第2話 始まりのすぐあと

あの時から、霊の影をちょくちょく見るようになった。

住んでいた家は築年数はあったものの、過去に芸能人の従兄弟が住んでいたらしいと聞いて、ちょっと自慢の家だった。


広いリビング、広いお風呂、キッチンも使い勝手がよく、今思えば「こんな素敵な家に住めて羨ましい」と思うくらいだった。

2階には4部屋あり、海側の部屋には出窓と、外側に開閉する素敵な窓があった。


その素敵な部屋は、なぜか妹の部屋になった。

姉としてはちょっとだけ納得いかない気分ではあったが、自分の部屋も普通ながら広い部屋だった。

向かいには両親の部屋、隣には弟の部屋という名の物置があった。

弟はまだ小さかったので、両親と一緒に寝ていた。


普段はほとんど入らないが、その弟の部屋で従姉妹たちと遊んでいた。

5人くらいでキャッキャ言いながら遊んでいたら、頭がなんだかモゾモゾする。

「気のせいかな」と気にしないでいると、また頭に違和感があった。


「なんだろ?」と思った瞬間、髪をグイッと引っ張られた。

「痛っ!」思わず声が出た。


「どうしたの!?」

妹と従姉妹が聞く。

「いま、髪を引っ張られた」


そう言った瞬間、みんな叫びながらその部屋から逃げ出した。

それから、その部屋には入ることがなくなった。

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