ショー・マスト・ゴー・オン!~私のお兄ちゃんがステキな悪役すぎます?~

高田正人

プロローグ



 ここはシェークスピア総合芸術学園。

 日本でアーティストを目指す若者が通うならばここが一番、と言われる有名な学校です。

 校舎を中心に、街そのものが芸術のために作られた場所です。

 大きな劇場にコンサートホール。

 芸能プロダクションやスタジオの入っているビル。

 最新のファッションがそろったブティックに、逆に古い本がずらりと並ぶ古書店。

 それに、深夜までやってるラーメン屋さんやハンバーガーショップも。

 すべてが、この学園に通う生徒たちのために用意されています。


 シェークスピア総合芸術学園の標語。それは――


 Ars Est Ad Omniaアルス エスト アド オムニア


 ラテン語で「芸術はすべてに通じる」。

 この思想の下、シェークスピア総合芸術学園はあらゆる分野の未来のアーティストを育ててきました。

 学園の「芸術科」に通う生徒が目指す芸術は様々です。

 歌手。演奏家。

 ダンサー。アイドル。声優。

 画家。彫刻家。

 配信者。ゲーマー。

 そして――


 役者。


 そうです。シェークスピア総合芸術学園が一番力を入れているのは演劇です。

 毎年、学年ごとに二人の生徒が選ばれます。

 すばらしい主役を演じた「ファウスト」。

 すばらしい悪役を演じた「メフィスト」。

 演劇科の生徒達は誰もがこのファウストとメフィストを目指して、一年間努力し競争を続けるのです。


 これから始まるのは、一人の男子生徒とその妹の物語。

 男子の名前は潮崎湊しおざきみなと。高校一年生。今年のメフィストの最有力候補。完璧な悪役を演じることができる生徒。

 妹の名前は潮崎星羅しおざきせいら。中学一年生。今年から普通科に通うごく普通の女の子。

 

 仲良しの兄と妹をめぐる学園の不思議。大人の企み。演劇の難しさ。

 すべてはあの謎の作家、宮城亜門みやぎあもんの書いた「七つの傑作」が引き寄せているのかもしれません。


 さあ、幕は上がります。

 ようこそ、読者の皆さん。シェークスピア総合芸術学園にようこそ!

 Show Must Go On.

 どうぞすてきな悪役の兄と、かけがえのない妹の物語にご注目下さい――

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