◆――scene2

 頼みのGoogle検索。そこに浮かんできた文字に息を吐いて、消した。

 機械なんかに俺の気持ちなんて分かるはずもないし、分かって欲しいとも思わない。


 ベッドにスマホを放り出して、ひ弱な自分の手を見る。それと同時に、吐き気がこみ上げてきた。

 ……全部、俺が悪かった。

 あいつと付き合ったこと、今でも後悔してる。あいつの隣には、きっともっとぴったりな人がいた。俺なんかがいるべき位置じゃなかった。


 それなら俺は潔く消えるまでだ。俺はもう彼女との関わりを知られるべきじゃない。


 LINE、彼女のアカウント。少し迷ってからブロックを押して、削除した。

 今まで楽しかった。ありがとう。だけど、俺はもう君の隣にいちゃいけない人間なんだ。君の隣で胸を張ることなんて出来ない。


 手荷物を置いて、手首にあるものを付ける。


 俺は部屋を出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る