「香水」を愛する公女が織り成す薫り高い異世界ファンタジーです。
主人公は「香水職人」を目指す公女、ルチア。
公女でありながら田舎暮らしをしていた彼女は社交界デビューをきっかけに今まで生活していた「狭い世界」を飛び出します。
香水を通して様々な人と親睦を深め、自らの将来について考えるようになったルチア。
香水職人として、公女としてこれからどう成長していくのか――。
端正な文章が読みやすく、香水がテーマともあって「香り」についての緻密な描写が素晴らしい作品です。
特に登場人物一人一人に「香り」の設定がなされており、まるで読んでいるうちに鼻の奥にふわりと匂いが漂ってくるようなそんな感覚に陥ります。
情景描写で頭の中に景色が浮かんでくることはままありますが、ここまで香りを連想させる小説には初めて出会ったのでとても新鮮でした。
魔術が登場するハイファンタジーの世界ですが、魔術を前面に出すのではなくあくまでも世界を構築するものの一部。
香水自体は人の手で、現実と同じ方法で作られているのも良かったです。
さっぱりとした、心の落ち着く香水を嗅いだ時のような後読感。
夜にゆっくり読みたくなるようなとても素敵な小説だと思います。おすすめです。