声優ラジオに夢中になった4年間の話

@Rurikawa0316

第1話

 私はとある中堅声優さんがパーソナリティをしているラジオ番組に2020年春から2024年春まで夢中になっていた。


 私自身「声優ラジオ」というコンテンツに興味を持ったきっかけは、アニメ作品とタイアップしたラジオだった。

その作品は、私が中学時代夢中になった作品。

所謂web漫画発の作品で、とても人気があった。どれくらいの規模で、人気があったかというと当時はスマホも電子書籍もサブスクも、普及していない時代。キャラクターソングのCDや原作本も入荷したら、即売り切れ。アニメ雑誌は毎月のように表紙を飾り、特集を組まれていた。もちろん中学生で、収入源もなかっため、あまり雑誌もCDも買えなかった。そんな時、公式配信されていたラジオ番組を聞いてみた。最初は演じている人の話を聞いて面白いのかなと思っていたが、パーソナリティをされていた声優さんが話し上手で優しい雰囲気の人で、ラジオに引き込まれた。

たちまち私はその声優さんのファンになった。


 時は流れ大学生になった。

スマホやサブスクやSNSが普及し、前述した声優さんが好きな同志の方とSNSで、交流した。実際にその方が出演されるイベントで、お会いしたり、その声優さんが某動画サイトで、冠番組を持たれた際は、同志の方と、リアルタイムで実況したり同志の方がメールが読まれたら喜んだり、自分もメールが読まれたい一心で何本も送ったりした。しかしその番組は1年半ほどで終わってしまい、それからあまり声優さんのトーク番組を聞いたり、番組にメールを送ったりすることは少なくなった。私自身の声優関連のオタ活は、リアルイベントメインに移行していった。


そんな中、2020年春。コロナ禍になりにリアル声優イベントは全て中止になった。それ以降交流していた同志の方々はあまりSNSに集まらなくなった。あの頃の私は、呑気なものでコロナ禍は夏になればおわるだろうし、イベントが行けない間に前から気になっていた、声優ラジオでもきいてみることにした。


 その番組は地方局の番組だったので、某ラジオアプリを課金して、きいてみた。月数百円、リアルイベントに行くよりは安上がりだ。その番組は、所謂中堅声優さんがラジオパーソナリティをしていた。そのパーソナリティの人は、自分が好きなコンテンツに出演している人で、容姿は、穏やかで、のほほんとした雰囲気、私が声優ラジオに興味を持ったあの声優さんと雰囲気が似ていた。

 しかし、その容姿の裏腹、ラジオ内で結構切り込んだ話をしていた。そんなこと言っていいのかと思うくらい切り込んだ声優界のオーディション事情やお仕事事情所謂ぶっちゃけトーである。

でも、それだけではなく、最近の日常の出来事や見たアニメ作品や映画の話もしてくれて、起承転結もあって、引き込まれた。楽しくなって、いつのまに数ヶ月だけと思っていたのに、毎週聴くことが、習慣になっていた。いつの間にかその方が推しになっていた。


 結局情勢はよくならず、声優イベントにまだ足運べない。私は当時働いていた会社の上司と折り合いが悪く、精神的に思い詰められていった。気づいたら、それは体にも出るようになり、会社の入り口が近づくたびに、息が苦しくなったり、朝起きると、瞼が重たかったり、休みの日もまた何か言われるかも知れないと思い心が休まることはなかった。そんなギリギリの日々、憂鬱な通勤路車内で流した推しのトークに笑ったり、こんな作品に出たいと語る姿に、叶いますようにと願ったり、気づいたらラジオが心の支えになっていた。


ラジオを聞き始めて3年目に入った頃、

定期的に制作費調達のためにリアルイベントを開催されていた。情勢も少し良くなったこともなり、行くことができた。生でラジオでのやりとりが、見れて嬉しかったし、番組継続の力になれたのが嬉しかった。

前述の会社を辞めて心に余裕が出てきて、他にも出演していた推しのレギュラーラジオ番組も聞くようになった。

もっと、推しが生活の一部になった。

 友人に、今日推しがラジオでこんな話してたとか、こんなマンガ好きだって話してたと話題に上げるようになった。すると、友人が私もその作品好きだよ、貴方も読んで欲しいとまた布教されたり、ラジオ内で、メールが読まれて、友人に嬉しくなってシェアしたり。推しがさりげなくラジオ内で新しく出る作品の原作を読んでると話してくれた時は嬉しかった。その数ヶ月新しく出演するアニメタイトルが解禁された時は、またラジオ内でまたその話してくれるかも知れないとワクワクした。そんな日々がこれからも続く気がしていた。


 2024年の春、改変により推しの担当していたラジオ番組は2本同時に終了してしまった。

番組が終わってもう1年経つ。ラジオアプリは開かなくなった。今も、あの日々を好きなのに忘れられない、元彼のような。同棲していたけど出ていった彼氏のような、自分の人生で経験したことのない空白を感じている。


 推しは推しでラジオが終わったあとも、様々な女性向けコンテンツに出演したり週末は、配信やリアルイベントに出演したり時には地方にいったり、忙しい日々を送っている。もちろん個人のチャンネルで、配信もしている。けれども、やっぱりオンエアの時間になると、ラジオアプリ起動して、何を話してくれるのかな、メールもしかして読まれるかもと思えたあのワクワクの時間が今でも、愛おしく恋しいのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

声優ラジオに夢中になった4年間の話 @Rurikawa0316

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ