消滅少女。

茶御白壱 深涼

プロローグ

 少女は生まれた。

 何度も生まれ、何度も死んだ。

 そんな少女は笑うことも、泣くことも、とうの昔に忘れてしまった。


 呪いのように繰り返される輪廻。

 生まれるたびに同じ姿で、

 生きるたびに同じ結末が待っている。



 彼女に許されたのはただ一つ――



「私は死ぬために生きている」



 それが彼女に与えられた宿命だと。

 抗うことのできない運命だと。


 だからこそ、彼女は前を向いた。

 消えるその瞬間まで、

 ひとりでも多くの仲間を見つけ、

 ひとりでも多くの未来を残すために。





 涙も、笑顔も、とうに失ったはずなのに――

 最後の一瞬だけ、彼女は誰かに微笑む。



「……ありがと」



 彼女は歩み続ける。消えるその時まで。

 彼女の言葉が待つ結末へ、物語は進んでいく。





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