第7話 図書館と無属性魔法
私は早速、はじまりの街の図書館へ向かう事にした。でもその前に、依頼を完了した後にレベルアップした分のステータスを割り振る。
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名前:マホン・レーヴフィールド 種族:人間
ジョブ:魔術師 レベル:10
HP:100 MP:650 STM:100
STR:10 DEX:10 AGI:10
VIT:10 INT:10 POW:60
スキル:【元素魔法】
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依頼を完了した時に貰える、経験値が結構美味しかったおかげで、10レベルになる事ができた。もちろんステータスはPOWとMPにつぎ込んだ。
「ここから図書館までそこそこ遠いんだよね」
街中で【ウィンドカタパルト】を使う訳にもいかないし、探索がてら歩いて行こう。
図書館に向かっている道中、綺麗な外観の服屋が私の目に入った。ガラスの向こうに展示されているワンピースに意識を向けると、ワンピースのステータスをが表示された。
《ワンピース》
『追加効果なし』
やっぱり普通の服はVITが上がったりしないみたいだ。
今、私が身に着けている装備も追加効果はない。
wikiで調べて得た情報によると、装備についている追加効果は主にVITが多いみたいなんだけど、それは自分の元のステータスに直接反映される訳じゃないみたい。
あくまで装備についている追加効果分のステータスが、バフとして加算されているって感じらしい。
値段も40
今の私じゃとても手が出ないな。まぁ装備は必要に迫られたら買えばいいか。
今歩いてる通り道は、服屋や飲食店が沢山あって人通りも多い、商店街みたいな場所だ。
IOOでは、もちろん食事を楽しむ事もできる。だけど絶対に食べないとダメなわけじゃ無い。水分量や空腹値などはオプションでハードコアモードをオンにすると増えるようになっている。
私は魔法が使えればいいからこの辺のオプションは変えてない。中にはUI表示なし、ハードコアモードオン。温度、痛覚設定をリアルにしてプレイしている人も居るらしい。そこまで行くと、異世界転生しているんじゃ無いかって錯覚する程なんだとか。
そんな事を考えていると目的の図書館に着いた。三階建ての大きな建物で、外観は白い石材で作られてとても綺麗だ。入り口の近くには大きな石柱が左右対称に立ってる。
木製で出来ている大きな両開きの扉を開けると、本を読む為のテーブルと椅子が立ち並び、中央は奥へと続く通路、その左右に沢山の本棚が並んでいる光景が目に映る。
入り口のすぐ横にある受付で入館の手続きをするみたいだ。
「すみません、初めて利用するんですけど」
私が受付にいる司書さんに声をかけると、司書さんは丁寧に説明をし始めた。
「初めてのご利用の方ですね。この図書館は知識を求める人なら誰でもご利用頂けます。本の貸し出しは行なっていませんので、そちらのテーブルでお読みください。」
「また、本の内容を写す行為は禁止しておりません。必要なら写本用の紙とペンも販売しております。飲食は専用の場所でのみ可能です。以上の事に同意できましたら、こちらの紙にお名前をお書きください」
差し出された紙には、先程説明された事の他に、図書館内にある本を傷つけない事や、図書館内で暴れたりしない事などが書かれていて、上記の内容を下記の者は遵守する事を誓うと書かれている。その下にちょうど名前を書く場所があった。
これって契約書では? まあ、普通のことしか書いてないので、そのまま名前を書く。
「『マホン・レーヴフィールド』っと」
すべて書き終えると契約書の文字が一瞬青く光って、すぐに元に戻った。……あっ、これは契約魔法を使った契約書だったのかもしれない。そうか、契約魔法ってモンスターをテイムするためだけのスキルじゃなかったのか。wikiで契約魔法の情報を見ていたから先入観に囚われていたかも。
「これで契約は完了です。あとはご自由にご利用ください」
「はい、どうもありがとうございます」
かなり大きい図書館なので、自力で目的の本を探すのは時間が掛かりそうだ。ここは司書さんに聞いてみる事にした。
「あの、ここに無属性魔法の使い方って本があるって聞いたんですけど。……ありますか?」
「もちろんございますよ。奥の棚に鎖付き図書としてございますので、ご案内致します」
司書さんに案内されて目的の本棚に着いた。
本と本棚は鎖で繋がれていて、本棚には本を読む為の台が付いてる。
「こちらがお探しの本です。本棚に付いてる
そう言うと司書さんは受付に戻って行った。
私は近くに置いてある椅子に座って書見台に置いてある本を開いた。
『この本を手に取って読んでいるなら無属性魔法を習得したいのだろう。では無属性魔法とは何か? まずはそれを知らなければならない。無属性魔法を一言で表すならば、元素魔法では無い元素魔法だ。どう言う事か詳しく説明する為に、元素魔法について一度確認しておく。』
……え? 思った以上に本格的な内容が書かれていて驚いた。、練習方法がいきなり書いてる物だと思っていたから、続きはかなり長くなるかもしれない。私は気を取り直して続きを読んでいく。
『元素魔法は一部の例外があるが、基本的に火水風土の四属性の魔法の総称である。そして魔法とは、己の中にある魔力を使い、この世界の現象を塗り替える事だ。』
『魔力自体には属性は付いて無く、最初に属性変換を行う事で初めて火や水と言った形を得る。特定の属性の魔法しか使えない者は、その属性にしか魔力を変換出来ない者か、元から魔力の属性が固定されている者だ。』
『では、属性変換を行わない魔力は、形を得る事はないのかと言うと、そんな事は無い。属性変換を行わない純粋な魔力を使った魔法、それこそが無属性魔法なのだ。』
『では、無属性魔法を使うにはどうすればいいか。答えは簡単だ。属性変換をせずに魔法を使えばいい。だが、それが出来たら誰もこの本を読まないだろう。なので、無属性魔法の使い方を詳しく説明する。』
『まずは魔法の使い方を、元素魔法を例題にして確認しよう。魔法を使うにはイメージする事が大切だ。例題としてファイアボールを使うとする。頭の中では無意識に火の温度や、大きさに個数、どの様に動くか、どんな形をしているかを考えている。この時に魔力の属性変換が行われる。そして、そのイメージを補強する為に詠唱があるのだが、詠唱にイメージが固定されて、応用の効かない魔法を使う者もいる。』
『では無属性魔法を使う為にイメージする事は何か、それは使う魔法による。レビテーションという、物を動かす魔法を使うなら、見えない手をイメージする。プロテクションという防御魔法を違うなら、透明な強固な壁をイメージする。この時、明確にイメージするのは、魔法を発動した後の確かな結果だ。レビテーションなら『持つ』、プロテクションなら『防ぐ』という動作をイメージする。どちらも物理的に行う事が出来る。言い換えるなら無属性魔法とは物理魔法と言っていいだろう。つまり、無属性魔法の攻撃魔法なら、相手に衝撃を与えて吹き飛ばす事もできる。』
『この様に魔法に特定の動作を行わせる事を、特性付与という。分かりやすい例題を上げるならばウィンドカッターだろう。風と言う現象に、本来はあり得ない『切る』と言う特性を付与した魔法だ。ファイアボールなら、炎という現象に、形を球体と定義して、『飛ばす』という特性を付与している。最後に口頭で魔法の名前を呼ぶ事で、魔法を発動する合図にしている訳だ。』
『つまり無属性魔法を使うには、属性変換を行わずに、純粋な魔力に対して特性付与を施し、明確なイメージを持って、魔法の名前を呼ぶ事で使用できる。』
なるほど、属性変換に特性付与か。
今まで魔法を使うと時、消費するMP──この本で言う所の魔力──の量や、どこに出すか、大きさなどの形は考えてたけど、どの様な動作をさせるかは考えてなかったな。それ以外は私が普段、魔法を使っている時に考えている事と同じだった。
それこそイメージに関しては、幼少の頃からずっと続けてきた事だから完璧だと自負している。だったら私にも使えるかもしれない。
私は本を閉じて集中する。思い描くは本を持ち上げて本棚に戻す事だ。目には見えないけど、確かに存在してる魔力で、腕の姿を形作る。腕を出す場所は目の前。本を掴んで、持ち上げ、押し込む。一連の動作を強くイメージするんだ。使う魔力は制限しない。そもそも発動するかも分からないから、制御のしようがない。
そして最後に魔法の名前を呼んで、魔法を発動させるトリガーにする。
「【レビテーション】」
その言葉を発した瞬間、身体から何が減った感覚を覚える。視界の端にあるMPゲージに目をやると、MPが消費されているのを確認した。それと同時に本を掴んだ感触を感じた。
一体何処から? 目の前の本に視線を向けても何も見えない。でも本を掴んでいる感触は感じる。試しにその感触がする何かを、動かしてみると本が動いた。私は今、魔力で作られた見えない手で本を掴んでいる。そして、そのまま本を本棚に押し込み、元の場所に戻した。
魔力で出来た手はまだ繋がって居る感覚がある。
試しに魔力を切る、あるいは手の根本から消える様にイメージすると、繋がっていた感覚がなくなり、MPの消費も無くなった。
「……成功した?」
私はメニューからスキルを確認すると、スキルの一覧に【無属性魔法】の文字が増えていた。
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