第12話【SS】父さんとオタク
俺・クロの記憶の父さんは、オタクが嫌いだった。
本当にオタクを毛嫌いしていた。
そんな父さんは、漫画もアニメもゲームもラノベも、一切見ない。
不思議に思って、父さんに聞いてみたら、
「オタクは
「現実の人間がどうなろうとお構い無しだ。助け合おうとしない。社会を蔑ろにする。だから、父さんはオタクが好きじゃないんだよ」
オタクは社会不適合者で、現実社会の恵まれない女性たちを救おうとした父さんの志向に相反していた。
そういうことで、父さんはオタクが好きじゃなかった。
なのに、父さんは俺に言った。
「父さんは、オタクを愛せなかった。でもクロ。代わりにお前がオタクを愛してやってくれ。お前には、オタクに対する偏見がないだろ?」
「確かに偏見はないよ。でも、どうして? 父さんはオタクが嫌いでしょ?」
俺がそう言うと、父さんが優しい目をして言った。
「オタクだって人間なんだ。愛されなきゃいけない。俺にはオタクを愛せない。だから俺の代わりにお前がオタクを愛してやってくれ」
親に反発し、反抗するばかりの俺は、反射的に父さんに言った。
「ぜってー、イヤだ。父さんが愛せばいいじゃんか。息子に丸投げするなよな」
反抗的な俺の言動を父さんは微笑んで、可笑しそうに優しく笑った。
そして時は流れて……。
ファイブとなった俺は、オタクな女性たちを救おうとして奔走している。
父さんが死んで、ようやく素直になれた。
俺は、父さんの希望を受け継いで、オタクを愛すると誓ったのだった。
【番外編】男女比とダンジョンとディストピア。そして5EXボランティア ところ天@pontakiche @pontakiche
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