転生してたみたいやからワイの本気でなんとかするわ!

欠陥品の磨き石 磨奇 未知

第一話 異世界と言ったら女神やろ!

「なんやここは?」

 全面真っ白の透き通る部屋に転生された僕は声を上げる。

 テクテクテク

 虫みたいな生物がカゴを背負いながら近づいてくる。

「なんか可愛らしい奴が近づいてきてるなぁ。

 そんなちっちゃい体で荷物背負って偉いもんや。

 ええ子やな〜」

 僕が微笑ましくなりながらその虫を眺めていると

 突然喋り始める。


  『わたくしはゴキブリ族のお姫様

  美智子と申します。

 今回あなた様には私が住む昆虫界に転生していただきます。』


 僕はびっくりしてその場に倒れ込む。

「お前ゴキブリやったんかい。

 ゴキブリのお姫様ってなんやねんマジで。

 ゴキブリってトイレがすみかやったけ?

 ゴキブリって汚い印象しかなかったわ。」


 美智子は少しむすっとした顔でこちらを睨む。


 『あんまりレディを馬鹿にすると怒りますよ。

 こんなアホっぽい人間に昆虫界なんて救えるのでしょうか…』

 美智子は呆れた顔でため息をつく。

僕は慌てて謝る。

「そんな怒らんでええやん。

 美智子って人間みたいな名前やな。

 旅館の若女将感あってワイは好きやで。

 ほんでその箱はどうしたんや?」

 僕は鼻をほじりながら美智子に質問する。

 美智子は少し苛立った様子で

「この箱にはあなたが転生先で使える能力が詰まった大切な箱です。

 とてもとても大切な物ですよ。」

 僕は目を輝かせながら

「なんやねんそれ

 めちゃくちゃ最高やんか!

 空飛びながら、手から炎飛ばすみたいなのめちゃくちゃ憧れてたんよな。

 ちなみにワイの好きなヒーローはアンパンマンやで。」

 美智子が宝箱を僕の前に差し出す。

『大変申しあげにくいのですが…

 歴代の勇者様が選ばなかった粗悪品の能力しか残っていないんですよね…

 使い物にならないガラクタ能力だけです…』

 美智子が心苦しそうに説明する。

僕はニカっと笑いながら

「なんやそれぐらいのことか

 てっきり能力貰えないのかと思ったやんけ。

 残り物には福があるっていうし、なんならプラスやんか。

 美智子ええ奴やな。」

美智子はひどく驚いた様子でこちらを眺める。

「なんで驚いてるんや?

 生物界の方も俺がチャチャっと助けたるから

 任してくれたらええわ。

 子供の頃 カラスに襲われてたセミを救ったことあるし

 割とワイ優秀なんやで。」

 僕は美智子に自慢げに話す。

 美智子は呆れた顔で笑いながら

 『そんな簡単に解決できるものじゃないんですからね。

  そんなことより宝箱の方開けちゃってください。』

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