◇――scene4

『嘘だよね』

『ねぇ』

『返事してよ』

『お願い』

『どうしたの』

『無視しないで』

『怖いよ』

>不在着信

>不在着信

>不在着信

>不在着信



「……本当なの?」



 その言葉が口から漏れ出たとき、涙が零れた。

 そんな、嫌だよ、ねぇ。なんで離れてくの? 嫌だ、そんな。

 君がどんな罪を犯したって私は愛せるのに。ずっとずっと好きなのに。大好きなのに。

 どうして、どうしてどうして!


 変わるはずもない現実を前になく。ないて、ないて、ないた。

 涙が涸れた頃に、壁にずっと掛けておいたあるものを手に取る。


 そしてひと思いに窓を開ける。夜風が涙を乾かす。

 手にあったを思いっきりぶん投げた。


 ――それは、君とペアでかったブレスレット。

 サファイヤが暗い夜空に輝いた。

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君の手首にあるもの。 天照うた @詩だった人 @umiuta

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