垂れ流し通信 Vol.6
満蔵
スープも残すな。
失望プールのエントリー待ち。
長いトンネルがつづく。
トラ柄の小さい写真。
地獄に戻される。
カセットテープの言う通り。
スローなエスカレータに乗る。
明日の今頃は黄色い砂の上。
プラスチカルカルチャーに触れる。
小さいダンボールの箱に全部入る。
彼女の三つ目の眼を見つける。
アルバムジャケットが白く染まる。
四つに割る。
罪は無い。
側から離れていく。
風邪薬を飲んで眠る。
高い所で鉛筆を削る奴。
家賃と作り話のセットでダウンする。
二週間前の女ぐらいが丁度良い。
サイバーパンク0033。
タクシーと船。
永遠の痛みを知る。
いつでも待っている。
水割りを持つ。
何百回、ひとりで歩いた通り。
フィラメントの明かりに照らされる。
彼女のギターは聴いたことが無い。
居場所が無い感覚。
カーテンの後ろにいつも居る。
宇宙から帰って来る想像をする。
いつも帰り方が分からなくなる。
骨の折れる音がする。
親のSEXに気を使う。
知らない間に悲しい顔になってる。
厚い肉とレモンビールが今日一日を救う。
ああ、俺のバカ。
バレたか。
電話の向こうで笑い声がする。
夕方、夢に落ちる。
風に揺れるように歩く。
釣り雑誌で抜く。
そしていつも六角形の氷の壁。
モノラルに合わせる。
春菊を自分で買う日が来るとは。
Color paperは役に立つからとっておけ。
男の子のフリをする。
ペパーミントキャンディーが割れる。
運を試す。
落ちながら通りを見下ろす。
安心だったモノが重荷に感じる。
イメージを重ねる作業。
なんとなく形になって溶ける。
足が冷たくなる。
ひとりだけ夢だと気づく。
未完成のままでいて。
もうすぐこの夢は終わる。
フレンチフライの空箱が物語る。
【幻覚ラーメン】
マダム・ベラが作るラーメンは男達に幻覚を見せていた。
巨大なクリーム色のスポンジを妻だと信じてる男は最初の方の犠牲者だ。
30メートルのゴムマットを引きずって散歩させている男はペットを買う夢が叶った。
義手に憧れをもった男はディスポーザーに手を突っ込み手首から先を無くした。
そんな噂話が流れてもマダム・ベラのラーメンはカルト的な人気を誇った。
町の女たちは自分の夫や恋人もおかしくなってしまうんじゃないかと思い、店の前でデモを起こした。
拡声器で叫ぶ女「出てきなさい魔女!」
「出てーこい! 出てーこい!」
すると店のドアが少し開き、白く細い手が出てきて手招きをした。
一番声の大きいデモのリーダー格の女が代表として一人で店の中に入った。
10分ぐらいすると、その女が出てきて女達に「マダム・ベラは悪い人じゃない」と言うと女達は何故か納得してデモをやめた。リーダーの女の一言で何の根拠も無くマダム・ベラは町の女から信用を勝ち取ったのである。
それからも男達はマダム・ベラのラーメンに魅了され狂っていった。
女達はマダム・ベラが開く漬物教室に集まってはマダムの話す御伽話に夢中になると同時に自分の現実がみじめになった。
数年も起たないうちに町には働けなくなった旦那と現実逃避する妻が増えていた。
捨てられた子供たちは他の町や国の農家に売られていった。
マダム・ベラはというと。町を捨てるように去っていき、自分の故郷に豪邸を建て暮らしたという。
これが幻覚ラーメンのお話である。
終わり
垂れ流し通信 Vol.6 満蔵 @hal8000
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