第7話

場所・学校内・騒がしくなってきている午後




今日は鹿とクソ爺に襲われたが、もっと気にかける者がいた


「なんで二人はアンプルを持っていた?」


それは1階にいた二人組の生徒だ。男の二人組だ


体格は一般、顔は一般よりも上、種族は一人は分かったがもう一人は不明




「彼は大丈夫ですか?一応撃たれたって言ったです」


「かいこと呼べ。彼呼びはややこしい」


飛鼠にそうお願いする


「分かったです。しかし、そこまで怪しいのです?アンプルは回復するやつです」


「アンプルは高い。高いと言っても一家に数個常用できる程だが、高い」


アンプルの値段は独身の一週間の食事代ぐらいの値段だ




高いと言えば高い。だが、買えない程ではない高さだ




「俺が言いたいのは、学校に持ってきてるのがおかしいってことだ」


飛鼠と共に周りに誰もいないことを確認しながら、会話を続ける


「保険として、一本程度は普通では?」


「4本あった。回復アンプル2本、精力アンプル2本、まだ持ってる気がするがな」


「4本、、、それは怪しいです」


一般人は基本的にアンプルを複数本も持ち運ばない




高いと言うのはあるが、複数本も持ち運ぶ理由が無いのだ


軽傷の時に使うことは基本的に無い。使う時は重傷、もしくは危険な状況の時だ


万が一の事故を懸念するならば、一本だけで良い


俺が怪しんでる理由はそんなところだ。まあ、怪しんだところで何かする訳でも無いが




「で、生徒会長の姿は見えたか?」


「見えないです。気配を完全に消してて、鎮圧部隊も別の個所にいるです」


「・・・・・・」


俺達は今、生徒会長の奇襲から逃げている。鹿の侵入したから事情聴取の名目で襲われてる


生徒会長としては、俺から話や血を貰えるきっかけ作りの為なのか?




「やっぱ断ったのは駄目だったか」


ちなみに、奇襲されてる大部分の原因は事情聴取を断ったらからだ


口実を与えるべきでは無かったと反省している


「バレットさんも連れてくれば良かった」


「・・・」


「!!!」


床下から腕が突き抜けてくる




「力に頼りすぎだろ!!」


突き抜けてきた腕は俺の右腕を掴み、強く引っ張る。当たり前だが、体と共に床に叩きつけられる


「掴んだ腕を間違えたな」


掴まれた腕は俺が負傷していた腕だ。まだ血がべったりと付いている


「!?」


下から衝撃音が聞こえる。恐らく、落下した




しかし、、この学園は地下もあるみたいだ。なんであるかは分からないが




「飛鼠。お前は耳がいいタイプか?」


「悪いです」


「ならばいい。走るぞ」


地下の構造が不明、だからいつ手が這い出てくるかが分からない


それと、コウモリ女は耳がいい種と特段良くない種がいる


耳が良かったら、地下の構造が分かったんだが、、言っても仕方がない




「撃ち滅ぼせ」


「!?」


廊下に出た瞬間に、銃撃の嵐を目の当たりにする。咄嗟に戻ったことで銃弾には当たっていない


「面倒だな。仮面だけじゃ無理だぞ」


「・・・・・任せるのです」


飛鼠が廊下に顔を出す。すると、怯えた声が聞こえてきた




「飛鼠がいる!!全員離れろ!!!!耳を塞げ!!」


「一種奥義」


「まっず!」


耳を塞ぎ、地面に伏せ、頭を丸める。机を倒して障害物にもしたかったが、時間が足りん


「超音波」


「グゥ!!」


耳にキーンっという脳が破壊されるような金属音が聞こえる




「アアアアアアア!!!」


「あたま、頭が割れる!」


外から小さくはあるが、声が聞こえる。鎮圧部隊全員に効いているみたいだ








数分後には音は収まった。俺は収まった瞬間に立ち上がり、廊下の様子を見た


「飛鼠!?それお前にも効くのか、、」


「片方の鼓膜が破れましたし、、あああたたまが」


「落ち着け。呼吸をしろ。運んでやるから」


鎮圧部隊の大部分は倒れていた。超音波が直撃したのだから、妥当な被害だ


そして、飛鼠の状態が不味い




「目の様子もおかしいな。心音は、、胸が邪魔で聞こえにくいな」


飛鼠の手首を触り、脈を図るが非常に弱弱しい。それに加えて、耳から血を流している


呼吸回数も少ない。体も冷えている。奥義と言っていたが、マジで必殺の技だ


「よいしょっと」


「暖かいです」


飛鼠を背負い、歩き出そうとした所で




「・・・・・今来るか」


「今来ます」


生徒会長が立ちふさがった。吸血鬼、、恐らく純血寄りの吸血鬼が立ちふさがった


「俺は君とは会話をあまりしたくない。狙われてる気がするからな」


「私はあなたと会話をしたいです。狙っているので」


生徒会長は独特の雰囲気がある。上に立つ者特有の覇気がある




「スゥーーー、、使いたくなかった。本当にやりたくなかった」


「何かをするおつもりで?」


「廃人にはならないでくれ。中毒にもならないでくれ」


祈る。吸血鬼ならば絶対に堕ちる。俺以外には出来ないたった一人の


「血の定めだな。これも」


「何を」


生徒会長に向かって歩き出す




「俺は君に近づく」


「近づいて何かする気で?吸血鬼相手に殴り合いは無謀だと思いますが」


「俺は君に近づき、腕を差し出す。ただ、それだけだ」


「・・・・」


歩を進める。生徒会長が一歩引き下がる。俺が歩を進める。生徒会長の足が止まる




「・・・・・・こ、、これ、は」


本能が叫ぶだろう。過去の血が手を出すなと叫ぶだろう


「叫ぶか?うるさいか?潜在的に動けないだろ」


「あ、あなたは、、まさか、、、神話の」


「神話の生物並みに強くはない。だが、君達の傍にはよくいたらしいぞ」


動けない生徒会長相手に手を伸ばし、口に触れる




「いい犬歯だ。指がよく切れそうだな」


「・・・・・・」


「廃人になるなよ。中毒にもなるなよ。俺の血は強すぎるんだ」


生徒会長の犬歯で指を切る。切った指から血が滴り、生徒会長の口に入る


「一応言っておく。お前にあげた血は、1週間ほど前の血だ。鮮度やらが相当落ちたな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


場所・自宅・暗闇が来る時間




「はぁ、、学園やめるか?」


問題が起きすぎた。目立ちすぎた。これ以上は危険だ


一旦雲隠れをする必要があるかも知れない


「雲隠れダメ」


「!?!?」


真後ろから声が聞こえた。この家には俺と負傷している飛鼠しかいないのに




「怖がるいいね」


「・・・・」


この独特の気配は知っている。バレットさんを、、くれた人だ


「聞きやすい喋り方を行う。隠れるのはダメ。学園の奴らに、狙われ続けろ」


「・・・・」


声が出せない。天敵、、蛇に睨まれた蛙、そう言ってもいいだろう




「やらなければ、ならない。海蚕の目的の為に」


「・・・」


「応援はしよう。今回の失敗も、無くしてやる」


「・・・・」


「だから、頑張れ。海蚕の目的の為に。危機を超えろ。試練はいつも訪れる」


「・・・」


「それと、これは、命令だ。今回の事件の真相を、、求めろ。探せ。終点には」






「海の怪物が待っている」




ーーーーーーーーーーーーーー


場所・自宅・朝




「・・・どこです?」


目を覚ました私は周りを見回しました


そこには知らない天井、知らないベット、知らない物が沢山ありました


「・・・・・すんすん」


ベットの匂いから、彼の部屋だと言うのを理解しました




「・・・・・」


ベットから立ち上がり、彼を探す為に扉を開けました


その時、鼻に少し嫌なにおいが入ってきました


「・・・かいこさん?」


嫌な予感が脳裏を過ります。これの匂いは鎮圧部隊で何度も嗅いだことのある匂いです




「かいこさん!?」


私の視界は、彼がソファーでうなされているのを見つけました


「・・・熱がある。傷口が悪化してるです」


彼の右腕は化膿、、までは行かないが、少し悪化していて痛そうです


熱も相当高く感じる。頭からも湯気が少しだけ出ているです




「・・・触るな。ぐぅ、、骨が痛い」


「かいこさん、、」


彼が起きます。私が体温を測ろうと触ろうとした手を跳ねのけます


「体温計は、、、いらん。飯を、、取ってくれ。れいぞく」


「冷蔵庫の中ですね。分かったです」


彼は疲れきっていて、熱もあります。だから、私が動かなければならない




「・・・・・?」


冷蔵庫を開けたら、そこにあるのは全く見たことがない食材たちでした


「どれですか、、、」


「、、頭痛い。貝類の奴があるだろ。黒色の貝」


黒色の貝はあります。だけども、、明らかに生です




「そのまま持ってこい。あと、持ってきた後に飲み物もとってくれ」


「分かったです」


貝を彼の前に運び、とんぼ返りで冷蔵庫に戻り、飲み物を手に取ります


その時に、背後からバリバリと殻が砕ける音が聞こえました


「・・・・骨が痛い」


振り返ると、彼が手づかみで貝を食べていました。殻ごと




「・・・・・・」


「やっぱ調理しないと喰いにくいな。まあ、熱の間は仕方が無いか」


「・・・飲み物です」


「ありがとう。一応言っておくが、俺の気が狂ってる訳では無いからな」


彼の体からは熱は感じ取れなくなっています。こんな瞬時に熱が収まるとは思えませんが




「俺はただ、精力が少なくなって熱が出てただけだ」


「そう、、だったんですか、、、」


半信半疑だ。彼は警戒心が高い。だから、私を牽制する為に


「嘘ではない。飛鼠、顔に出過ぎだ。心配してるのは分かるからいいが」


「嘘では無いのなら大丈夫です」


「なら良い。ふぅーーーーーーーー、、、、食べた後に飛鼠に話したいことがある」


彼が真剣なまなざしでこちらを見る




これは、、これは






告白?


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