14 第三の紋章、覚醒

 熱い。


 額が、燃えるように熱かった。


「う……おおおおおおっ……!」


 その熱が、体の前面で弾ける。

 そして、


 ごおおおおおおっ!


 極太の熱線となって、その熱が放出された。


「なんだと!?」


 驚いたように跳び上がる魔族。


「突然、魔力に――魔法に目覚めただと……!?」


 魔法……?


 俺自身も驚いていた。


 俺に魔法の素養なんてない。


 じゃあ、この力はいったいなんだ……?


 あらためて刀身に映し出した自分の顔を見る。


 額に浮かぶ、目の形をした第三の紋章。


 それも人間の目じゃない。


 たぶん、竜の目だろう。


 名づけるなら【竜眼】の紋章とでも言ったところか。


「もし、この紋章のおかげで魔法が使えるようになったのだとしたら――」


 体中にふたたび熱が生じた。


 この熱は――魔力というやつなんだろうか?


「こいつを攻撃手段に使えるなら……」


 俺は右手を掲げた。


 てのひらの辺りに意識を集中させる。


 ボウッ!


 てのひらの上に青白い光の玉が生まれた。


 光の玉はぐんぐん膨らんでいき、あっという間に直径10メートルほどになった。


「ば、馬鹿な……人間がこんな巨大な魔力弾を……!?」


 魔族が驚いたように目を見開く。


「ええい、人間ごときにそんな大魔法が使えるはずがない! 何かの間違いだ!」


 叫んで、突進してくる魔族。


 俺は生成した光の玉をそのまま投げつけた。


「こんなもの……っ!」


 両手でそれを受け止める魔族。


 ずずず……っ!


 魔族が押される。


「押し返せな……う、うわああああああああああっ!?」


 すさまじい爆発が起こった。


 森の木々が燃え尽き、吹き飛んでいく。


 地面に巨大なクレーターができ、その中心部に魔族が立っていた。


「はあ、はあ、はあ……」


 全身が焼け焦げ、白煙が上がっている。


 それでもかろうじて生きているのは、さすが魔族といったところか。


「貴様あ……」


 魔族は憎々しげに俺をにらんだ。


 俺は、さらに魔力を高めた。


「終わりだ」


 ふたたび光球を生み出す。


 今度はさっきの倍――直径20メートルほどの、さらに巨大な光球だ。


「こ、こいつ、さっき馬鹿でかい魔力弾を撃ったばかりで、またこんな――」


 魔族が青ざめた顔で後ずさった。


「――ちいっ」


 それから舌打ち交じりに跳び上がる。


 ばさりっ。


 魔族の背から翼が生えた。


「人間ごときに背を向ける……この屈辱は忘れんぞ! 俺の名はオルバレオ!この名を覚えておけ!」


 叫んで、背を向け、飛び去って行く魔族オルバレオ。


「逃げたか……」


 俺は大きく息をついた。


 未来の世界とは違うタイミングで現れたのかもしれない魔族。


 そいつらにどう立ち向かい、対処していくのか。


 未来を変える戦いは、簡単に進みそうにはなかった。


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