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  • 第14話 感慨への応援コメント

    阿月礼さん、自主企画に参加してくれてありがとうな。

    今回は『もう1つの東西冷戦-富子の逃亡』を、第14話まで読ませてもろたで。第二次大戦後も大日本帝国が続いてる1968年いう大きな歴史IFが土台にあるんやけど、ウチが特に惹かれたんは、そんな大きな歴史の中でも、人らが配給や家族や近所付き合いに悩みながら暮らしてるところやった。国が動いても、毎日の生活はそう簡単には変わらへん。そのちぐはぐさが、この作品らしい味になってるんやと思う。

    ほな今回は「猫の縁側」の温度で、人の不器用さや可笑しみを大事にしながら、夏目先生に見てもらおか。

    ■ 夏目先生

    阿月礼さん、第14話まで拝読いたしました。

    この作品を読んでいて、わたくしがまず面白く感じたのは、世界の出来事は非常に大きいのに、そこで暮らす人間の悩みは驚くほど身近だということです。

    国は分断され、政治や軍事の緊張が続いております。しかし妙子さんが日々心配しているのは、配給であり、家族であり、周囲の目であり、柴崎家に関わったことで自分まで疑われるのではないかという不安です。

    妙子さんは富子さんを一方的に悪人として見切ることができません。けれども、だからといって勇敢に庇えるわけでもない。人を気遣う気持ちと、自分の家族を守りたい気持ちが同時にあるのです。

    これは立派さとは少し違います。しかし、そこが人間らしい。

    人は正しいことを理解したからといって、すぐ正しく振る舞えるとは限りません。むしろ、どうしたものかと考えながら日常を続けてしまう。その不器用さが、妙子さんを社会説明のためだけの人物にせず、一人の生活者として見せているように思います。

    第10話以降、富子さん自身の逃亡へ焦点が移ると、作品にはまた違った親しみが生まれます。

    追われる身である富子さんは警戒しながら逃げ続けますが、その途中で猫と出会い、ヒロと名づけて連れていきます。

    これは合理的とは申せません。

    猫は鳴きますし、腹も減ります。逃亡生活には、どう考えても荷物が一つ増えるようなものです。それでも置いていけない。そして連れてきた猫が声を上げれば困る。

    自分で仲間にしておいて、その仲間に困らされる。なかなか愛すべきことであります。

    しかし、この少し困った選択によって、富子さんが単なる「指名手配された逃亡者」ではなくなっています。周囲を警戒している人間が、それでも自分より小さな存在には手を伸ばす。猫を助けたようでいて、富子さん自身もまた、一人きりではなくなったのでしょう。

    この作品では、こうした人物の行動がとてもよく効いております。

    社会や政治については、地の文で丁寧に説明されます。一方で、富子さんがヒロを連れていくような場面では、説明より行動そのものが人物をよく語っています。人物というものは、自分を説明しているときより、思わず何かをしてしまったときの方が、案外よく姿を見せるものです。

    ですから、気になる点を一つ申し上げるなら、人物の行動がすでに十分に語っている場面では、地の文の説明を少しだけ控えてもよいでしょう。

    本作の「常識」や「闇」といった言葉には、作品世界を支える役目があります。ただ、同じ概念を繰り返し説明するより、人物が黙ったり、言いたいことを飲み込んだり、別の返事をしたりするだけで見えてくるものもあります。

    会話についても同様です。返答の言葉だけでなく、返事をしないことや、話をそらすこともまた、人と人との距離を示します。妙子さんのように、本心と行動がきれいには一致しない人物がいる作品ですから、そうした会話のずれを少し残すと、人間関係はいっそう立体的になるでしょう。

    また、第14話では視野が広がり、個人の暮らしと国際政治が同じ作品の中へ置かれていきます。巨大な国家の動きに関わる人物にも家庭があり、家族への思いがある。この作品では、歴史が大きくなればなるほど、かえって小さな生活の存在が目につきます。

    戦争や政治を扱う物語でありながら、第14話まで読んだわたくしの印象に強く残っているのは、迷いながら暮らす妙子さんと、逃げながら猫を連れていく富子さんです。

    国家は人間へ役割を与えます。しかし、人間は役割どおりにだけ生きてくれるほど素直ではない。

    その少し不器用なところに、この作品の温かさがあります。

    阿月礼さんには、どうかこの「大きな歴史の中に残る、小さな人間臭さ」を大切に書き継いでいただきたいと思います。後半で、それぞれの人物の暮らしと大きな歴史がどのように重なってゆくのか、楽しみにしております。

    ■ ユキナ

    夏目先生、ありがとうな。

    ウチも今回読んでて、歴史や政治の大きな動きと、人らの小さな暮らしが一緒に描かれてるところが心に残ったわ。

    妙子さんは迷うし、富子さんは逃げながらヒロを連れていく。誰も完璧やないし、いつも理屈どおりに動くわけでもあらへん。でも、その不器用さがあるからこそ、「この世界で人が暮らしてる」感じが伝わってくるんやと思う。

    特にヒロの存在は、重たい状況の中にちょっとだけ温度を足してくれてたな。危険やから置いていく、とは簡単に割り切られへん富子さんのところに、ウチは親しみを感じたで。

    阿月礼さん、読ませてもろてありがとう。大きな歴史の話の中でも、人の迷いや情をちゃんと残してるところが、この作品の魅力やと思う。この先で、その小さな選択がどう物語へつながっていくんかも楽しみやね。

    なお、自主企画参加履歴は「読む承諾」の確認として扱ってるんよ。参加を取りやめた場合は前提が変わるから、応援・評価・おすすめレビュー等を見直すことがあるので注意してな。

    ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
    ※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。

    作者からの返信

    常々、お世話になっております。
    「ただ、同じ概念を繰り返し説明するより、人物が黙ったり、言いたいことを飲み込んだり、別の返事をしたりするだけで見えてくるものもあります」
    私としては、小説を書く時に、小説でありながら、論文的に書く傾向があり、そのことを他の方々からも指摘されています。
     もう少し、登場人物の言動等で説明できればよいのですが、私の力不足で、なかなか上手くいかないですね。しかし、改善に努力します。