現世もつらいね 文明と常識に迷う転生者たち

シグ

第1話


第一話 現世転生 ヴァルキスとヒカリ


ん… んん… 目が開かない… 身体も自由に動かない… 暗い…ここはどこだ


あぁ、まぶしい!ようやく目は開いたが… ぼやけて何も見えない

一体どうしてしまったんだ… そういえば耳もよく聞こえない…

フラル飲みすぎたのかな… 羽目を外しすぎた…


ん?何かが口の中に ほのかに甘い なんだか懐かしいにおいがするような…

いかん これはまだ酔っているのか 寝ぼけているのか よくわからない…

状況を思い出してみよう あれは確か…魔王を追い詰めてそのあと…


「魔王ユグノス! 覚悟!!」

私は聖剣エクスカリウスを取り魔王へ切りかかった。

「己女勇者ヴァルキス! 何も知らぬ愚かなヘキスの民よ!!

お前らなどに屈する我ではないわ!」

ユグノスも魔剣バルヴァロスで受けた。

「くっバルヴォロスにヒビが 暗黒龍 ヴォルヴォスの素材で作った剣だぞ?」

両者の収まり切れないエネルギーが雷となり魔王城の周りの土地に落ちた。

戦いは長く続いたが、身体能力の差が決め手となり、魔剣を折りユグノスを無力化した。


「聞け!ヘキスの民よ! 80年続いた支配からようやく解放される時が来た!

ヴァルキスとエクスカリウスが魔王ユグノスのバルヴァロスを打ち破り無力化した!」

ヘキスの都の民は大いに喜んだ


その夜 「おのれヴァルキス 私はただでは死なぬぞ…」

「魔王様… そんなことしては本当に絶命してしまいます」

「いいのだ バルヴァロスも折れたことだし先は短い

それならば何もできないまま衰いていくなどそれこそ屈辱である………

私がいなくなってもピテルと世界の行く末を導いてくれる者が必ず現れる。

そう統治してきたつもりだ。サキュ あとのことは頼んだ…」

「魔王様… お役目ご苦労様でした。あなたの統率は素晴らしかった このサキュ

お傍でその活躍を拝見できて幸せでした。お父様もお母様もさぞよろこんでいるでしょう

お疲れ様 お休み ユグノス坊ちゃま」


そして三日後 ヘキスの都では民が一体となって勇者を称える式典と祭りを行われる。

「ヴァルキスよ そなたは女性であるにも関わらず魔王を打ち倒すとはとても名誉なことじゃ 名誉オブザ名誉

今日はそなたのために祭りを行う 十分に楽しんでくれ!」


「よし!今日はフラルを浴びるほど飲もう! ※フラルとはビールのようなお酒

皆の者! 大いに楽しもうではないか!」

ヴァルキスとヘキスの民達は祭りを盛大に楽しんだ。


「そして…そのあとどうなったんだっけ?」


徐々に視力が回復してきたが、、、全く知らない風景だ。

そしてマナが薄すぎる いや無い!? 一体ここはどこなんだ? 精霊の気配もない

ここは一体… まだ夢を見ているのか ずいぶん長い夢だ。

途方もない時間が流れている気がする。

????目の前に赤ちゃんがいる あれ?私の手足の動きを真似しているのか? 少し赤ちゃんに触れてみよう。

ん???冷たい え、これはなんだ??? 鏡? え、それじゃあこれは!!!!


なんと目の前の鏡には赤ちゃんの姿が映っていた。

そう 私は赤ちゃんになっていたのだ。


すると足音と共に声が聞こえた。

「ヒカリちゃん ミルクのお時間よぉ」

あぁまずい これはミルクタイム 同じ性別とはいえ事態がわかってしまっては受け取れまい。

瓶のしか頂けない。

と 泣いて叫んで動いて、ミルクタイムを拒否して粉ミルクへ誘導した。


これが長い悪い夢なのか、何かの呪いなのか、幻術を受けているのか分からないが

私の故郷ではないことは確かだ。

どうやら私は全く知らない場所で赤ちゃんになったのであった。

話している言語も全くわからないが、

私はどうやら ヒカリ という名前のようだ

違うのだ 私の名前はヴァルキスと言って 母様がつけてくれた立派な名前があるんだ!と言いたいところだが

ここの言語が何語かわからないが広く使われているタロル語なら通じるはずなのだ、

だがなぜだか全然発語ができない 舌が のどが 肺が 全くうまく機能しない。

仕方ないのでうまく使いこなせるまで頑張ってみることにした。

「でもやっぱりこの国 ちょっとヘン…」



ヴァルキスは魔法も無い魔族もモンスターもいないこの現世に、

赤ちゃんとして転生してしまったのである。

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