毎週コンドームを買いに来る年上美人に性癖を歪まされてしまった!

藤本茂三

第1話 コンビニとコンドームお姉さん!


「いらっしゃいませ~」


 コンビニのバイトをしばらく続けていると、予想通りというべきか、幅広い客層が来る。部活帰りの高校生、近くの大学生らしき人。

 

 夜になると残業を終えたのだろうか、疲弊した表情を隠し切れておらず安売りされた総菜を買い漁るおっさん達。


 甘いスイーツが好きなのか昼過ぎの少し暇な時間帯に店員と長話しする老人。


 色々と印象深い客がいるが、中でもとりわけ、印象深い客がいた。金曜日の八時前後に来るのである。


 ウェーブのかかった明るい茶髪。少し前に屈めば中が見えるんじゃないのかってくらいに短いスカート。少し露出した胸元が、彼女の主張の激しい大きな胸を更に強調させている。そして派手な爪とピアス。


 店内に足を踏み入れた彼女は、迷うことなく真っすぐ商品棚へと向かう。そして、数十秒するとレジにいる俺の下向かってくる。


「……」


 彼女は無言で此方を見ることなく、商品――“コンドーム”を置いた。これがジュースや弁当なら俺も驚きはしなかっただろう。しかししかしである。これほどまでの美女が、一箱でなく複数も買うのだから、強く印象に残ってしまう。


 最初は緊張したが、今は慣れた手捌きでコンドームの箱へとバーコードを通す。毎週これだけの量を買うのだから、あまり考えたくないがお相手は一人ではないだろう。下賤な考えであるが、彼女の性生活が非常に気になってしまうのも男子高生として当然だろう。


 値段を告げると、彼女は財布からクレジットカードを見せてタッチ決済をする。毎週のルーティン作業である。俺がバイトを始めて半年経過したが、彼女が顔を見せたのは今年の四月からであった。


 ワンポイントのように入った入れ墨から少し怖い印象を受ける見た目であるが、彼女の優れすぎた容姿により緩和されて、好印象しか感じられないのが美人という生き物なのだろう。


 今日は……見れなかったか……残念だな。俺は少し肩を落としてガッカリしてしまった。ワンポイントである首の裏にある入れ墨のことだ。まるで光を求める蛾のように俺は彼女のうなじをジッと見ていた。


 大量のコンドームを消費している彼女のことを心の中で“ビッチ姉さん”と呼んでいた。もしかしたら彼女以外にも女性が複数いて、男達の相手をしているのかもしれないが……俺としては彼女が全て相手していて欲しいと願っていた。我ながらクズだと思うが、その方が何故か体の内からアツい熱を感じるからだ。


 俺の容姿は特別悪くないだろう。それどころか良い方だと自負しているが、流石にビッチ姉さんほど優れてはいないので釣り合うことはない。そんな店員の俺が彼女に話かけても無視されるのが関の山である。


 実際に大学生店員が話掛けて、少し問題になったこともあった。今もその店員は働いているが、彼女を未だに諦めきれないようであり店長に時折話しかけては無視されていた。


「あれ~もしかして、例の人帰ったりした?」


「……例の人というのが、美人のお姉さんなら帰りましたね」


「マジかよ!つーか、今日いつもより来るの早すぎだろ~」


「残念でしたね。先輩に声かけようにも、あの人直ぐにレジに来ちゃうんで……」


「いや~別に相川が悪いって言っているわけじゃねーよ。ただ、運が無かったな~と思ってさ」


―― ブォン


 外からエンジンを掛ける音が聞こえる。ビッチ姉さんが乗っている車の音である。家がお金持ちなのか本人の稼ぎかは分からないが、外車に乗っている。車に詳しくない俺には分からないが、一目見ただけでも高級感があったので四桁万円は確定だろう。


「いいよなぁ……あの車に一度でも乗ってみたいぜ……」


「……なら頑張ってバイトして貯めましょう」


「無理だって!いくらすると思っているんだよっ!」


「まぁまぁ。いつか宝くじが当たるかもしれないっすよ~」


「……ハア……遊ぶ金が欲しい~」


「そうっすね~」


「お前は貯めても使うことはしねーだろ!」


「そりゃそうですよ~欲しいモノ無いんですもん」


「ほんっと物欲の無い奴だなぁ。俺がお前の年くらいなら欲しいものが沢山、山ほどあったってのによ!」


 話しやすい門脇先輩は、物欲も性欲も強かった。性欲については大学内でも中々交際に実を結ばないみたいである。無念である門脇先輩。まずは、痩せることから始めよう。


 そして門脇先輩と話していると、直ぐに多くの客が来店することになり雑談する暇すら無く業務に没頭することになった。

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