追放令嬢博徒伝!

鬼居竜也

第1話、プロローグ

ノーベン王国の王都エリールに次ぐ都市と知られるダイス侯爵領セーウン。今では政治のエリール、文化のセーウンと名高いこの都市だが、ほんの数十年前までは木端の男爵が治める田舎の小さな町であった。


このセーウンを王国トップに押し上げた人物こそがアメリア・ダイス女侯爵であった。当初彼女は平凡な男爵の長女であり、爵位は弟が継ぐはずだった。しかし、どのような経緯を経てか家督を継ぎ異例の女男爵となった後は無謀とも言える施策を次々と実施。少なくない失敗もあったものの結果として1代でセーウンを大都市へと成長させることに成功し、最終的に侯爵へと陞爵された。


この成功の数々は多くの人も知るところでありまた別の章で語ることにするが、実は彼女は父親から爵位を譲られる以前に2年間領地を追放されていたことは余り知られてはいない。一部ではお家騒動であったとか、親子関係の悪化、他領視察の為と囁かれているが、どれも不確かであり、確固たる資料がない状況であった。


そこでこの章ではアメリア嬢がその2年間、どこで何をしていたかを徹底的な調査に基づいた結果から紐解いて行きたいと思う。



〈ピエール・メイディ著『ダイス・アメリアの生涯』から抜粋〉

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