day5 「突然の連絡」

 草木も眠る丑三つ時。数時間前から柊の傍らで穏やかに寝息を立てているフェリスとは対照的に、柊の目は冴えていた。



(眠れない。明日は昼からバイトなのに)



 もう何度目かも分からない寝返りを打ち、静かにため息をついて……柊は決意した。



(いつものあれ、やらないと落ち着かない……よし、少しやったらすぐ寝よう)



 柊はフェリスを起こさないよう、そっと布団から抜け出した。そしてカーテンの隙間から微かに漏れる月光を頼りに、ベッドと正反対の壁に向かって足音を立てずに歩いていく。それから壁に備え付けられている収納の扉に手を掛けつつ、横目でフェリスの様子を窺う。



(……起きてない、よね)



 相変わらずゆっくりと規則正しく動く布団の膨らみに安堵しながら、柊は静かに収納の扉を開けた。


 ——柊の年齢の割にかなり少ない私物。冬乃家の収納には、それらが間隔を開けて綺麗に並んでいる。その右奥には、型落ちのノートパソコンがぽつんと置かれていた。柊は物音を立てないよう慎重にノートパソコンを取り出し、近くのローテーブルに置いて起動した。


 すると、静かな部屋にノートパソコンのファンの音が鳴り響く。柊はそれを既知していたとはいえ肝を冷やし、フェリスが眠るベッドに再度視線を向ける。



(……うん、大丈夫そう)



 このファンの音でフェリスが目を覚まさないか不安だったが、今のところは大丈夫そうだ。柊は内心で胸を撫で下ろした。


 起動を済ませてファンの音が落ち着くと、見慣れたデスクトップが表示された。思わず目を細めながら画面の光度を落とした後、初期状態とほぼ変わらないデスクトップの中からメモ帳のソフトを開いた。


 メモ帳を開いた瞬間、パソコンの画面いっぱいに広がったのは。『死』というフォルダとそのフォルダに収納された、おびただしい数のメモだった。



「…………」



 インターネットブラウザのブックマーク。赤の他人のSNSアカウント。柊が住む付近の地図。電子書籍。パソコン上に次々と表示させたそれらで得たとある情報を、柊は一心不乱にパソコンのメモ帳にまとめていた。




(やっぱり溺死は苦しい)



 溺れた後に生還した人の体験談を読み、想像し、自分なりに噛み砕く。そして、情報や所感をキーボードで打ち込む。最後に体験談が書かれていたサイトのリンクをコピー・ペーストし、メモする。

 出来上がったメモを、フォルダ『溺死』に入れる。



(首吊りは意外と死にきれないし、後遺症が重い)



 SNSの検索結果から探し当てたアカウントの書き込みを漁り、スクリーンショットで書き込みを保存して、そのスクリーンショットと自分の所感をメモする。

 出来上がったメモを、フォルダ『首吊り』に入れる。



(飛び降りや飛び込みは他と比べて迷惑がかかりすぎる。でも、念のため場所は探しておく)



 デジタル上の地図を眺めて場所を見繕い、スクリーンショットと住所を記録してメモする。

 出来上がったメモを、フォルダ『飛び降り』『飛び込み』に入れる。



(生きていたらいいことがある。辛い環境からは逃げてもいい。楽な死に方は老衰。——求めてない)



 なけなしのお金で買っておいた電子書籍に目を通し、参考にならないことを知る。その電子書籍を本棚から非表示にすると同時に、タイトルをメモする。

 出来上がったメモを、フォルダ『参考にならなかった書籍』に入れる。




「……ふぅ。あと、もう少しだけ……」



 いつしかファンの音よりもキーボードを叩く音とマウスのクリック音の方が上回るほどに、柊はこの研究に夢中になっていた。


 ——自分で自分の命を断つ方法を調べてまとめる。それが柊の習慣であり、唯一の趣味とも言える行為だ。何をしても埋まらない空虚な心。あまり恵まれているとは言えない境遇。息苦しい世界。

 それらから、自分の人生そのものから逃げたくて仕方なくなった柊は。いつしか、この腐った世界から逃げる術を調べている時しか息ができなくなっていた。


 無我夢中でキーボードを叩くこの時間は、結局朝の4時頃まで続いた。





 午前9時、部屋にアラーム音が響く。柊は顔を顰めつつスマホの画面に触れ、その耳障りな音を止めた。



(……ほぼ朝方まで研究してしまったせいで眠い)



 眠い目を擦っていると、柊の視界がぱっと白に染まった。



「おはよう柊ちゃん!」

「わ……おはよう」



 白の正体は、柊の顔を覗き込むフェリスだった。フェリスの細い髪の毛先が頬に触れたこそばゆさで、柊は完全に目を覚ましたのだった。




 柊がバイトに行く準備をしていると、弾む声でフェリスが柊に問うた。



「柊ちゃん、今日も遊べる!?」

「無理。今日はバイトだから」

「そっかー、残念だなぁ」



 うーんと唸ってから、フェリスはおずおずと言った。



「……またお仕事着いていってもいい?」

「……仕事の邪魔したらつまみ出すからね」



 じとりとした目でそう言った柊に、フェリスは首を傾げる。



「えっ、邪魔したらおつまみくれるの?」

「追い出すって意味」

「ひぇ……」



 フェリスは猫耳をぺたんと下げ、それからバイトが終わるまで大人しくしていたのであった。



 

 その日の夕方。無事にバイトを終えて帰宅しようとしたその時、世にも珍しく柊のスマホが震える。ロック画面を見ると『新規メッセージがあります』の文字がぽつんとあった。



(……誰だろう)



 メッセージアプリを開くと、どうやら四葉からの連絡のようだった。連絡先を交換した日の夜に『よろしく』『よろしくです』のスタンプで終わっていた四葉とのやり取り。そんな寂しいトークルームに新規メッセージが来ていた。



『柊が良ければ今度お茶しない?』

「……うーん」

「柊ちゃんどうしたのー?」



 ととと、とフェリスが駆け寄ってきて柊を見上げる。柊は少し迷ってからフェリスの手を取り、テレパシーを送った。



『四葉にお茶に誘われて……どうしようかと思って』

「行ってみたらー?」

『なんで』



 即答えたフェリスに、柊もまた即テレパシーを返した。



「だって柊ちゃん、わたし以外に友達いないでしょ? 友達を作るチャンスだと思うんだ!」

『……フェリスと友達になった覚えはないし、友達なんていらない』

「そんなぁ……」



 分かりやすく落ち込むフェリスに、柊は流れを変えようと慌ててテレパシーを送る。



『……うん、適当に断っておく』

「わー、ダメダメ! 四葉ちゃんとお茶してよー!」

『何なのさっきから……!』



 先程からやけに必死なフェリスに、柊は思わず強めの口調でテレパシーを送った。フェリスもそんな柊に負けんばかりに声を出して懇願する。



「もう少し四葉ちゃんを見てたら、何か思い出せそうなの! お願い柊ちゃん!」

『思い出せそうって……何を?』

「そ、それは分かんないけど、とにかく何か忘れてる気がするの!」



 一息に言い切ってふぅ、と息をついたフェリスに、柊は渋々テレパシーを送った。



『仕方ないな……ただお茶するだけでいいの?』

「……! うん! わたしは四葉ちゃんを見て何か思い出せないか考えてみるから! ありがとう、柊ちゃん!」



 柊は仕方なくスマホに文字を打ち込んだ。



『いいよ。いつにする?』



 ——それから柊と四葉の間で話が進み。最終的に柊と四葉(とフェリス)は、明日の夕方に四葉が提案したカフェで会うことになったのだった。





 金曜日の夕方ということもあってか少し混み合う駅近くのカフェに、柊とフェリスは約束の時間ちょうどにやって来た。四葉がいないか様子を窺っていると、



「あっ、柊……! こっちだよ」



 店の奥からこちらに手を振る四葉がいた。揺れる金髪のツインテールが暖色の証明に照らされてきらりと光る。どうやら四葉の方が先に着いていたようだ。店員のごゆっくり、という声掛けを背に、柊とフェリスは店の奥へ進んだ。



「ごめん。待たせた?」



 柊はそう言いながら、四葉の向かいの椅子に腰掛ける。



「そんなことないよ。今来たばっかり」



 そんな柊に、四葉は制服の襟を正しながらはにかんだ。



「むむむ……」

(……フェリス?)



 四葉の横に立って唸るフェリスが気になりつつもなるべく見ないようにしながら、柊はメニューに目を通した。



「……注文していい、かな?」

「いいよ。すみませーん」

「ごめん、ありがとう」



 幼稚園の頃から変わらず気遣いのできる子だな、と思いながら、柊はホットカフェオレを注文した。





(カフェオレって結構苦いんだな……次はもっと甘いのにしよう)



 柊はカフェオレを啜って微かに顔を歪めた。



「ねぇねぇ、何かお話しないのー?」



 四葉の横で呑気にそう言ったフェリスに、柊は察しろと言わんばかりの視線を送った。



(……久しぶりに会ったはいいものの話題がないんだよ──!)

「んー?」



 やはりと言うべきか、視線の意図はフェリスには伝わっていないようだ。すると、四葉がアイスコーヒーを一口啜ってから笑顔で口を開いた。



「ひ、柊ってさ、どこ高?」

「えっと……進学しないでフリーターやってる」

「そ、そうなんだ! すごいね……!」



 再度沈黙が流れる。柊と四葉は顔を見合わせ、苦笑いした。



「むむむ……あと少しで、何か……!」

(何か、思い出せそうなの……?)



 一方のフェリスは、何かを思い出せそうな様子を見せながらうんうんと唸っていた。




 ——それから、少し経った時のこと。



「う……」

(フェリス……!?)



 フェリスがいきなり呻き声を上げて倒れた。突然の出来事に、柊は思わず音を立てて椅子から立ち上がる。周りの客に注目された柊は小声で謝罪しながら、そっと椅子に座り直した。



「柊、どうしたの? 大丈夫……? 体調悪い?」

「えっとその……ごめん、急用ができて……本当にごめん」



 柊は四葉に何度も謝りながら、再度椅子から立ち上がる。そして、倒れ込んでぴくりとも動かないフェリスを体の前に抱いた。柊の首にフェリスの冷え切った頬が触れ、柊の背中に冷や汗が伝う。



(……どうして)



 柊はフェリスを抱いたままその場に立ち尽くす。



(どうして……? どうしてフェリスは急に倒れたの……?)



 柊は顔を青くしながら、テーブルに置いていたスマホをパーカーのポケットに突っ込んだ。そしてジャージのポケットの中に入れていた財布から500円玉を一枚取り出してテーブルに置き、四葉に向き直る。



「せっかく誘ってくれたのにごめん。今日の埋め合わせは必ずするから……! それじゃ」





「待って柊! お金、こんなにいらな──」



 あたしが伸ばした手が虚しく空を切った。突然柊がいなくなってしまったことに呆然としつつ、あたしは柊が置いていった500円玉をおずおずと手に取る。



「どうしよう……柊が頼んだカフェオレ、500円もしないんだけど……そうだ、お釣り取っておいて次会った時に返そう」



 あたしはぶつぶつと呟きながらメニューを開いてお釣りの金額を計算し、スマホにメモするのだった。そして空のアイスコーヒーと冷めきったホットカフェオレを見ながら、あたしは考える。



(柊……最後の方、顔色悪かったな。体調悪いのに無理させちゃってたのかも。明日また連絡してみよう)



 そこまで考えて、あたしはふととあることを思い出す。



(あ……あたしは)



 “それ”を思い出して柊の小さな微笑みと重ねた瞬間、あたしの心臓の鼓動が早くなっていった。



「柊に……また会っても、いいのかな」



 あたしのそんな小さな呟きは、店内に流れるクラシック音楽に混ざって消えた。





 夕方の駅の人混みを抜けた瞬間、柊はフェリスを落とさないように走り出した。そしてそろそろ家に着こうかという時。柊は耳元で、微かに吐息と弱々しい声を感じた。



「──潰されたの」

「え……?」

「わたしは、昔……何かに潰されて。生きられなくなったんだ」

「……フェリス?」



 柊は思わず立ち止まって、フェリスが紡ぐ次の言葉を待つ。しかし今日はそれきり、フェリスが口を開くことはなかった。




 翌朝。傍らで何かが動いた感覚で、柊ははっと目を覚ました。



「フェリス……!」

「……おはよう、柊ちゃん。あれ、お家……?」



 柊の心配を余所に、フェリスの顔色や声色はすっかり良くなっていた。柊はきょとんとしているフェリスの小さな肩を両手で掴む。



「昨日は、何があったの」

「……あ」



 昨日の出来事を思い出した様子のフェリスは、バツが悪そうに両手を擦り合わせた。



「えっとね、四葉ちゃんを見てたら、思い出したの……」

「何を?」

「……潰されたこと」

「潰されたこと……?」



 そういえば昨日の帰り道もそんなことを言っていたな、と柊は思い返す。



「わたしは、暖かいところにいたのに……急に潰されて、真っ暗になって……全部なくなって、それでっ」

「もういい。もういいから」



 目を見開いて俯き、がくがくと震え始めたフェリスを柊は慌てて制止した。自身の胸に顔を埋めて震えているフェリスに、柊はどうしたものかと天井を見上げて考える。




「そ、そうだ……。お昼ご飯は何か、一緒に作ろう……? ほら、少しは気分も晴れるかもしれないし……」



 柊は初めてのことに戸惑いながら、フェリスの背中を慣れない手つきで擦ってなるべく優しく声をかける。



「うぅん……いいの……?」

「うん。作るのは……サンドウィッチかな。一昨日の夜と同じで申し訳ないけど」

「……嬉しいな。えへへ……」



 フェリスは柊の胸の中でにへらと笑った。少し元気を取り戻した様子のフェリスに、柊はひとまず安堵の息を吐くのだった。





 そろそろサンドウィッチ作りを始めようかと柊が考えていた時。珍しく部屋の隅に座って大人しくしていたフェリスが、真剣な面持ちで口を開いた。



「柊ちゃん」

「何?」



 フェリスは立ち上がり、柊に歩み寄る。



「わたしは昨日、何かを思い出して、倒れて……柊ちゃんに迷惑をかけちゃった。ごめんなさい、柊ちゃん」

「いや……いいよ、別に」



 柊はフェリスが倒れた瞬間のことを思い出す。ぞっとするほど冷たい身体。何度も呼びかけたにも関わらず、翌朝まで回復しなかった意識。



(──思い出したくもない)



 ふとそんな言葉が頭の中に浮かび、柊は驚いた。他人のことをそこまで注視し、心配したことがなかったからだ。



「でも……でもね。辛いけど、知らなきゃいけない気がするの」



 フェリスの言葉で意識が現実に引き戻される。フェリスは息をひとつ吸ってから、座椅子に座る柊をまっすぐ見つめて言った。



「だからまた、四葉ちゃんに会わせてくれる……?」

「…………」



 柊はすぐに肯定できる訳もなく、ただフェリスの紅い瞳を見つめるのだった。





 フェリスと四葉との間に何かがあった。それは確実なはず。フェリスの様子を見るに、明るいことではなさそうなのは問題だけど。

 フェリスがこれほど真剣に訴えるのは珍しい。それに、辛いことに向き合う覚悟もできているように見える。だから、できることなら会わせてあげたい……けど。



「柊ちゃん、どうしたの? なんで震えてるの……?」



 なぜか、体の震えが止まらない。



「……なんでもない」



 震えた声でそう言ってから、はたと気が付く。


 ——あぁ、そうだ。きっと私は、フェリスを失うことが怖くて仕方ないんだ。出会ってから大して日も経っていないし、友達になった覚えもないのに。


 ……あまり考えたくはないけれど。もしも四葉に会わせた結果、またフェリスが倒れて、そして二度と目が覚めなかった、ということがあったら。私は、とても苦しくなると思う。そして、四葉に会わせるという選択をした自分が一生許せなくなるとも思う。


 うん。正直、四葉とフェリスを会わせたくない。ただの私のエゴではあるが、私が出した結論はこれだった。




「……正直、私は。あまり四葉に会ってほしくない」

「えっ……」



 フェリスは眉を下げて、残念そうな顔をした。自分の発言のせいでフェリスにこんな顔をさせたという事実に少し心が痛み、私は思わず「……もう少し考えさせて」と口に出してしまった。



「……! うん!」



 その言葉を聞き、フェリスはにっこりと笑った。なぜかフェリスに対してはイエスマンになってしまう私は、そんな自分に呆れたのだった。





 柊は少し考えてから、静かに口を開いた。



「フェリス。約束してほしいことがあるんだけど」

「約束してほしいこと? なぁに?」



 フェリスは猫耳と尻尾をピンと立てて正座し、柊の次の言葉を待つ。



「1、四葉とは私の家で会うこと。2、絶対に無理をしないこと」

「……! ふむふむ……!」

「できる?」

「うん、できるよ! でも、なんで柊ちゃんの家で会わないとダメなの?」



 フェリスは柊の提案をすんなりと受け入れつつも首を傾げた。



「私の部屋ならすぐベッドで横になって休めるでしょ。外だとそうもいかないし」

「なるほど!」



 納得した様子のフェリスは、尻尾をゆらゆら揺らしながら柊の手を両手で握る。



「柊ちゃんがいいならそうしよう! ね、早く四葉ちゃんお招きしようよ!」

「わ、分かった。分かったから……!」



 フェリスに気圧されて、柊はローテーブルに置いていたスマホを手に取った。そして、とあることに気が付く。



(……ちょっと待って。久しぶりに会ってあんな別れ方して、次は急に家に誘う……!? というか改めて謝罪の連絡するの忘れてた……あぁもう……!)



 柊はひとまず謝罪の連絡を入れることにした。



『おはよう。昨日はごめんなさい。埋め合わせは必ずします。本当にごめんなさい』



 そんなメッセージを送信し、柊はため息をついた。



「はぁ……」

「四葉ちゃん今日来る!?」

「いや、来ないと思う。四葉は忙しいから……私と違って学校もあるし」

「そうなんだー、残念だなぁ」




 フェリスとそんな会話をしていると、スマホが2回震えた。スマホを見ると、四葉から可愛らしいうさぎのおはようスタンプの後にメッセージが送られてきていた。



『そんなに謝らなくていいよ!笑 用事の方は大丈夫だった?』

『用事は無事に片付いた。本当にごめん』

『それはよかった! 柊が良ければ、また今度遊ばない?』

『ありがとう。私もまた会いたい』



 それから柊はとある文章を打ち、少し躊躇ってから勢い良く送信ボタンを押した。



『四葉が良かったら、私の家来ない?』

『え、いいの? 私は嬉しいけど本当に大丈夫?』

『一人暮らしだから大丈夫。いつでも来ていいよ』

『そこまで言うならお邪魔させてもらおうかな!』



 四葉のそのメッセージを見て、柊はほっと息を吐いた。あとはもう少しやりとりして予定を合わせれば、四葉は無事に家に来てくれるだろう。




 すると突然。どこからか、ぐぅ〜と間抜けな音がした。



「……あ」

「ん? 何、今の変な音。柊ちゃん知ってる?」

「さぁね。……ほら、そろそろサンドウィッチ作るよ」

「やったー! 作るー!」



 ──こうして柊とフェリスは二人でサンドウィッチを作り、仲良く頬張ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る