◆――scene1

 ――仕方なかったんだ。

 俺は、最愛のあいつとのトークルームを開いて溜息を吐いた。


 ブロック、するべきなんだろうな。だけど、俺にはそれができない。

 あいつがまたいつもみたいにメッセージくれるんじゃないかな、とか。もし重要な連絡が来たらどうすればいいんだ、とか。

 あるはずのないことを考えてしまっている俺がいる。自分に世界が合わせてくれるとでも言うように、ワガママな俺が。


 愛してるんだよ。でも、絶対俺なんていない方がいいんだ。

 あいつの未来を、俺のせいでダメにしたくない。忘れてもらった方が、マシだ。

 今、あいつは傷ついてるのかもしれない。悲しんでくれているのかもしれない。だけど、こんなダメな男のことなんてきっとすぐ忘れる。

 また、彼女は楽しく生きられる。



 ――彼女の未来にいない俺が、彼女の隣に居たいだなんて望むのは卑怯だから。

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