7話


そして夕方まで部屋で、いろいろ話したりした

貫地谷さんの病気は血液の病気だけど難病指定されていること。

初めて知った時はびっくりしたけど

大丈夫!と笑っていた。

深刻な話にもなりたくないみたいで、私と湯川さんのことを色々聞いてきたけど‥

桑田さんも彼氏がいるみたいだけど休日はいつも彼の家でゲームをしていることなど

貫地谷さんは高校卒業したら専門学校に行って自分のお店を作りたいなどお互いの夢を話していた。

私は、高校卒業したらどうしてるんだろう

受験生というのにそんなことあまり考えずにいた自分にもびっくり。


そうしてしばらく私の部屋過ごして夜ご飯はまたお母さんの夜ご飯を食べて過ごした。

今度は食卓にグラタンとカレー、アクアパッツァ、野菜のアヒージョ、フライドチキンなどが並べられてる。

クリスマスイブということもあってお昼も夜もとても豪華な食事。

貫地谷さんと桑田さんがまた「料理上手〜」とお母さんを褒めててそのたびに笑顔のお母さんをみることができて私は嬉しかった

「ねぇ、みんなさえ良かったら今日うちに泊まらない?こんなこと初めてだし

きっと高校卒業したらそういうことも無くなる。学生のうちにお泊りとか恵愛が喜んでくれたら嬉しいなって思って」

不意にお母さんがこういい出したのだ。

「え!ちょっとやめてよ、みんな忙しいよ‥

私皆とクリスマス過ごせただけで普通に嬉しいのに」

恥ずかしくなってお母さんの前で首を横に振る。

「え!いいんですか!」

「いいんですか!」

そしてなぜか二人とも喜んでいた。

「え‥むしろいいの?」

すると2人同時にスマホを取り出して少し操作しててすぐさまポケットの中に入れた。

「今、親に連絡入れました。確かにこういう貴重なことって学生の今しかできないなと思って。」

「うん。大学とか社会人なってもできるかもしれないけど友達の実家でって言うのはできなくなるでしょ。恵愛ママもいるから心強いし

私も親に連絡入れたんで大丈夫です」

まさかお泊まりもなんて‥

こんな幸せな事があっていいのだろうか。

私はほっぺたをつねったが痛くて夢じゃないことを実感する。

「ほんと?よかった。恵愛もいつかは一人暮らしするかもしれないから、こういう思い出作っときたいなと思って。

それじゃあお母さんま朝食作り張り切ります」

こんな元気な親をみたことなかったので‥嬉しくなる。


そして貫地谷さんがお風呂掃除をします!と言ってくれたのでお母さんは喜んでいた。

その間に桑田さんと私でゲームをしたり漫画読んだりしてて、

お風呂はそれぞれ一人で入ったが


部屋に入ると入れ替わりで人が出ていくがソワソワして落ち着かなかった。

もう貫地谷さんと私はお風呂から上がって、

今は桑田さんが入ってるので部屋には二人だけだ。

「ねぇ、恵愛ってメイクする?」

「しないよ」

「風呂上がりだから今日はしないけど明日してみたら?それか明日、私が恵愛にしたい!

これ、私のだけど多いから半分上げる」

貫地谷さんがカバンから白いポーチを出すとそれを机の上に置いてファスナーを開けて中身を取り出す。

するとよくわからないものがたくさん出てきた。

「これはアイシャドウ、これはマスカラ

これはチーク、これはファンデーション、

これはアイライン、これはリップ、

これはコンシーラー、これは眉マスカラ

これはビューラー」

一つ一つ指を指しながら名称を言ってくれる。

うんうんと頷くだけで何が何の役割を果たしているのか分からなかった

テレビを見て女優さんがメイクをしているというのは分かっているが。

「一番はじめに化粧水と乳液で肌を整えて、それから日焼け止めクリーム使ったり下地をつけてからファンデーションを塗るのね。

私は高速違反になりそうだから日焼け止めしか塗ってないんだけど。

そこからアイシャドウをどんどん塗って‥」


「夏紀、話し盛り上げすぎ。恵愛困ってるじゃん」

いつの間にお風呂から出たのか桑田さんが話を止める。

「あぁ‥ごめんね」

苦笑いする貫地谷さん。

「恵愛ごめんね、この人昔からそうだから

小学生の時からメイクしてるんだけど

人にメイクするの大好きみたいでさ」

‥。貫地谷さん、人にメイクするの大好きなんだ‥

「あ‥だから専門学校?美容の?」

そういうと貫地谷さんがちょっと照れた感じで頷く。

え。なんか可愛い。


それから3人気まずくなったのか、

メイクのことを簡単に教わってそこからは少しだけ枕投げをしたり

恋バナをしたりした。

主に桑田さんの彼氏のことには詳しくなった。年上の彼氏で車の整備士をしており、車のことになるとウンチクが止まらなくなりたまにうんざりしていること、

でも彼氏の家に泊まりに行って彼氏に料理作ったりして一緒にゲームしてお泊りしている間はとても幸せなこと、

明日のクリスマスは2人でデートすること

いつか同棲しようねと話していること

リア充の話なんか聞きたくないと貫地谷さんが言ったので貫地谷さんも彼氏いるじゃんと私がいうと中々会えてないという話になった。

でも明日のクリスマスには久しぶりに会うらしい。何でも桑田さんカップルとダブルデートとか。。

ので今度は貫地谷さんがまた「大輝とはどうなのよ」と私に話を振られて、曖昧な話をずっとしていたらいつの間にか深夜になっていた。

ベッドには私が寝て

ベッドの下には布団を2枚敷いて、貫地谷さんと桑田さんが寝ることになった。

高校生活最後、友達とお泊り

今までそういう事がなかったのでウキウキして寝られるかとても心配‥



けどいつの間にか朝になって目覚まし時計を見ると9時を過ぎていたのでびっくりした。


朝、貫地谷さんにメイクしてもらって

鏡を見てびっくりした。

片方の目は眼帯をしているからわからないけどすっぴんより可愛くなってる。

「恵愛は色が白いからピンクが似合うね!

パーソナルカラーも春とか夏なんじゃないかな」

パーソナルカラーはよくわからないけど

メイクってこんなに変わるのかとびっくりした。

「ありがと!私でもできるのかな」

「うん、できるよ!チークもつけるともっと可愛くなる!リップも。リップもピンクの方が可愛いかもね。」

やり方を教えてもらってYouTube等も見てみた。



「今日はありがとうございました。すごく楽しかったです。」

「ありがとうございました!楽しかったです!よかったです」

玄関で靴を履くと貫地谷さんと桑田さんが頭を下げて笑顔で言ってた。

私もお母さんと玄関まで見送る。

「またいつでも来てね」

「はい!ありがとうございます!」

「野田さんまた大晦日の日に神社で会おうね✨」

「うん。ありがとう貫地谷さん。桑田さん」

2人に手を振る。

貫地谷さんと桑田さんと私は大晦日の日にも会うことになっているのだ。

お母さんはもうじゃんじゃん会いなさいと言ってくれている。


クリスマス当日、お昼過ぎ、私はお母さんとショッピングモールに行き、色んな服を見たり雑貨屋さんを見た。

「そのメイク可愛いね。貫地谷さん、恵愛のことよくわかっててお母さんほんとに自分のことのように嬉しくなるわ」

「えへへ‥」

顔も可愛くてオシャレな服がたくさん売っててテンションが上がる。

試着をしてお母さんに見てもらったりしていいねと言ってもらって買ってもらったのは、白いセーターにノースリーブ型の分厚いワンピースになってる服だ。

薄い緑色になってて、落ち着いた雰囲気だ。

そして茶色いブーツも買ってもらった。

それからスタバでキャラメルマキアートを頼んで休憩する。お母さんは抹茶ラテ。

抹茶の濃いのがたまらないらしくて今度私も飲んでみようと思った。

すると私の隣の席に、大学生くらいのカップルが向かい合わせに座ってた。

私は何故か気になりじっと見る。

女の子はパソコンを広げてキーボードを片手にアイスを食べてる。

男の子は片手を頭に起きながらうーんとか首をひねらせたりしてる。

「まだ終わらん?」

数分経って女の子がノートパソコンを閉じると彼氏らしき人に言ってた。

「卒論ムズ」

カップル…。クリスマスだし当然か。

貫地谷さんと桑田さんはダブルデートするって言ってたし…

私はお母さんと約束があるからあれだけど…

聞こえない方の耳を触る。

これはスペアの方。

湯川さんにまだ会えてない…。


「恵愛、好きな人いるでしょ」

「え?」

ショッピングモールの帰り道、お母さんから思いがけない言葉が出てきてびっくりした。 両手には紙袋2個手に持って重く感じたのにその言葉で何故か軽く感じる。

好きな人…?

「いないよ」

何故か湯川さんの顔が頭に出てきたからびっくりした。

するとお母さんは私が左手に持ってた紙袋を持ち始めて前へ歩いていった。

羨ましい…は、羨ましいと思う。

クリスマスにデートとか…貫地谷さんとか桑田さんとかも。

でも今まで別に好きな人いてもいなくてもお母さんと過ごせればそれでいいと…。

昨日楽しかったから私はそれで十分幸せだ。

貫地谷さんと出会ってから義耳に出会えてから今までより人生楽しいからそれ以上は望んでないのだ。

ショッピングモールでは大きなクリスマスツリーが飾ってあり、緑色、水色と色が違うツリーもあった。

そしてキラキラと装飾等がされており家族や友達同士、カップルなどがたくさん見えた。

ショッピングモールから出るとあったかい暖房の風から一気に冷たい風になり冷える。

ほっぺたが熱かったのが一気に凍えるような寒さにもなる。

空を見ると暗い夜空に無数の星が輝いていた。

冬の匂いが好きになってきた。




「甘酒いる?」

「要らん、まずい」

「甘酒って美肌効果にもいいらしいよ。体にもいいよ」

「じゃあ飲むわ」

「単純だな」

「うるせーわ」

2人のやり取りにまた自然と笑みが出る。

今日は大晦日の日。貫地谷さんと桑田さんで都内の神社に来ています。

私はさっきそこで女の人にもらった甘酒を貰って、熱いので冷ましながら飲んでる。

「野田さん、あいつ今から来るって」

「あいつ?」

「大輝。」

!湯川さん?

貫地谷さんの言葉に驚く。

「あれからちょっと重症の患者さんが来たり、体とか。それ以外に仕事も忙しかったみたいでなかなか来れなかったみたいで昨日まで仕事していたらしい。」

昨日まで仕事してたんだ…

そういえばリハビリステーションで働いてるって言っていたもんな…

「仕事終わった後にはいつも寝てるって、大輝の親が言ってたから…」

「…激務なの?」

「年末はどの職場もそうだーみたいなこといってたけどね。病院内は患者さん相手にしてるから…患者さんの容態とか変わるのかな。

看護師さんとか医者の方が忙しいとは思うけど」

甘酒をちょっとずつ飲みながら貫地谷さんが言った。

そうだったんだ…

「でも義耳渡すくらいできるだろって思ったけどさ」

「だよねー。」

…。耳渡すくらいだけどそれでもめんどくさかったのかな私の事

あの時smileであったことを2人にも言おうとしたけどやめた。

全て話して2人受け入れてくれたのにお店のことも話して遠ざけてしまったらと思うと言えなかった…

スマホを見ると時刻は夜の23時を回っていた。

大晦日の朝の日はお母さんとスーパーに買い物に出かけ、おせちとか正月にまつわるものを沢山買って、ゆっくりと過ごしていたのだ。

楽しかった。

ショッピングとかスーパーに行ってもあまり人の目を気にしなくなったし…

全て気にしないって言ったら嘘になるけど

「夏紀〜!桑田さん!野田さん」

神社の入口の方から湯川さんが走ってこちらに向かってきた。

湯川さんは黒色のチェックのコートに白いセーター…黒色のパンツを着てる。

ショッピングモールでもそんな服を着てる男の人をチラホラと見かけた。

そして細身だった。湯川さんも。

「今日も夕方まで仕事だったんだけど急いで切り上げてきた…このままだと上司が帰してくれそうに無かったから」

「そういえばそんな激務だったけ?」

貫地谷さんが湯川さんに近づいて話す。

「患者さん何人掛け持ちと急ぎの仕事が重なると特に」

「社会人恐ろし」

「桑田さんと夏紀はまだ5年もあるじゃん」

「5年後、大輝みたいに忙しくなるの?」

「仕事内容にもよるだろうけど、

年末とか月末は特に忙しくなるんじゃないかな。さすがに年末年始はあるけどね。

あと俺はもうすぐ2年目だけどまだまだ駆け出しの身だから先輩に教えてもらいながら日々勉強の毎日だよ」

「社会人大変ー。先輩、尊敬します」

「‥あはは。まだまだ全然尊敬される立場じゃないから笑」


「それより、野田さん」

!左側にいた?湯川さんがいきなり正面に立ってきた。

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しるし smile @117ab

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