サンタをいまだに信じている女
第1話
女1「クリスマスプレゼント何貰う予定?」
女2「え〜。私、今彼氏いないからなぁ」
女1「彼氏からじゃなくてサンタさんからだよ!」
女2「サンタさん?」
女1「うん!」
女2「すみれ、大学2年にもなってまだサンタ信じてるの? サンタの正体は親なんだよ?」
女1「いや、そんなわけないよ。私、お父さんいなくてお母さんに育ててもらったんだけど、ガスや水道はよく止まったし、夜ごはんがない日もあったんだよ。だから、お母さんがプレゼントなんて買えるはずないよ。現に誕生日プレゼントも貰ったことないもん」
女2「お母さんがクリスマスという特別な日にいい思い出を作ってほしいと思って借金して買ってたってことないの?」
女1「ないね。高3のクリスマスに私のせいでプレゼント買ってあげられなくてごめんねって謝られたもん」
女2「お父さんがこっそり持って来てた可能性は?」
女1「お父さんは私が赤ちゃんの頃に交通事故で亡くなったからそれはない」
女2「不思議な話だね」
女1「それに、私が口に出したり紙に書かなくても欲しいプレゼントが届くんだ」
女2「すご〜い。ちなみに、去年は何貰ったの?」
女1「去年はね物じゃないの」
女2「なになに?」
女1「クリスマスイブに彼氏にフラれたから死ねって思ってたら、その翌朝に彼氏が信号無視したタクシーに轢かれて死んじゃったんだ」
女2「怖っ。化け物じみてるね」
女1「……」
女2「あっ! 今のは冗談だよ。すみれ、前に駅前のイタリアン行きたいって言ってたじゃん。今度一緒に行かない?」
サンタをいまだに信じている女 @hanashiro_himeka
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