15年前に回帰した超魔導騎士 ~チート紋章の力で剣も魔法も全てを極めた俺は、今度こそ愛する女王を守り、破滅の未来を救う~

六志麻あさ@死亡ルート確定2~発売中!

1 破滅の未来から来た少年

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「もう少しですよ、ルナリア様! この城門を抜ければ脱出できます……!」


 俺――グレン・ブラスティはルナリア女王を連れて、城内を走っていた。


 数えきれないほどの魔法砲撃を受けた城はボロボロで、あちこちから火の手が上がっている。


 ここメルディア王国は、侵略者であるルーファス帝国軍と魔族部隊の連合軍に包囲され、陥落寸前だった。


 王国最強と謳われた【六神将ろくしんしょう】も、俺を残してことごとく散った。


 重臣たちは、そのほとんどが殺されてしまった。


 俺は、かろうじて生き延びた女王のルナリア様とともに城からの脱出を目指しているところだ。


「グレン……もういいのです。あなたまで死んでしまうわ……」


 ルナリア様の美しい顔は煤で汚れ、ひどくやつれていた。


「こうなれば、私も陛下や子どもたちの後を追って――」


「何を仰いますか」


 俺は首を左右に振った。


「今は逃げ延びることだけを考えるのです。私が、この命に代えてもあなた様をお守りいたします……!」


 15年前――まだ王女だったルナリア様と初めて出会ったあの日から今日まで、俺はずっと彼女を想い続けてきた。


 もちろん、許されぬ恋だ。


 この気持ちは俺の胸一つに秘めている。


「私が、必ずあなた様を――」


 俺はルナリア様を見つめ、熱情を込めて語る。


 と、そのときだった。


 うおおおお……んっ!


 炎の向こうから複数の魔物が姿を現した。


 魔族。


 侵略者であるルーファス帝国の妖術師が呼び出した、【闇】の眷属たちだった。


「魔族兵です。ルナリア様はお下がりください」


 俺は前に出ると、両手持ちの斧槍を構えた。


 相手は高速戦闘タイプの【マンティス】か。


 名前の通りカマキリを人型サイズにしたような下級魔族である。


 高速で動き回り、カマになった両手で必殺の一撃を見舞ってくる。


 俺はスピードよりパワーや破壊力、そして耐久力で勝負する重騎士のため、こういう手合いとはあまり相性がよくない。


 とはいえ、今は相性がどうとか言っている場合ではない。


 どんな敵が立ちふさがろうと、これを薙ぎ払い、ルナリア様をお守りする――。


「ただ、それだけだ!」


 俺は斧槍を手に突進する。


 ボウッ……。


 右手の甲に刻まれた牙の紋章が光を放つ。


 今から十年前……二十歳の時に古竜の試練で得た【竜牙】の紋章。


 その紋章によって発動するスキル――【剛力】。


「おおおおおおおおっ!」


 俺はその【剛力】を発動させ、全身の筋力を爆発的に増大させた。


 四方から押し寄せる【マンティス】の攻撃を食らいつつも、力任せに斧槍を振り回し、強引に押し返す。


 文字通りの『力任せ』。


 これが俺――王国六神将の一人、【剛力】のグレン・ブラスティの戦い方だ。


「ぐっ……」


 多少のダメージを負うのは織り込み済みで、近くまで引きつけて次々に倒していく。


 これが俺の戦い方だ。


 我ながら不器用だとは思うが、スピードが致命的に足りない俺は、こうしてパワーと耐久力任せで敵を倒していくしかないのだった。


「はあ、はあ、はあ……」


 やがて数十体の【マンティス】をすべて打ち倒すと、俺は大きく息をついた。

 と――、


「ほう、あれだけの数の【マンティス】をすべて倒すとは。さすがは六神将の一人よ」


 炎の向こうから現れた新手は、青い鎧を着た騎士だった。


「お前は――!」


 俺は息を呑んだ。


 胸の中央にある二本の剣の紋章は、帝国において彼だけに許された特別なもの。


「【剣帝】――アルゴス・ルーファス」


 二十代半ばくらいの青年で、野性的な雰囲気ながらも整った顔立ちをしている。


 ルーファス帝国最強の剣士にして若き皇帝――それが【剣帝】の称号を与えられた、目の前のこの男だ。


「いかにも」


 アルゴスがニヤリとした。


「お前がいかに豪勇を誇ろうとも、相手が悪すぎたな。何人たりとも、この俺には勝てん――」


 次の瞬間、すさまじい衝撃に俺は吹き飛ばされていた。


「が、がはっ!?」


 見えない……!


 太刀筋どころか、動きそのものが。


「ふん、鈍重な動きだ」


 剣帝アルゴスが嘲笑する。


「この程度の斬撃すら躱せぬとは。俺はまだ本気を出しておらぬぞ」


 そして、ふたたび嵐のような連続攻撃を仕掛けてきた。


 攻撃も何も見えず、俺は一方的に打ちのめされる。


 重装鎧を着ているため、かろうじて致命傷は避けられたものの、あっという間に全身傷だらけになった。


 それでも俺は斧槍を支えにして、かろうじて立っていた。


「まだだ……俺は必ずこの国を……女王陛下をお守りする……!」

「無駄だ。お前の忠義も、この国も、全ては今日で終わる」


 ふたたび剣帝が動く。


 その速度は、さっきまでよりさらに上がっていた。


 もはや残像すら見えない。


 あまりにも速すぎる――!


「がはっ……」


 胸元に熱い痛みが走った。


 鎧もろとも斬り裂かれたようだ。


「うう……」


 もはや立っていられず、俺はその場に崩れ落ちた。


 血に染まっていく視界に、奴に捕らわれたルナリア様の姿が映った。


「っ……!」

「女王はもらい受けるぞ。評判通り、美しいな」


 ニヤリと笑ったアルゴスが、ルナリア様を横抱きにする。


 そして、その唇を奪おうと顔を寄せていく


「帝国に連れ帰り、側室の一人にでもしてやろう、くくく……光栄に思うがいい」


 それを聞いた瞬間、全身の血が沸騰した。


「貴様あああああああああああ!」


 俺は絶叫した。


 動かないはずの体を無理やり動かし、立ち上がる。


「無駄だ」


 ざんっ!


 剣帝は容赦なく剣を繰り出し、俺の心臓を貫いた。


「あ……」」


 激痛とともに意識が急激に薄れていく。


 体中が冷えていく感覚とともに、目の前が暗くなっていく。


「ああ、ルナリア……様――」


 守れなかった。


 最後まで、守り切れなかった。


 無念の思いを最後に、俺の意識は闇に落ちていった――。






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