Luna

びー

1章 動機

第1話

歴史とは、人が人を殺して焼いて紡いだ不吉なものだ。

少なくとも、私はそう捉えてたよ。


人の、命というものを______________


2634年12月、西の果てにある国ドゥランゴにて、大規模な反乱が起きた。

ドゥランゴ政府による圧政や税の急激な引き上げに、国民の一部が耐えきれなくなったためだ。


それと同時期、2635年1月、ドゥランゴに隣接する隣の国ボドルはドゥランゴに向けて侵攻を開始。やがて戦争は続き、ボドル軍は侵攻軍と呼ばれるようになった。

だが侵攻軍は、反乱軍とは結託する事はなく、反乱軍、ドゥランゴ軍、侵攻軍、三つ巴の状態のドゥランゴには混沌が訪れていた。


その戦にて、大きく活躍した兵器がある。

それは、強化人間。


とある物質、"アムニソン"を用いり人体手術を施し、普通なら装備できないような兵器・兵装の"モジュール"を装備できるようになった。また、身体能力なども飛躍的に向上するようになり、その兵器は単独で戦車や戦闘機相当の戦闘力を有し、徐々に装甲車などの陸上兵器の一部とその立場を入れ替えつつあった。


そして、この戦は1人の強化人間によって、幕を閉じる事となる。



○□△×



木の杖を持った茶髪、初老の男は、"それ"をただ見つめていた。暗い部屋の中、"それ"にゆっくりと近いて行く。


檻の中で獣が鎖に巻かれ繋がれるように、また"それ"も檻の中で、小さい躰に見合わぬ鎖によく似た頑強な拘束具に全身を巻かれ繋ぎ止められていた。


「"これ"は、何だ?」


初老の男はその部屋中、右側の窓際にある椅子に座り机に頬杖を突く茶髪の工業服の青年に問う。工業服の青年は気怠げに外を見ながら初老の男の問いに答える。


「ランドレー、"それ"はベルトラ孤児院の強化人間。なぁんか孤児院の連中の一味を殺して脱走しようとしたやばい奴らしいよ。」


ランドレーと呼ばれた初老の男は答えを聞くと再び"それ"を見つめる。"それ"は深々とした引き込まれるような濁った赤色の瞳を宿していて、ランドレーはそれを品定めするように覗き、吟味した。


そして店の中にしばらくの静寂が訪れる。

工業服の青年はその見兼ねたのか椅子から立ち上がりランドレーに近づき口を開いた。

「それで、"これ"にするの?」

そう冷ややかに言う工業服の青年、初老の男は青年を見る事なく「頼む、ジム」と肯定する。


ジムと呼ばれた青年は部屋の入り口であった鉄の扉から出て行き、すぐさまその暗い部屋にタブレット端末を持ちながら戻って来た。タブレットの画面をタップし光をつけ右へ3回ほどスライドすると、その画面左には何列にも並んでいる細かな横書きの文字、その横には赤い瞳を持つ黒髪の少女の写真が映る。


ジムはその細かな文字の一部を読み上げ始める。


「ルナ・ルシオ、11歳女。出身地不明、経歴不明、施術ベルトラ孤児院、生年月日2637年12月3日、対応モジュールは…なんかいっぱい。

価格は280万ドゥル。今、モジュールサービスやってて対応してるモジュール、一個サービスできるけどどうする?」


ルナと呼ばれた"それ"は自身の名に反応し僅かに体を捩らせる。


「…そうだな、スコープモジュールで頼む」


ジムはそれを聞くと、「また使い潰さないでよ」いい再び部屋を出て行った。

誰もいない薄暗い静寂に支配された部屋の中ランドレーは呟く。


「服を買う手間が省けたな…」


壁にかけられた時計はただ針を次へ次へと進めて行く。



○□△×



ルナはゆっくりと、目を開ける。


「眩しい…」


その赤の瞳に刺すように映る夕焼けの光は強烈で、思わず目を細めた。裸で仰向けにベッドに寝そべるその小さな体を起こす。先程目を刺した光は、頭の方の壁の窓のようだ、ルナは窓を除く。


窓から見える景色は一面の森。自身のいる場所が何処か全くわからない。


すると、コツココツコと足音が聞こえた。

完全に醒めた目で右を向くと木の杖を持った初老の男、ランドレーが近寄り裸のルナに少し年季の入った少女のズボンとシャツを渡した。


状況が飲み込めず困惑するルナ。そんなルナにランドレーは


「今日から俺が…ランドレー・ドラスがお前の飼い主だ…すぐに仕事を始める。それを着て一階のリビングに来い。」


と言い部屋の入り口のドアの横にある写真立ての位置を少し変えて部屋を出て行く。


ルナはそこまで聞いてやっと状況が理解できた。自分は強化人間でランドレーに買われた事に。


ルナ着替え部屋を出て、階段を降り、一階のリビングへ出る。台所、机、書斎があった。

その机の隣の椅子に座っていて、こちらに気がつき振り向き


「準備はいいな?」


と言った。ルナは頷き肯定すると、ランドレーは立ち上がり本棚にある赤い本と青い本の居場所を入れ替えると、本棚は二つに割れ左の書斎は右の書斎の下へ重なるように移動した。

すると移動しできたスペースにはドアが現れる。


さながら秘密の隠し通路とも言える物に、ルナは「すごい。」と淡白な感想を述べた。

2人はそのドアを開け、中へ入って行く。



○□△×



その小さな地下室の部屋の中には複数の武器、ライフルやショットガン、ハンドガンなどが右の壁にかけられ、左の壁には盾や小さなベッドホンつきのVRゴーグルのような物、大型のライフルなどが掛けられていた。そして前の壁の下には防弾チョッキやマントなどが人形に着せられていた。さながら武器庫のようだ。


ランドレーは口を開く。


「そこから好きなのを選べ。言い忘れていたが、お前の仕事は主に傭兵業。言い忘れていたが、気を引き締めておけ、死は一瞬だ。」


ルナは2つ返事でそれに応じ、壁にかけられた武器達を地面におろして行く。


すると、ランドレーは仕事の説明をし始めた。


「今回のお前の仕事は、"反乱軍セリア基地のミサイル爆破及び強化人間シルバの排除"、依頼主はボドル侵攻軍。ターゲットにはお前のような強化人間もいる。

悪いが今すぐにここを発つ、出発は今日だ。」


そう言い終える頃にはルナは装備を選び終え、床に置いていた。ブルパック式で減音器付きのアサルトライフルに単発式のハンドガン、マント、ゴーグルモジュール___だが、それのどれも身に着けようとする事はなかった。


すると、ルナは困り果てたような顔でランドレーに言う。


「…マスター、装備の付け方がわかりません。」


ルナの救助要請に対しランドレーは一言。 


「…まだ11歳だものな、仕方ない。」


ランドレーは防弾チョッキを地面から拾い上げルナに装備させるべく被せ両脇、背中、腰につけられたベルトを締めて行った。


その途中ルナに問う。

「何か質問はあるか?」

ルナはその言葉に頷き、一つ問う。


「あの。この服、多分私のじゃないですよね。

それに、家の中に私と同じような子供がいるわけじゃないのに、何でこの年季の入った服が…」


ランドレーはその質問に対して、何も言わず。

何も話さず。ただ黙り込んだ。

そして暫くの沈黙の後、観念したかのように答えた。


「___孫娘がいた、もう8歳の頃に死んだな。

お陰で、お前の服を買う手間が省けた。」


そう言うが、少しその声は震えていた。

ランドレーは気まずくなったのか、話題を自身からルナへと変える。


「そう言えば、一つ聞きたいことがあった。

お前には、何か夢や憧れはあるか?」


「…そうですね。

強いて言うなら、"人間を知りたい"です。」


ルナは俯きながらそう答え、続けて口を開く。

「私は、あの孤児院の中の劣悪な環境下で手術を受け、記憶を無くしました。元々の機能に障害がある、所謂"粗製"の強化人間なんです。」

そう語るルナ。

悲しい過去の筈であると言うのに、何も感じていないようだ。

まだ話は続く。


「それに、人間の頃の記憶がありませんから、人間がどういう物であるかを忘れてしまったんです。だから、私は"人間を知りたい"」


その言葉を聞いたランドレーは、何とも言えぬような、心が締め付けられるような感覚を覚えた。それは目の前の少女が、自身の人としての存在を否定し、それを憐れんだ訳では無い。


「そうか、俺の呼び方は"ランドレー"で良い」


ただ、目の前のこの少女が、今はいない幻葬の少女と重なって見えただけだった。





○□△×



武装を装備し終え、2人は家を出る。

家の前には一台の黒いトラックがエンジンを吹かして2人を待っていたようだった。


すると、トラックの窓が開き中から防弾防護服を着た男が顔をこちらに覗かせた。

するとランドレーはその男について言及する。


「彼はお前が売られていた店の支店長のジムだ、お前を戦地近くまで運んでくれるように手配しておいた。

長い間世話になる、挨拶はちゃんとしておけ。」


最後の一言に対し、大変遺憾といったような雰囲気を出しながら


「そういう所、嫌い。」


とだけ言った。


ルナはジムに対して頭を下げながら


「お世話になります。よろしくお願いします。」


と言い、トラックの荷台へ乗る。ジムはその挨拶に「うん。」と快く応じ、首を縦に振った。

ジムはエンジンを再度吹かし出発の準備を始めた時、ランドレーはジムに「よろしく頼む」とだけ言った。ジムはそれに対しまたルナの時と同じく「…うん。」と応じるが、ルナの時とは違い、ちっとも快く応じてはいなかった。


そして、トラックは森の外へ向けて走り出した。



「ランドレーの話だと、ここだね。」


ルナとジムを乗せた車はあれからとある山間部の河川敷に到達した。ルナは車から降りるとジムにトラックに乗る前と同じ謝礼の言葉を述べた。

するとジムは言う。


「構わないよ。けど、死なないでね。君みたいに大型テレビと同じ安い値段の奴はともかく普通の強化人間は強い割に買う団体やら企業やらが少ないからさ。」


「はい、心掛けます。」


ルナはそう言いゴーグルモジュールを目の位置まで下げ、川の向こうへ歩き始めた。



○□△×



あれからルナは川を超え、山の森の中を突き進んでいた。山間部の河川敷と言うのは、サリア基地横の河川敷だった。


『ルナ、聞こえるか?』


「はい。マス…ランドレー。」


ルナは耳元に装着されている小さなアンテナが伸びた丸い板のような物__通信装置を抑えながら、そこから聞こえるランドレーの声にそう応じた。ランドレーはルナの返答をきちんと傍受したようで、作戦の内容について言い始めた。

『よし、通信に問題はないようだな。

目標に向かいながらで構わない、依頼の内容についてもう一度話す。依頼は、反乱軍のセリア基地にあるミサイルの爆破と、そこに在中している強化人間シルバの排除だ。

依頼主はボドル侵攻軍。


まずはミサイルについてだ。』


すると、ルナのモジュールゴーグルの赤みがかった視界の中には三つほど画像が現れ、横一列に並ぶ。


一つ目は反乱軍サリア基地の衛星写真。

二つ目は基地内にあるミサイル発射台の画像。

三つ目は茶髪に白い瞳を持つ男の画像。


すると、二枚目のミサイルの画像と、一枚目の基地の画像が拡大される。


『このミサイルは基地北部ある。

侵攻軍の間では"反乱軍の牙の一つ"とも呼ばれている、これを失うのは相当な痛手だろう。

つまり警備が厳重であるということだ。

用心しておけ。』


続いて三つ目の男の画像が拡大された。


『次は強化人間か。シルバ・ガント24歳、民間の軍事会社イージスの強化人間だ。

元々はイージスの従業員のようだったが、最近結成された、"精鋭揃いの隊"に入る過程で強化人間手術を受けたようだ。

単独での基地襲撃を多数成功させて居る。こいつは所謂"謹製"、相当な手練れだ、最悪撤退しても構わない。』


「…了解しました。」


すると三つの画像は全てゴーグルモジュールの画面外に消え、視界は完全に以前のやや赤みがかった景色へと戻る。


今度は右上に車のカーナビのような物が現れた。自身の居場所を示すマップのような物のようだ。


『そろそろセリア基地が近い。

ルナ、銃のセーフティは外しておけ。』


「了解。」


『それから、忠告を一つやろう。

"Make hay while the sun shines." (日の昇るうちに干し草をつくれ)、強大な敵に勝るチャンスは必ず訪れる。見逃すなよ 』









○□△×



ルナはそれからセリア基地の側面の森の木一つの影につき、そこから基地の警備の数を確認していた。ゴーグルモジュールにより、その全てが赤く見える。


(監視塔の上に2人、その下に2人、基地内を巡回しているのが1つ。)


ルナはしゃがみ再度塔の上にいる警備を見る。

アサルトライフルのトリガーに指をかけた。


塔の上の警備は高台をぐるぐると巡回しているようだ。

ルナは塔の反対側へ警備兵が行った段階で影から飛び出し、素早く基地の塔の下に駆け出す。


「物音?」


塔の下の兵士が物音に気付いたのかこちらに振り向こうとした時、ルナは2人の兵士に向かってフェンス越しにフルオートで発砲した。

「あガガば!」

警備兵の1人は弾を上半身にまともに受け倒れる。


「おのれッ!」


「っ!」


するとその影からもう1人の警備兵が現れルナに向けてサブマシンガンをフルオートで発砲した。

1人はこの2人目の盾になっていたようだ。

ルナは素早く進行方向を前から右へ切り替え飛ぶように駆ける。

警備の銃弾は素早く動くルナに当たる事は無かった。ルナは銃弾を避けながらセレクターレバーを3点バーストへ切り替え2人目の喉に向かい2回発砲。


「くふぉッ…」


2人目は喉から血を吹き出しながら倒れた。


『ルナ、よくやった。敵の数は多い、弾を切らさないように気をつけろ。』


「了解。」


ルナはランドレーの助言にそう返した。


強化人間になる事で得られる物の一つとして

身体能力の向上がある。

単純な筋力強化や全身持久力の強化、そして動体視力の強化などだ。

この一連の動きにはこう言った強化人間の恩恵による効果が顕著に出ていた。


ルナはマガジンを腰のマガジンポケットに入れている物と交換しコッキングし、フェンスをそのまま飛び越え中へ侵入。

中にいた二体の肉塊に向かって一発ずつ射ち死亡確認。

二体の兵士は既に事切れていた。


そのまま塔の扉を開けて塔の上に向けて階段を駆けあがった。

塔の上まであと少しと言う所で、階段の上からこちらに銃を向けながら飛び出したのは警備兵。


「コンタクトッ!」


すぐさまルナに向けて発砲した。

ルナは左右の壁を踏み、上へ飛びながら銃弾の回避を試みるが、右脇腹に一発受けてしまう。


「…!」


ルナは空中にそのまま体を投げ出しアサルトライフルを兵士に向かって撃ちながらそのまま踏みつける。


その兵士はそのまま絶命。ルナはそのまま踏み越え監視台へ体を投げ出した。


「なっ!」


監視台の中にいた2人目の警備兵はこちらを待ち構えていたのか、四角い箱の後ろに屈み、空中を飛ぶルナを見て呆気に取られていた。


ルナは飛びながら銃を兵士に向けて三発ほど発砲。左首筋と右目にまともに受けるが事切れず、そのまま後ろに倒れジタバタと転がる回る。

ルナはそのままその兵士を左足で踏み、アサルトライフルを顔に押し付けとどめを刺す。

そして、一息吐いたその時だった。


「くふッ…!?」


途端ルナの右脇腹に、まるで灼熱の炎で炙ったような痛みが走った。ルナは右脇腹を抑えながら地面に片膝を突く。

するとランドレーから通信が入った。


『ルナ、大丈夫か?防弾チョッキに当たっていたようだ、対してダメージは通っていないだろう。あまりにも痛むようなら胸ポケットの鎮痛剤を使え。』


そうルナにランドレーは言うが、ルナは首を横に振る。


「問題…ありません…続けます。」


そう言い、右脇腹を抑えながら立ち上がった。

ルナは監視塔の展望台へ、他の敵に正確な場所を発見されぬよう身を屈めながらそっと地面を見下ろす。


兵舎や武器倉庫らしき建物、そして大きなミサイル発射台が見える。


そして、他の警備兵達が、少しずつであるがわらわらと監視塔の近くに集まり始めていた。


『まだ正確な位置は気取られていないらしいな。所詮は、素人の集まりだろう。

行くぞ、ルナ。』


「了解、ランドレー。」


ルナはそう返し監視塔横の三つほど積み上げられた物資コンテナの列に飛び移った。

そしてコンテナからコンテナへ変わるが悪飛び移りながら発射台に向けて走る。


するとランドレーから通信が入った。


『…ルナ、一つ聞きたいことがある。』


「…なんでしょう、ランドレー。」


『お前は、人を殺して心は痛まないのか…?』


ルナはその質問を聞くと、コンテナの上で立ち止まる。

そして、数秒の沈黙の後、答えを吐いた。


「…ちょっと、もやっとします。」


ルナは胸に手を当てた。

ちっぽけな感想たが、本心だ。

ランドレーは何も言わず、何も聞かず、ただ何か察したように


『こんな時に聞いてすまない、切るぞ。』

と言って、通信を切った。



○□△×


セリア基地ミサイル発射台横のテントや小さな六角形のテントが複数ある物資倉庫群。ルナは積み上げられた兵糧などの物資入りの木の箱からミサイル発射台の様子を伺っていた。


「侵入者が居るらしい、ここは何としてでも死守するぞ!」


警備兵の1人がそう他の警備兵達に命令する。

きっと、彼がここらの警備兵を指揮する分隊長なのだろう。


『ルナ、発射台に近づけたようだな。情報によるとそこは武器庫や弾薬庫などもあるそうだ。子供の強化人間では爆発に耐えられん。流れ弾に当たって爆発でもすれば一貫の終わりだ。交戦は避け穏便に、隠密に行け。』


ルナは頷きマガジンを交換、再び警備兵達の様子を伺う。



発射台はの形は二段の楕円形で、その周りを警備兵が2人1組の2組でぐるぐると巡回していた。さらに、その一段上の制御装置室へ繋がるであろう扉を守るように左右に立つ2人。

先程の分隊長はその巡回組だ。


(…誘い出して目を盗む…?反対側に回って様子を見た方がいいですかね…?それとも強行突破…?いや______)


ルナには何か考えがあるようだった。

唐突に彼女はランドレーに通信を繋いだ。


「ランドレー。」


『なんだ、ルナ。」


ルナは辺りを見回すと、ちょうど黒字で銃の弾が描かれた木の箱を背後に見つける。


「この基地の一部を、破壊してもよろしいですか?」


『…ああ、一応許可はされては居るが…?』


立ち上がりルナはアサルトライフルをコッキング。薬室から出された弾を掴むと、警備兵に向けて投げた。


 投げれた弾は、綺麗に弧を描きながら巡回している2人の警備兵の前へ転がり落ち、靴にコツンと当たる。


警備兵の1人は


「…こ、コンタクト!」


そう言い銃をこちらに向け、今まさに発砲しようとしたが、隣のもう1人の警備兵にそれを止められた。どうやら下手に撃てば引火、爆発しかねない事を察したらしい。

ルナは誘うように警備兵に向かってべえっと舌を出し、倉庫の奥に走って行く。


「なにをッ…!」


「おい待て!」


止められた警備兵は大変遺憾と言わんばかりに銃口をルナに向けながら後を追う。その光景に、思わず横にいた警備兵はうんざりだと言わんばかりにため息をつき、耳元の通信機に指を当てる。

「報告、例の侵入者がミサイル発射台の横の武器倉庫前にて目撃。現在侵入者は通信指令本部の方角に向けて逃走している。」

そう報告すると、その警備兵の後を追った。



ルナはあれから武器・物資倉庫群の中を走り回り、一つの十字路に出る。そこにあった三段ほど積み上げられた手榴弾のマークが書かれた箱のをこじ開け、二つ手榴弾を取り出した。そして、それらによじ登り六角テントの上へ登って行く。


『考えがあるようだな…』



その時、セリア基地を守っていた警備兵達はルナが取り出した手榴弾の箱の周りやテント群の中に密集していた。

ルナは手榴弾のピンを抜く。

警備兵がルナの存在に気づいたのか銃口をテントの上に向けるが、すでにそこに侵入者はおらず、ただピンが抜けた1つの手榴弾がテントの上から手榴弾入りの箱の横へと落ちていた。




「はっ…はっ…はっ…はっ…」


ルナは息を荒げながらひたすらにミサイル発射台の方角へ走る。六角テントの上から別の六角テントの上へ。


何かから逃げるように。



そしてあのミサイル発射台が見えて来る。

それと同時に、背後に物凄い熱波を感じ、るなは瞬間的にミサイル発射台に向けてその身を投げ出した。







背後から現れたのは、真昼の太陽のような眩しい光、肌を荒々しくなでるような凄まじい熱波、耳を劈くような悲鳴、回る視界と浮遊感。

気づくとルナは空中に放り出されていた。

地面へ不時着、凄まじい衝撃に体が軋むような音を立てる。そのままごろごろと地面を転がった。


「く…」


『派手にぶつけたな、大丈夫か?」


ルナは立ち上がり、


「ええ、まだやれます。」


と答え周囲を見渡す。

地獄という言葉がぴったりな景色。

鼻腔に広がる鉄の匂いと、人や木の焼ける匂い。猛火に包まれるテントや警備兵達。警備兵が猛火に炙られうめき声を上げる。

それは、足元からも聞こえた。


「うぅ…痛、いぃぃ…」


ルナは足元を見ると、そこには警備兵が横たわっていた。血を吐き、内臓を夕日に晒し、それでもなおまだ死ねない苦しみを味わう哀れな人間が。


「あぁ…いやぁ…しにたく___」


ルナはアサルトライフルを警備兵のこめかみに突きつける。警備兵はそれでも尚、生にしがみつこうと言葉で足掻くが、ルナは淡々と引き金を引いた。


そして、物言わぬ肉塊となった警備兵からアサルトライフルを離す。


『…お前は、強化人間手術で記憶と感情の両方を失ったようだな。」


○□△×


ルナは発射台制御室のドアを開ける。

中には誰もおらず、ただくらい部屋に発射操作用のモニターには低電力モードの文字が映るだけだった。すかさずルナはアサルトライフルをモニターに向けて乱射。発射するのに必要なレバーやスイッチなどにも乱射し、その全てを鉄塊へと形を変えて行く。


そして、弾が尽きた所で、スイッチやレバーのある制御デスクに手榴弾を投げ部屋から足早に制御室を出て、ドアを押さえた。

 大人ひとりが思いっきり叩いたような衝撃と共に焦げるような匂いが鼻腔に入り込んだ。

再びドアを開けると室内には火が上がっており、レバーやスイッチ、モニターの一部が飛び散っていた。


「ランドレー、発射台の破壊が完了しました。」


『よくやった…例の強化人間はいないか?』


ランドレーの言葉を聞いて、背後の炎上するテント群や侵入した時に登った塔の方向や、通信司令室らしき石造の建物を舐めるように見渡すが、その強化人間らしき肉塊や死体はなかった。


『…どうやら居ないようだな。

よし、帰投しろ。」


ルナはその命令を聞いて、来た道に向けて歩き出したその時





___山から一本の閃光が、ルナのゴーグルモジュールを貫いた。



「っ!」


酷い耳鳴りと共に体勢を崩し倒れかけるが、すんでの所で右足を前に出し持ち直すと、ルナはすぐさま発射台の裏へ身を隠すために転がり込んだ。

そして、すぐさまゴーグルモジュールだった鉄塊を顔から外し状態を確認する。


ゴーグルモジュールの状態は極めて悲惨だった。まずゴーグルの左上半分は原形を留めておらず完全に砕けており、そこに開いた穴はゴーグルの右下へと完全に貫通していた。あと少しでも頭側にずれていれば破片が目に突き刺さって失明していただろう。


当然、ゴーグルは何も映さない。


『……ナ、何が起きている?返事をしろ!」


ここでやっと耳鳴りが治まり、通信機器から聞こえるランドレーの声に気がついた。


「すみませんランドレー。モジュールがやられました。狙撃です。」


『了解、どの方向から撃たれた特定できるか?』


ルナはそれを聞くと、銃のマガジンを変え2回コッキング。薬室から弾き出された銃弾を再び制御室ドア前の空間へ投げた刹那、一筋の閃光が走った。

走った閃光は飛び出したばかり銃弾に見事に命中、銃弾は空中で完全に砕け散る。


『…なるほど、東の山からの狙撃。今のを見るに例の強化人間か。

しかし、なぜ山か___』


___刹那、閃光が走った。


「っ…!?」


走った閃光はルナの"右手"に命中し、薬指と小指の第二関節から上が弾け飛び空中で弧を描きながら、汚い音を上げ地面へ転がり落ちる。

東の山の位置から見てちょうど四角の位置にあるはずの右手が撃ち抜かれていた。

閃光の発信源は、テント群より向こうの通信司令室の屋上。



『まずい、クロスファイアだ!

今すぐそこを離れろ、ルナ!』


ルナはすぐさま立ち上がり、即死を免れる為に頭をアサルトライフルで覆い隠し、焼けるテント群の反対側、南の山へ走る。


○□△×


長距離用スナイパーライフル。

その銃口から噴き出る紫煙。

発砲時に銃から発せられる衝撃や風圧により辺りには円形に広がる埃や、石転がりの一部など衝撃波の後が散見された。


『こちらオペレーター。シルバ、侵入者の排除は済みましたか?』


そう左耳につけた通信機器から聞こえる女性の声に茶髪に白銀の目を持つ、戦闘服にイージスの一員である事を示す銀の盾の紋章が入った男の強化人間、シルバはスナイパーライフルをコッキングしながそれに答える。


「いいや、まだだ。」


『ドローンモジュールの狙撃合わせて3発、いつもの貴方ならすでに殺せている弾数です。』


「…はぁ、例の侵入者はまだ子供の強化人間だったんだ。トリガー引くのが少し遅れた。」


『…そうですか。では、速やかに対象の排除をお願いします。ドローンモジュールの使いすぎは、あまりよろしく無いので。』



 東の山から一体のドローンがやって来た。

そのドローンの下部にはシルバと同じスナイパーライフルが付いていた。

そう、これがシルバのモジュールだ。


「はいはい、脳が焼き切れる前に殺しますよっと。…終わったら、飯でも食べに行こう。」



○□△×


あれからルナは南の山の山間部に逃げ込んだ。

その森の中、ルナは木にもたれかかり座り込む。


『ルナ、大丈夫か?』


「はあ…はあ…はい…右手を…やられましたが…

生きてます…」


息を切らしながらランドレーにそう答えるルナ。その後左胸のポケットから鎮痛剤らしき注射器を取り出し、右手首に打ち込んだ。

吹き飛んだ右手の薬指と小指の痛みが引く様子は無い。


その後、マントの端を引きちぎり右手に巻いた。あまり衛生的では無いがこの非常時ではそんな贅沢は言っていられない。


『ルナ、一度撤退しよう。

主任務の基地のミサイル発射台の破壊は済んでいる。』


「…了解、ランドレー。」


ルナはそう言い、さらに森の中へ足を進めた。



そして、足を進めて数十分。最初に決めていた合流地点である山間の河まであと少しと言ったところで、森の中に一つ、教会を見つけた。

草木が生い茂り、一部が崩壊・崩落し内装などが見え隠れしている。

かつてこの教会に有ったであろう厳かな佇まいは最早見る影も無い。


ルナはそれを見るとランドレーに問う。


「ランドレー、建物を見つけました。絵のような色のついた窓や、無数にベンチみたいな椅子が並べられています。

これは何でしょう?」


『…教会だな、ドゥランゴの信仰するグルック教の教会。

強化人間が追跡して来ているかもしれん、ひとまずそこで身を隠した方がいいかもしれん。』


ルナがその言葉に返答しようとした時、背後の茂みが揺れた___



「…よいしょっ。」


___現れたのは、長距離狙撃用のスナイパーライフルを持った茶髪に白い瞳を持つ強化人間、シルバだ。

シルバは辺りを見渡すが、瞬間的に教会の大扉の裏へ身を隠したルナを見つける事はできない。


だが、空中にいるドローンは別だ。


「っ…!」


空中に飛んでいるドローンモジュールの下部に取り付けられたスナイパーライフルから弾が放たれ、閃光のように飛びルナの二の腕の肉を掠めた。

ルナは一瞬怯み、ドローンへアサルトライフルを向ける。

が、茂みの中にいるシルバの狙撃により、アサルトライフルのサプレッサーを撃ち抜かれ阻止された。


「ランドレー…まずい状況になりました。」


茂みの奥からシルバが現れる。


「ランドレー…?

あぁ、お前ランドレーってヤツの強化人間か。上からよく聞く、自分の壊しまくってる奴だって。」


『貴様…』


「…?」


シルバの物言いが癪に触ったのか憤慨するランドレーを横目にルナはアサルトライフルから破損したサプレッサー素早くを抜き、シルバに構えた。


「おいおい右手と言い腕と言い、ガキなら普通泣き叫ぶぞ。まさかお前、痛覚がないタイプの粗製かぁ?」


シルバもまたスナイパーライフルをルナへ構える。



___仕掛けたのはルナ。

ルナはシルバに向けて急接近し顔にアサルトライフルを突きつける。

シルバはそれを手で払い頭突き、前蹴り。

ルナは後方へ1mほど吹き飛ばされるがすぐに体制を立て直し、上空からのドローンモジュールによる狙撃を左に体を捻じ曲げ回避した。


すかさずできたルナの隙にシルバはスナイパーライフルを構え撃つ。

ルナはしゃがみ込みそれをさらに回避。

銃弾が頬を擦る。

左へ転がりながら上空のドローンに向けて発砲した。


しかし、ドローンは急速にその体をシルバに向けて加速し銃弾を躱し、シルバの横に着く。


「ただの粗製じゃないな、粗製特有の動きの無駄がほとんどない。子供の癖によくやる___』


ルナは言葉を遮るように弾をばら撒いた。

シルバとドローンは上に高く飛んでそれらを躱しルナに発砲。

ルナは右に転がりそれを躱す。


「所詮は粗製か…」


シルバは呆れたように言い、コッキングした。

その隙に対してルナは発砲せず三点バーストにセレクターレバーを変えた。


続いて背後からのドローンの発砲。

ルナは左に体を翻し躱すが、避けきれずルナの右脇腹に命中。ルナは右脇腹からくる焼けるような痛みに思わず屈んだ。

シルバはその好奇を逃さまいとスナイパーライフルを向け、引き金を引いた。



______瞬間、一つの閃光と三つのライナーが飛び交う。






「…お前、まさか狙って…」


三つの穴が空いたスナイパーライフルを見て、シルバはそう呟いた。

対してルナは無傷…のように見えるが、シルバが撃った銃弾はにルナの左耳を吹き飛ばしていた。


無傷のように見えるのは、ただ左耳が髪で隠れているだけ。

すると、シルバはドローンから落ちたスナイパーライフルをキャッチした。


「貴方は、"人間"を知っていますか?」


「は?」


唐突に臨戦態勢を崩し、シルバに向けてルナはそう問う。シルバはその質問を聞いて、一瞬心理戦でも仕掛けられたのかと思ったが、ただこちらを無表情で一直線に見つめるルナを見て流石に違うかと思い、言葉を返した。


「人間か…そうだな、金蔓兼肉壁になるって事は知ってるよ。で、それがどうしたんだ?」


「…いえ、何も。」


そう淡々と答えるルナ。

シルバはそれを見ると、突然吹き出した。


「ぷっははははははは!粗製ごときが俺たちの事を金で動く戦争の道具程度にしか思ってねぇ"奴ら“の事なんて知ってどうすんだよ!

あっははははは!」


一通り笑い終えると、シルバはスナイパーライフルをコッキングした。

その言葉に何も違いは無い。

例え感情や心が精神があったとしても、強化人間という物が兵器である事に変わりは無かった。人々はその兵器を、戦争の中で利用し、使い、撃ち、殴り、潰す。シルバ含め元は人間だとしても、強化人間という兵器である以上所詮は戦争の道具でしか無いのだ。ましてや、その底辺の"粗製"の強化人間がその道具の産みの親を知った所でなにができよう。



自ら強化人間になったシルバが、それを物語る兵器のひとつだった。

笑ったのはそんな現実に呆れたのか、絶望したのか。

すると、そこへオペレーターが割って入る。


『…シルバ、与太話がすぎていますよ。

早くそこのを片付けて下さい、目的のセリア基地防衛は失敗しています。』


「あー、悪るかった。でも、失敗したのってお前が武器やらモジュールやらの調整をしようって___」


シルバの返しを最後まで聞き取る事なくオペレーターは通信を切った。オペレーターのやべぇ態度にシルバはため息を大きく吐き、ルナにライフルを構えた。ルナもまたシルバにアサルトライフルを構える。


先に動いたのは、シルバ。

シルバはルナに発砲するのでは無く、構えを解きルナに急速に近づいた。

長引く戦闘でお互い弾が少くなってきていた。さらに口径が大きく、かさばり、携帯が難しいシルバのスナイパーライフルの弾はその影響をさらに受けやすい。であれば、至近距離で弱点を打ち抜き仕留めるのが合理的だ。


彼のその行動は少量の合理性とシルバの「粗製なんかに負けない、ミスをしない」と言う慢心とプライドが含まれていた。


シルバの接近に対しルナは左に飛ぶように避けながら発砲。

シルバは背後へ体を翻し躱す。


今度は逆にルナが近づいた。

アサルトライフルをシルバに近づけてながら急接近。シルバはそれを避けるのでは無く、逆にそれに合わせてライフルの銃口に向け発砲。


「っ!」


放たれた閃光はルナの肩を貫通した。

痛みでやや顔を歪ませるルナとは対照的にシルバは笑みを浮かべる。

が、それはすぐに消え失せる事となった。


ルナは貫かれた肩など気にも留めず、アサルトライフルを投げ捨てシルバに突進。

そのまま押し倒す。


「粗製がぁ…ッ!」


馬乗りになったルナはヒップホルスターから拳銃を抜く。シルバもまたポケットから拳銃を抜いた。

ルナはシルバの拳銃を撃ち抜き、またシルバはルナの銃を拳で弾き飛ばした。


シルバはルナに殴りかかるが、胴体に抱きつかれ躱される。シルバがルナの背中へ肘打ちを二、三回ほどすると、ルナは顔を若干歪めながら離れた。


距離の空いたふたり。

足元に拳銃が落ちていたのは、シルバだった。

シルバは拳銃を拾いあげ、ルナに突きつける。

ルナは終わったように、体から力を抜いた。


「手こずらせやがったなぁ!」


だが___



「あぁ、クソ。慢心だったか」



___ルナの手から滑り落ちたのは、グレネードのピンだった。

ルナはシルバの拳を躱すために抱きついた時、グレネードのピンを抜いていた。

シルバはその事実に気づかず、勝ったと確信していた。


爆発するシルバの上半身。


幸いなことに、胸部から心臓までを吹き飛ばされ、上半身と下半身が別れるだけに終わり、遺体の"人として"の原型はある程度留められた。


ルナが去ろうとした時、シルバの耳にあった通信装置から声がする。


『シルバ!?聞こえる?シルバ!!返事をして!』




ルナは事切れたシルバを見つめる。

耳につけられた通信機からは声を震わせながら何度もシルバを呼ぶ女性の声が漏れ出ていた。


「ランドレー、帰投します。」


『了解した。最初の河川へ向かえ、ジムが待っている。いやしかし、慢心が原因で死ぬとは、皮肉だな。』


ルナは、俯きながら地面に投げ捨てたあのブルパック式のアサルトライフルを拾い上げ、ランドレーに問う。


「…なぜ、人間は慢心するんですか?」


『そう、だな…人間は、しあわせや喜びが身近になってしまうと、ついそれが当たり前と思ってしまう、思い込んでしまう___』



ランドレーの脳裏に浮かんだのは、死んだ孫娘の笑う顔。



『___思い込んでしまうと、忘れてしまう。

そのしあわせや喜びが無い辛さを。それが"慢心"だと、俺は思う。』


「慢心とは、時に人間を殺し得る物なのですね。」


そうルナは呟き、河川に向けて歩き始めた。

またランドレーは頭を中で、ルナと今は居ない少女を重ねていた。



○□△×



河川に出ると、ジムがセリア基地とは反対側の岸でこちらを待っていた。

ジムはルナを見つけると、トラックの荷台に乗るよう手で催促する。


ルナは河川を渡りトラックの荷台に乗り込んだ。


「お疲れ様、頑張ったね。」


ジムはそう言うとエンジンをふかしトラックを走らせた。



○□△×



地をてらす日は山に沈み、星の影が現れ始めていた。


ルナはまた、ランドレーに問う。


「そういえば、ランドレーには何が夢や目的は、あるのですか?」


ランドレーはその質問を聞くと、少し黙り込み、その後言葉を選ぶようにゆっくりと答えた。


「そう、だな…お前が知りたがっている"人間"を守るためだ。それ以上は、言えない。」






シルバのオペレーターの、あの声がどうにも耳に残っていた。

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