この物語は、最初から「救いのない夜」に読者を立たせる。
雪と闇に包まれたプロローグは、逃げ場のない孤独と罪の重さを予感させ、
第1話では一転して、恋人からの返信を待つだけの密室へと舞台が移る。
けれど、どちらにも共通しているのは**「誰かに依存しなければ立っていられない心」**だ。
返事のないLINE。
光を失った部屋。
スマホだけが唯一の繋がりであり、同時に孤独を突きつける存在になる。
恋愛の苦しさとして読める一方で、
その依存の行き着く先が、プロローグで語られた“闇夜の女”へと繋がっていることに気づいた瞬間、物語の温度が一段階下がる。
これはただの恋愛小説ではない。
孤独、執着、自己否定が積み重なった先に、人はどこまで壊れてしまうのか。
静かで、冷たくて、目を逸らしたくなるほどリアルな闇を描いた一作。