世界最強の男が記憶を持ったまま実力至上主義の学園に回帰!?

右手の小指

実力至上主義の学園

第1話 世界最強の絶望

 ー絶望的だ、


 ー体力も魔力も枯渇している


 ーもう本当にできる事はないのだろうか


 俺は26歳の世界最強だ。世界最強と言っても世間がそう言っているだけで俺自身は最強だと思っていない。


 なぜならば今この瞬間、俺を圧倒する実力を持った『絶望』が目の前にいるからだ。


 この『絶望』は強すぎる。魔力の底が一切見えない。弱音を吐くのは駄目だと思っているが今だけは許してくれ。


 俺はこいつに勝てない。絶望をしている。もう諦めてしまいたい。


 魔力が枯渇し体の自由が効かなくなってきた。『絶望』が上から見下している。


 最後までイラつくやつだ。みんなごめん。救ってやらなくて、、


 視界が暗転する。


 ーもし最後に一つ願うのなら、、


 ー過去に戻って世界に希望をもたらしたい、


 「その願い叶えてやろう、過去の俺よ」


 なんだこの声、過去の俺よ?願いを叶えてやる?何を言っているんだ?

 きっと死に際で幻聴が聞こえているのだろう。


 意識に白いモヤがかかっていくように、どんどん遠のく。


 世界最強、山下一真(ヤマシタ カズマ)の物語はここで終わりか、なんだかんだでいい人生だったな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 視界が戻ってくる。ここは死後の世界と言うものだろうか?


 「おーい カズマ、聞いているのか?返事をしろ」


 「え?なんですか?」


 「何って、この問題の答えを書けと言っているんだ」


 「あ、あぁすいません居眠りしていました」


 「何をやってるんだ。ただでさえ落ちこぼれなんだから、授業くらいしっかり聞け」


 周囲から笑いの声が聞こえてくる。


 どう言う事だ?何が起きている?俺は死んだはずでは、、まさか、あの時の声は本当だったのか。

 だとするとここは、あの実力至上主義の学園だと言うことか。もしかしたら俺は10年前に回帰したのかもしれない、


 だとしたらあの『絶望』を乗り越える事ができるかもしれない。

 ん?何か違和感があるな。


 俺は違和感の正体を探るために身の回りを模索した。魔力量と記憶が引き継がれている。

 それ以外の何か視界から違和感を感じる。


 あ、スマホだ。スマホが未来の物と全く同じだ。スマホを確認すると、なんとデータが引き継がれていたのだ。


 これは未来の物なのにどうしてこんな所にあるんだ?またあの声の主の仕業か。自己完結してしまった。

 未来のデータがあるなら俺としては好都合だ。


 授業が終わり、休み時間になった。


 「一真、どうした?お前が授業中に寝るなんて。明日は槍でも降るのか?」


 「あいや、昨日寝れなかったんだよ。宿題が終わらなくて。」


「珍しいこともあるもんだ」


 こいつは学園時代の俺の友人豪炎寺 陸斗(ゴウエンジ リクト)だ。


 「悪い豪炎寺、今日はやらないといけないことがあるから1人でメシ食っててくれ」


 「またも珍しい。まぁわかったよ」


 「ありがとう」


 やらなければいけないこと、というのはこれからの計画だ。俺は落ちこぼれとして学園時代を過ごしていたため、実力を隠しつつ生活しなければならない。ちなみに俺の評価はS〜Eまである中のEだ。未来では評価SSSの最強と言われていたのに、感覚が狂うな。


 俺の最終目標は、あの『絶望』に勝つことだ。その為には俺だけでは無く、世界全体の力をつける必要がある。

 

 これから約5年間の間に能力についての研究が飛躍的に進む。その知識を俺は持っている為、これをいかに上手く使うかが大切になってくるのだが、俺の言葉を信じたやつなんてほぼいない。いるとすれば豪炎寺くらいだろう。


 と、そんな事を考えていた時。


 「おい、落ちこぼれ。ちょっとこっちにこいよ」


 よく聞いた声だ。懐かしいな。また殴られるな違いない。彼は評価Aの名は、なんだっけか。忘れてしまったがそんな事はどうでもいい。


 「なんのようだ」


 「落ちこぼれのくせになんだその態度は。舐めてるのか?」


 「別に舐めてないよ」


 「まぁいい、とりあえずいつも通り校舎裏にこいよ」


 はっきり言ってめんどくさい。殴られるのは不快だが、どうしたものか。


 ヒソヒソとした陰口が聞こえてくる。前は聞こえなかったのに、これも魔力の影響か。


 そうして、俺の学園生活が再び始まった。前回とは違う結末にする為に一刻も早く行動に移さないとならない。なぜなら、、、


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