属性少女の遭遇譚
カルミア
第壹章:運命的で必然的な出逢い
僕はこの出逢いを運命的だと思っていた
必然的な出逢いだ、と言われても当分は信じれないだろう
物語の始まりはその日の朝だった
僕の住んでる場所は田舎でもなく都会でもない様なところだ
通っている高校は高野木高校という偏差値は良くも悪くもない極々普通の学校
僕は、そこの高校寮に訳アリで住んでいる
寮といっても問題児だけが送られる寮
その名は...薔薇色荘
一見、棘で危険そうでも花が咲けば綺麗な花になると言うなんとも上手く出来てる名前だ
今の所住人は僕、滝之原流と、ここの先生兼管理人丸井乃優子
丸井乃さんはとても優しくてほんわかしている純粋天然のものすご〜く優しい人だ
本当に感謝している
急にジリジリ音が鳴ったので僕は慌てて飛び起きる
「なんか、他人に向かって僕のことを説明してる様な夢を見た
それより、出逢いとか必然的とかどう言う事だ?」
本当に奇妙な夢だ
俺は手でアラームを止め時刻を確認する
そこには7時30分と言う時刻が表示されていた
俺は急いで部屋から出て朝ご飯を食べる
朝ご飯は丸井乃さんが作ってくれてるから
今日のメニューは白米と焼かれた塩シャケ、それとお味噌汁。
和食最高
俺は急いで朝食を食べ制服に着替える
そんな急いでる時にある人が来た
すごく優しそうな顔で、髪は黒い腰の上まであるサラサラな髪を何も結ばない、そんな髪型で
白いシンプルなTシャツに黒のズボンを履いてると言うシンプルイズベストを象徴した様な服装
そう、この人こそが丸井乃さんだ
「早く行かないとダメだよ〜
遅刻しすぎると留年だからね」
「そういう、丸井乃さんもなぜこの時間にいるんですか」
「先生は、授業準備で遅れただけですよ〜」
「そういうのは学校でやるんじゃないんですか?」
俺は顔を洗いながら言う
「家でやる物もあるんです」
そう言われても丸井乃さんが担当する授業を僕の学年はないんだけどな
僕たちは玄関に移動し靴を履く
「今年からは先生の授業を受ける事になるかもしませんね〜
何故なら、今日、4月7日は滝之原君が高校2年生になる
始業式ですからね」
「そうだった
ていうか、今何時だ」
丸井乃さんは腕時計を見てこう言う
「今は7時50分です」
「やばい、自転車じゃ間に合わない」
薔薇色荘から学校へは自転車で40分かかる
本当に不良への待遇は酷い
まぁ、別に僕は不良ではないんだけど
「それなら、先生の車に乗ってください」
「ありがとうございます」
本当に恩に切る
車に乗り込みこんな話をする
「そういえば、薔薇色荘って僕と丸井乃さんしか居ませんけど他に不良って居ないんですか」
「居ませんよ
滝之原君も不良じゃないので高野木高校には不良は居ません」
車を運転しながら丸井乃さんは言う
「それっておかしくありませんか?
だってどこの高校にも1人や2人は不良が居るでしょう」
「そこは上の者が良くやってるんですよ
成績や素行が良ければ良い程いろんな事が楽になり、成績や素行が悪ければ悪い程いろんな事が大変になるんですよ
そして、その先が薔薇色荘
先生はこの制度をあまりよく思ってません
成績や素行が悪い子も楽する権利があります
まぁ、勉強は頑張らないといけませんけどね」
「だから、不良がいないのか」
しかしながら僕も成績や素行が悪い訳ではない
だから、この制度の全体を知ってなかった
ここでさっき聞いた成績の悪い奴の待遇を説明しよう
まず、一つ目
学校の食堂や販売を使えない
バレたら停学処分だそうだ
次に、二つ目
通学で歩き以外使ってはいけない
人によっては1時間以上かかるキツい仕打ち
最後に、三つ目
これが一番ヤバい
教師や学生から居ない者と扱われる
人権すら干渉するものすごい制度
これ以外にも色々とあるが代表的なものはこれだろう
そんな事を考えていると学校に着いた
僕は車から降り、丸井乃さんにお礼して教室に向かいながらこう思う
そういえば、僕には友達と言う存在は居ない
だがしかし絶対に、作れないのではなく作らないのだ。
別に人間強度が下がるから的な感じでは無い
そもそも、要らないのだ
自分の事をわかってくれる人なんて要らない
丸井乃さんに関してはあの人から強く話しかけられて色々としてくれたから心を開いてるだけなんだ
全て、あの事件のせいだ
僕は、今でもそう思っている
さて、今日の始業式もいつもと変わらないだろう
普段と違う所はクラスが変わるぐらいしか違う事がない
その様に淡々と学校は終わり今から何をしようかと考える
そうだ、今日は7がつく日だから花を買って焼けた家にでも花を供えとくか
あの事件も僕の小学校卒業式の3月17日に起きたからな
毎月7がつく日には花を供えることにしている
とりあえず、いつも花を買っている花屋に行くか
僕は電車に乗り花屋に向かう
その花屋は母親の親戚らしくこんな僕に同情して安く売ってくれる
有難い
そんなこんなで花屋に着き少し談笑してから菊の花を買って山に登る
僕の昔の家は山奥にある
登下校は苦労した
登山をする時もあの事を思い出してブルーな気持ちになる
僕は崖や地形を慣れた様に歩く
何回も歩いた道だ。
歩いていると、とある建物が見えた
そう、ここが僕の、滝之原家だ
相変わらず、焦げ色で色々な種類の木がボロボロになって倒れたり、割れたり折れたり
もう、散々だ
この建物を見るのは。
「また、暇な時にでも掃除してやるか」
俺は、地面に座って気を撫でながら言う
俺は、花を木に立てかけるように供える
もう今じゃ、木の柱も立ってないゴミの山だが以前はここに住んでたんだよなぁ
僕は、あの事を思い出す
以下、回想。
あれは、卒業式が終わってからの夜だった
明日から、春休み、少ししたら、中学生
そんなこともあってかいつもよりもはしゃいで少しだけでも大人になったんだと実感が湧きその日は寝なかった
午前1時ごろだろうか、2階の自分の部屋で遊んでいたら少し焦げ臭い匂いがして自分の部屋から出て一階に降りてリビングの襖を開ける。
その襖の先に広がっていたのは、火の海いや、炎の海
僕は、腰を抜かしうまく逃げれなくなった
周りを見渡していると炎の中に両親の死体が見えて泣き叫びたかったがうまく声が出なかった
よく見ると斬撃?の後があったがその時は気にならなかった
炎が広がり、もう死ぬんだと思っているとそこに一筋の光が見えた
僕は咄嗟に腕で光を遮り光がなくなった事を確認して腕をどかすとそこには人の後ろ姿があった
年齢は僕と一緒ぐらいだから12歳ぐらいだろうか
腰まで伸びた長い白色のサラサラな髪
水色を基調にした魔法少女の様なスカートと服
キラキラとしたその子の身長ぐらいの杖
そんな子が前に立ちその杖を両手で持ち手を前に伸ばし杖の先端から大量の水を放出し炎を一瞬で消化した
そこから、その子は一瞬で姿を消し僕は慌てて泣きながら山を下り消防署に行き、事の経緯を話すと笑われ追い出された
そのまま帰るも火が残っていたのか今の様に焼け落ちていた
その後はどうなったかは覚えてないがそのまま流れで施設に入った
回想、終
思い出してるうちに寝てたらしくもう夜になっていた腕時計を見るともう、7時だった
そして、立ち上がり帰る準備をしているとあの時と同じ様な光が出て咄嗟に腕で顔を隠しおさまってから腕を退かすとそこに居たのは
腰まで伸びた長い白色のサラサラな髪
水色を基調にした魔法少女の様なスカートと服
キラキラとしたその子の身長ぐらいの杖を持っている少女が立っていた
僕は、瞬時に理解した
あの時の子だと
だが、不可解な事がある
何故か、成長してないのだ
まぁ、他にも色々と不可解な事があるが一番に気になったのがこれだ
そして、その子が儚く消えそうな声で
「行く場所がないのです」
そう言った
「?」
何と言えばいいのか
「お前、行く場所がないのか?」
そう聞いてみる
普段は、声が出ないが何故か喋れる
あの日あったからだろうか
「あなたには関係ない」
そう少女が、そっけなく答える
「私は関係ない者には頼らない」
「少なくとも、関係はあるんじゃないのか?
あの火事の事覚えてるか?」
「その様な記憶がない
それに、私は今はこの様な姿だが実年齢は17歳」
俺より一つ年上じゃないか
「忘れてるのか
まぁ仕方ないか、もう4.5年ほど前だからな」
僕の様にいつまでも引きずる方がおかしいのか?
「それより、泊まる場所がないならうちの寮に数日なら泊まれると思うんだが」
「だが、迷惑をかける可能性が」
「大丈夫だよ
管理人も優しいし
早く行くぞ」
僕は荷物を持ち山を下り始める
「ちょっと待って
何故、私にそこまでする?」
女の子はそう聞く
「理由か」
僕は考えこう言う
「お前は記憶がなくても
僕はお前にあの時救われたんだぜ
とでも言っとくか」
「そう」
「そういえば、君の名前は?
僕は滝之原流」
「私は、リリア・ブルーウォーター
好きに呼んで」
「じゃあ、リリア行くぞ」
こうして僕達は出逢った
運命的で必然的に
属性少女の遭遇譚 カルミア @karumia_0120
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