こんな記憶がよみがえりました。
- ★★★ Excellent!!!
僕が一番ぞっとした話。
何年前のことだったか、もう正確には思い出せない。けれど、その夜の出来事だけは今もはっきり覚えている。
当時、僕は老人ホームに勤め、夜勤をしていた。
40名ずつ、2フロア。満床に近いベッドを、夜勤はわずか3名で回していた。
0時の巡回から戻ったワーカーAが、休憩の前に僕へこう引き継いだ。
「105号室の部屋から、青い足だけがにゅっと出て、煙のようになって、天井へ消えていったんです」
僕は胸が少し高鳴った。幽霊なんて、一度でいいから見てみたい。
だから休憩を遅らせ、上の階へ上がった。2階のワーカーBを驚かそうと思っていた。
だが、先に声をかけられた。
「さっき、205号室の前で、青い煙のようなものが床から天井に抜けていきました」
――その瞬間、僕は一番ぞっとした。
自分は何も見ていないのに、ふたりの証言だけが、ぴたりと符合してしまったのだ。