髄を混ずるやうなる蝉のは見知らぬ街の花火を咲かす 

都会にて彷徨ふ蛍の映せしはかいなき船に乗る白昼夢

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偏頭痛の冷凍保存 雨宮湖都 @amamiya_koto_6289

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